日生劇場(東京・日比谷)の「アクセス」「座席」「楽しみ方」を解説します

初めて日生劇場へオペラ・ミュージカルに訪れる人を対象に、会場までのアクセスや施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。

日本生命と東急グループが手掛けた、劇場の林立する日比谷・有楽町地区を代表する劇場。
東京駅から近いですが、アクセスに一工夫が必要です。
日生劇場は、1963(昭和38)年に開業した日比谷・有楽町地区を代表する劇場の1つで、東京宝塚劇場と日比谷公園の間の日本生命日比谷ビルにあります。
日本生命保険の創業70周年を記念して、当時の社長であった弘世現氏が、同時期に劇団四季の創設者で演出家・実業家の浅利慶太氏や作家・政治家の石原慎太郎氏が、東急グループの総帥である五島昇氏に新劇場の構想を持ちかけたことがきっかけで、実現した劇場です。
日本生命日比谷ビルを合わせた鉄骨鉄筋コンクリート造8階建、地下5階の建物は、建築家・村野藤吾氏の代表建築として村野・森建築事務所が設計し、大林組が施工、公益財団法人の「ニッセイ文化振興財団」が運営しています。
こけら落とし公演は、1963(昭和38)年にベルリン・ドイツ・オペラの「フィデリオ」が上演され、その後もオペラやミュージカルを中心に、演劇や歌舞伎等も含めた幅広いジャンルの舞台芸術作品が上演されています。浅利慶太氏が携わっていた関係もあり、劇団四季が常設劇場を持つ前に公演を数多く行っていたほか、1970年代には舞台俳優でシャンソン歌手の越路吹雪が「ロングリサイタル」を行っていました。
運営元のニッセイ文化振興財団は、優れた舞台芸術の提供と芸術文化振興に寄与するため、当会場を拠点に、芸術鑑賞教室として、小学生向けに劇団四季ミュージカルに無料招待する「ニッセイ名作劇場」(その後ジャンルを拡大し「ニッセイ名作シリーズ」に改称)、中高生向けに本格的なオペラ鑑賞の機会を安価で提供する「日生劇場オペラ教室」、 夏休み期間に親子で舞台芸術に触れる機会を提供する「日生劇場国際ファミリーフェスティヴァル」を開催するなど、様々な活動を行っています。
日生劇場までのアクセス
多様なアクセスルートが存在
出典:日生劇場公式サイトより
会場の所在地は「千代田区有楽町1丁目1-1」。まさに東京の中心にあります。最寄り駅は「日比谷」駅と「有楽町」駅、「銀座」駅で、それぞれ東京メトロ千代田線、日比谷線、丸ノ内線、JR在来線が乗り入れているほか、東京駅からも歩いて行ける距離にあります。
乗り入れ路線が多いということは、アクセスルートも複数考えられます。また、便利な反面、駅からの移動や乗り継ぎに時間がかかったりするので、遠征時のアクセスにはひと工夫が求められます。
初めて遠征する人にとっては、例えば最も会場に近い千代田線「日比谷」駅は、東京駅からの乗り継ぎ(大手町駅や二重橋前駅)に長距離の地下歩行が必要になるほか、駅名の違う「有楽町駅→日比谷駅」の乗り換えも、迷いやすいと思います。
今回は様々なシチュエーションを考慮し、東京駅からの徒歩やタクシー移動を含めた多様なルートで紹介しますので、自分に合った方法でアクセスしてもらえばと思います。
JR有楽町駅経由の徒歩ルート

まずは東京駅からJR在来線で1駅移動した「有楽町」駅からのアクセスです。新幹線などの長距離乗車券が「東京都区内」行きの場合、そのまま追加運賃なしで有楽町駅まで乗り越しが可能です。



会場まで徒歩10分とそれなりに距離がありますが、日比谷口を出て線路沿いの地上を進む、概ね平坦で視界も開けたルートなので、初めてでも迷いにくいという利点があります。公式サイトの赤い矢印と一部異なり、有楽町電気ビルヂングの線路側を通る形で説明します。










