初めて「由利本荘市文化交流館・カダーレ」のコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
建築家・新居千秋氏設計の多目的文化施設は、さながら「動く要塞」。
最寄り駅から近いのですが、アクセスは秋田駅や空港からレンタカーの方が便利です。
由利本荘市文化交流館・カダーレは、2011(平成23)年、総合病院のあった跡地に、周辺の文化会館、本荘図書館、本荘公民館の機能が移転する形で開館しました。
「カダーレ」の愛称は公募により選ばれ、「仲間に入って」という意味の地元の方言「かだれ」にちなんだものです。
館内設備はコンサートの行われる大ホールのほか、プラネタリウム(自然科学学習室)や図書館、ギャラリー、市民活動室などがあります。
出典:由利本荘市文化交流館カダーレ公式サイトより
建物の設計は新居千秋都市計画設計、音響は永田音響設計、施工は戸田建設により手がけられました。
設計者の新居千秋氏は日本を代表する建築家の一人。「そのまちのワン・アンド・オンリー」を作るという思いが込められており、この建物に関しては、施設全体を次世代を担う宇宙船に見立ているとのことです。
鉄筋コンクリート造の建物は外観・内装ともに非常に個性的。建物はごつごつした要塞のような外観をしており、遠くからでもよくわかります。
内装も非常にユニークです。平坦になっている壁や天井はほとんどなく、様々な形のパーツを張り合わせて作られており、どこを切り取っても絵になる造形です。
壁面の採光も単なる窓だけでなく、正方形や長方形の穴が開いている箇所もあり、矢や鉄砲を放つ城塞の狭間を思わせます。
写真は撮れませんでしたが、図書館の上は吹き抜けになっていて、上の階にあるプラネタリウムの球面が浮かぶように設置されているのを確認できます。
このような独創性のあるデザインから、建築関係の様々な賞を受賞しているのも頷けます。建築めぐりとしても、ぜひ一度は訪れて損はない会場だと思います。
2012年度
日本建築家協会 日本建築家協会賞
日本建築学会東北支部 第33回東北建築賞作品賞
2014年度
日本建設業連合会 第55回BCS賞
2016年度
公共建築協会 第15回公共建築賞優秀賞
同特別賞(国土交通省大臣官房官庁営繕部長表彰)
日本デザイン振興会 グッドデザイン賞
由利本荘市文化交流館・カダーレまでのアクセス
出典:由利本荘市文化交流館カダーレ公式サイトより
カダーレの最寄り駅は、JR羽後本荘駅。東京や仙台から向かう場合、秋田新幹線で秋田駅まで来た後、JR在来線(羽越本線)に乗り換え、羽後本荘駅で下車します。
各地から飛行機で向かう場合は、秋田空港からレンタカーを利用し、約40分で会場に到着します。
秋田駅からの鉄道ルート
新幹線で秋田駅まで来たら、在来線のJR羽越本線に乗り換え、最寄りの羽後本荘駅を目指します。
羽後本荘駅までの所要時間は普通列車で約50分で、特急いなほ号(新潟行き)に乗車した場合は、秋田駅から羽後本荘駅まで停車駅なしに、ダイレクトで到達します(約35分)。
ただし、時刻表を見てもらうとわかりますが、ほぼ1時間に1本しかありません。時間に余裕を持って向かいましょう。
JR羽後本荘駅から会場までの徒歩ルート
JR羽後本荘駅から会場までは徒歩約5分で、一本道のわかりやすいルートです。
駅に着いたら、西口に向かいましょう。駅を降りたところの正面にあるバスロータリーを越えて、西に伸びる道を進んだ左側に会場があります。
羽後本荘駅の改札は1箇所です。
改札を出て、向かって右側が西口です。
駅の跨線橋から西口を見たところです。ご覧のように、手前から続く道路の左奥に、会場の建物が見えるのが確認できます。
西口に向かう階段またはエレベーターで1階に移動します。
下りた所を左に出ます。
バスロータリー右側に移動しました。正面の道を直進します。
途中で1つ大きな交差点があるので、この時に右側に移動しておきましょう。
アーケードはありませんが、通りは「本荘駅前商店街」になっています。
駅から徒歩約5分で、会場に到着です。お疲れ様でした。
秋田空港からのレンタカールート
JR羽後本荘駅から近いにしても、ライブ遠征を考えた場合は、鉄道より飛行機を利用したほうが時間・コストともにかかりません。
関西や名古屋からは、無理して新幹線を乗り継ぐより、「飛行機+レンタカー」で移動するのがスタンダードになります。
秋田空港に到着しました。
レンタカーの受付窓口のある到着ロビーに向かいましょう。
なまはげがお出迎えしてくれます。
今回は日産レンタカーを利用しました。
空港から会場までは40キロ前後の道のりです。メインルートは「日本海東北自動車道(自動車専用道路)」と海岸沿いの「国道7号線」を通ります。
ただし、日本海東北自動車道は一部有料区間があるので、それを避けて途中の「岩城IC」まで、県道44号・46号線や国道105号線を利用するのが最もおすすめです。