丸ノ内線経由・日比谷駅からの徒歩ルート

続いて、東京駅から丸ノ内線で銀座駅まで行き、日比谷線に乗り換えるルートの紹介です。
丸ノ内線と日比谷線を使えば、大手町駅や二重橋前駅での千代田線乗り換え(長距離の地下歩行)を回避でき、会場真横のA13出口(階段)までスムーズにアクセスできます。エレベーターが必要な場合は、東京ミッドタウン日比谷直結のA11出口を利用できます(徒歩3分)。



















丸ノ内線銀座駅からの徒歩ルート

丸ノ内線の銀座駅に着いたら、公式サイトにも掲載されているように、そのまま会場へ徒歩で向かう方法もあります。駅の「C1出口」から出て、会場まで徒歩約7分の道のりです。












東京駅・京葉線地下通路経由の「完全地下」徒歩ルート

乗り継ぎがややこしいという人向けに、東京駅から直接徒歩で向かうルートを紹介します。
電車を待つ時間を含めると、実は徒歩(約15〜20分)でも到着時間はあまり変わりません。雨天や猛暑の際、地上を一切歩かずにすべて地下道を通り、劇場の入口までアクセスしたい場合に重宝する裏ルートで、東京駅からの交通費もかかりません。











ここから地図の後半です。東京国際フォーラムの地下通路を進み、「D5出口」から地下鉄の地下通路に移動します。その後、有楽町線→都営三田線→千代田線のホーム沿いに地下通路を進み、「A13出口」から地上に出れば、会場前に到着します。














東京駅丸の内南口からのタクシールート

最後に最も楽な、東京駅から会場までタクシーを利用するルートです。今回私も実際に利用してみたので、実体験をもとに紹介します。
東京駅から会場までは直線距離で約1.2kmほどしかなく、渋滞がなければ車で約10分で到着できます。ただ、料金は1メーター(500円)とはいかず、1,000円ちょっとかかることにご留意ください。大きなキャリーケースがある場合や、悪天候の日、乗り換えや徒歩の距離に迷う人にとっては、最もタイムパフォーマンスが良く確実な手段です。






日生劇場はこんな所
海の底にいるように波打つ、平行面のない曲面構成

劇場の総客席数は1,334席で、1階席・中2階席(グランドサークル)・2階席の三層構造になっています。音響の面でクラシックコンサートの開催は少なく、冒頭に紹介したように、オペラやミュージカルの上演がメインの会場です。

この会場は、天井にアコヤ貝(マド貝)の貝殻約2万枚が散りばめられた、まるで海の底にいるような波打つ内装が特徴です。オープン当時はキラキラと螺鈿(らでん)のように光っていたそうで、壁や天井は、ほとんど平行面がない曲面構成になっています。
2016(平成28)年の改修でリニューアルされましたが、外観、内観とも竣工当時の意匠をそのまま維持するという考えのもと、現在もその状態が受け継がれています。1964(昭和39)年に日本生命日比谷ビルとして「日本建築学会賞作品賞」を受賞したほか、2006(平成18)年に日本生命日比谷ビルとともに、DOCOMOMO JAPAN選定の「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」にも選ばれています。
今回、場内の写真をあまり撮ることができませんでしたので、各階の座席からのステージの見え方については、下記の公式サイトを参考にしていただければと思います。
1階席

1階席の総客席数は738席で、XA列からQ列までの20列あります。最前のXA列からXC列までの3列96席は、オーケストラピット設置時に撤去されます。
客席は左・中央・右の3つのブロックに分かれており、オーケストラピットとの境界にあたるXC列とA列の間に若干の間隔が設けられている他は、出入口に通じる通路等は設置されていません。

座席間は、オペラやミュージカルなど着席鑑賞が基本の演目となっているため、スロープによる緩やかな傾斜になっています。

中2階席(グランドサークル)

1階席と2階席の中間の中2階席として、GC(グランドサークル)席があります。A列~C列で総客席数は132席あり、舞台を囲むような半円形に近い配置になっています。


中央寄りの席は、バランス良く舞台全体を見渡しやすいことから人気が高く、早く売り切れることが多くなっていますが、左右の位置になると、他のホールにおけるサイドバルコニー席に相当するので、斜め横からステージを鑑賞する形になります。
2階席

2階席の総客席数は464席で、A列からK列までの11列あります。途中、E列(5列目)とF列(6列目)の間に中央通路が設置されています。


1階席や中2階(GC)席に比べ、段差(3段分)による強めの傾斜が付けられており、視界を気にせずステージを俯瞰で見下ろす感じの見え方になります。

座席表
出典:日生劇場公式サイトより
座席


座席はピンク色の座面・背もたれに木製の基礎の組み合わせです。背もたれの部分は全体がクッション生地で覆われており、座面と併せしっとりと体を包み込むような座り心地です。
2階席は若干ハイバック仕様になっています。
館内施設
エントランス・ホワイエ

帝国ホテル側にある正面玄関を入ると、大理石の床など、白を基調とした空間のピロティに至ります。ピロティ正面には、日本の代表的なガラス工芸家である岩田藤七氏制作の大きなコロラート(彩色ガラス)があり、右手の劇場に向かう階段・エスカレーター横にクロークがあります。




1つ上の中2階ロビーには、公演プログラムやグッズを販売する売店や、軽食やドリンク等を提供するカフェが営業しています。




その上の客席1階フロアは、上階に通じるエスカレーターや螺旋階段が配置され、周囲に椅子やテーブルが配置されているレイアウトになっています。


GC(中2階)席のフロアと2階席のフロアは、一面赤じゅうたんが敷き詰められた落ち着いた空間で、GC席フロアにはカフェが、2階席フロアには売店が設置されています。


その他、インフォメーションとトイレは中2階以外の各階に配置されています。バリアフリートイレは2階席フロアに設置され、エレベーターで誘導・案内されます。
春秋 ツギハギ

正面玄関の左横から地下(日本生命日比谷ビルB1F)に下りた場所にある「春秋 ツギハギ」は、静かで高級感のある雰囲気で、和洋折衷の創作料理が楽しめるレストランです。
元は東京の三宿(みしゅく)に第1号店がオープンした「春秋」ブランドの系列店で、店舗ごとに全く異なるコンセプトや空間デザインを採用しています。ここ春秋ツギハギでは店名の通り、様々な素材やオブジェをパッチワークのように繋ぎ合わせ、大小様々な個室や半個室が10室以上設けられています。
人気店のため、観劇の前後でランチ・ディナーを楽しむ場合は、事前の予約が必要です。
カフェ「A LA TIENNE(アラティエンヌ)」

同じく正面玄関左の日本生命日比谷ビル1階には、春秋ツギハギと同じく「株式会社春秋」が運営している系列店のカフェ「A LA TIENNE(アラティエンヌ)」があります。
パスタや自家製キッシュ、オープンサンド、特製カレーなど、新鮮な野菜をたっぷり使った彩り豊かなランチメニューが人気です。


(上の画像は少し見にくいと思いますが、)ドリンクメニューのブレンドコーヒーは日本の自家焙煎珈琲の草分け的存在として有名な老舗名店「カフェ・バッハ」のコーヒー豆を使用していることから、「バッハコーヒー」という名前になっています。
開店時刻は11時ですが、日生劇場の1階という立地に加え、東京宝塚劇場などの周辺施設へのアクセスも抜群なので、マチネ(昼公演)を観劇予定の観客が、開店前から店頭の待合せスペースの椅子に座っている人や、終演後のカフェタイムに、店に入っていく人の姿をよく見かけます。
周辺施設
日比谷公園

会場と道路(国道1号)を挟んだ向かいにあるのが、日比谷公園です。
江戸時代まで大名屋敷が立ち並んでいた場所に明治に入り陸軍練兵場として使用された後、都市計画に基づき、和の要素を織りこんだ日本初の西洋風の都立公園として、1903(明治36)年に都市公園として造成されました。

敷地面積約16ヘクタールの園内には芝生や樹林地、池などのほか、日比谷公会堂、大小2つの野外音楽堂(いわゆる野音)、陳列場、日比谷図書文化館、テニスコート、児童遊園、軽飲食店、市民カレッジなどがあり、市民憩いの場として、またライブ会場として、今日まで親しまれてきました。