有料区間を避けて下道で行っても、10分も変わりません。シーサイドビューを楽しみたい場合は、国道7号線を利用しましょう。
出典:由利本荘市文化交流館カダーレ公式サイトより
駐車場は、会場の東側に60台、西側に150台確保されており、無料で利用できます。
駅に近い東側は駐車台数が少なく、すぐに満車になりやすいので、少し時間に余裕を持って、西側の駐車場に停めるのがおすすめです。
由利本荘市文化交流館・カダーレはこんな所
大ホールの1階はオール可動席、2階は複雑な構造の固定席
大ホールの総客席数は1,110席(親子室8席分を除く)で、1階席の可動席536席と、2階席の固定席574席を合わせた数になります。このほか、1階席に車いす席が6席、親子観覧席が8席あります。
先ほど1階席は「可動席」とお伝えしましたが、この会場は、「日本初の固定席と同等の音響性能を持つ可動席による可変型多機能ホール」を特色としています。
1階席は、オーケストラピット使用時に撤去される前方の席以外は、レイアウトが固定されている劇場形式が一般的です。
しかし、この会場は「宇宙空間とごてんまり」をイメージしており、1階席部分はすべて床下へと収納されて、平土間形式のフラットな空間へ変化させることができます。
出典:由利本荘市文化交流館カダーレ公式サイトより
さらに、会場に隣接した通路やギャラリーの壁をすべて取り払って連結することで、北側から南側の道路まで通じる、約130mの通り抜け可能なスーパーボックスの大空間とすることも可能です。
ここまでくると要塞というより、変幻自在のトランスフォーマーといった感じですね。
1階席
劇場形式の場合の1階席(536席)は、1列から19列まであり、途中の7列と8列の間に中央通路が設けられ、左右が車いす席の設置スペースになっています。また、17列目の中央ブロックは空間となっており、座席が元から除外されています。
中央通路前方の座席(190席)はオーケストラピットとしても使用されるため、傾斜は緩めになっています。
また、最後列後方の左右の扉(3扉・4扉)の横には親子観覧席が、それぞれ4席分ずつ設置されています。
2階席
2階席の構造は、「C・L・R・WL・WR」の5つのブロックに分かれています。
舞台正面に位置し、2階席の主要部分を占めるのがCブロックで、1列から13列まであります。ただし、そのエリアは入り組んでおり、下で紹介している座席表を見ると、左右に羽を広げた蝶や、やっこ凧のような分布になっています。
その他のL・R・WL・WRの各ブロックは、Cブロック以外の左右の前方と後方に位置しており、WL・WRブロックが前方、L・Rブロックが後方になります。
以前訪れた会場で言えば、東京のNHKホールの2階席と3階席を合わせてコンパクトにしたような感じですが、とにかく複雑な構造です。
2階席のチケットが割り当てられると、当日自分の席を見つけるのに苦労する可能性があります。ただ、高低差が十分付けられ、舞台との間隔も近く設計されているので、どこからでも見やすいと思います。
大ホール 座席表
出典:由利本荘市文化交流館カダーレ公式サイトより
座席
座席は座面・背もたれ、肘掛け・基礎ともにすべて「赤備え」です。由利本荘市で生産されている手芸品「本荘ごてんまり」で使用する赤色とのことです。1階席に比べ、2階席はハイバック仕様になっています。
シンプルな構造ですが、身体との適度な密着感もあり、座り心地は上々でした。
エントランス・ホワイエ
大ホールは建物の西側に位置しており、東側の大部分を占める図書館との間の通路を進んだところにある、やや北寄りのエントランスから入ります。
ラボラトリオ
会場内にあるイタリアンレストラン「ラボラトリオ」です。パニーニとドルチェをメインに取り扱っており、開演前の食事やカフェで賑わっています。
建物の北側に面しており、座席は20席ほど。
この日はアイスアメリカーノとクレームカラメル(プリン)をいただきました。
周辺施設
本荘公園
出典:由利本荘市観光協会公式サイトより
会場から徒歩約7,8分の距離に「本荘公園」があります。元は土塁で固めた「本荘城」の城址で、桜やつつじの名所として有名です。
食事「都」
JR羽後本荘駅からのアクセスルートで紹介した駅前商店街通りの、駅からすぐ近くにあるのが、食事処「都(みやこ)」です。
テレビ番組「たけしのニッポンのミカタ」でも紹介された気さくなご主人が経営されているお店で、秋田名物を含め、様々なメニューがリーズナブルな価格で楽しめます。
施設概要・地図
所在地
秋田県由利本荘市東町15
アクセス-
JR羽後本荘駅下車 徒歩約5分
秋田空港からレンタカーで約40分
ホール
大ホール 総客席数:1,110席
(1階:536席、2階:574席)
※オーケストラピット使用時 190席減
※その他車椅子席6席 親子観覧席8席
公式サイト
http://kadare.net/wp/