その他、公園北端の有楽門近くには、「仙台藩祖 伊達政宗終焉の地」の案内板が設置されています。戦国を駆けた独眼竜こと、仙台藩初代藩主の伊達政宗公が、初代家康、二代秀忠の2人の将軍をもてなした江戸屋敷がこの地にあり、そこで70年の生涯を終えたことを示しています。
日比谷公会堂・市政会館 ※リニューアル工事中
出典:VISIT CHIYODA(千代田区観光協会)公式サイトより
公園内にある日比谷公会堂は、1929(昭和4)年、市政調査会(市政会館)及びそれに併設する公会堂として、はじめから一体となって建設されました。
戦前から数多くの政治演説会や大会が開かれる一方、当時の東京で唯一のコンサートホールとして多くの演奏会が催行されました(収容人数:2,074席)。
2016(平成28)年4月から改修工事のため休館中で、2029(令和11)年にリニューアルオープンする予定です。
日比谷公園大音楽堂(野音)※リニューアル工事中
出典:VISIT CHIYODA(千代田区観光協会)公式サイトより
同じく公園内にある日比谷公園大音楽堂は、1923(大正12)年に完成した野外音楽堂で、一足先の1905(明治38)年に完成した、日本初の野外音楽堂である日比谷公園小音楽堂とともに、「日比谷野音(やおん)」「野音」の通称で親しまれてきました。
客席数は椅子席2,653席、立見席385席、車椅子席15席で、23区内で3,000人規模の野外ライブが行われるライブ会場として、「音楽の聖地」「ロックの聖地」「フォークの殿堂」と呼ばれ、これまでキャロルの解散コンサートやキャンディーズの解散宣言、尾崎豊のステージ飛び降り事件など、伝説のステージが数多く生まれました。
過去に2度の改修を行い、3代目の公会堂が2023(令和5)年に開業100周年を迎えましたが、2025(令和7)年10月より施設の老朽化のため使用が休止され、渋谷公会堂とともに2029(令和11)の再開を目指し、建て替え工事が進められています。
東京宝塚劇場

東京宝塚劇場は、会場の隣りにある宝塚歌劇団の東京における活動拠点です。
現在の建物は1997(平成9)年まであった初代の「宝塚会館」こと東京宝塚劇場の2代目にで、映画館のTOHOシネマズ日比谷と同じ「東京宝塚ビル」内にあります。
小林一三氏が設立した映画・演劇の配給や不動産業を営む東宝グループは、後述のシアタークリエのある「東宝シアタークリエビル」、日比谷シャンテのほか東宝㈱の本社も入っている「東宝日比谷ビル」、そしてこの「東京宝塚ビル」と、日比谷地区一帯がその拠点となっています。
東京宝塚劇場 | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)
シアタークリエ

シアタークリエは、2007(平成19)年、その2年前に閉館した芸術座に代わりオープンした「東宝シアタークリエビル」の1階から地下2階のスペースにあります。
会場と同じく有楽町・日比谷地区に林立する代表的な劇場の1つで、周辺は日比谷シャンテや東京宝塚劇場、TOHOシネマズ日比谷、帝国劇場など、東宝グループの一大拠点となっています。
シアタークリエの名称は「Theatre creation」の略で、主たる舞台・演劇の視聴者層である20代から40代の女性をターゲットにした事業展開を行っており、支配人やプロデューサーはすべて女性が務めているという徹底ぶりです(もちろん男性も観劇OKです)。
帝国ホテル 東京

会場の向かいには、日本を代表するホテルの1つである「帝国ホテル 東京」があります。
株式会社帝国ホテルが運営する本格的な洋式ホテルとして、ホテルオークラ、ニューオータニとともに「ホテル御三家」を形成する、東京屈指の名門ホテルです。
帝国ホテルはデベロッパーの三井不動産が約3分の1の株式を保有する筆頭株主を務めており、同社の主導で帝国ホテル東京の建替えと日比谷公園も含めた「HIBIYA CROSSPARK(日比谷クロスパーク)」という日比谷地区の再開発を進めています。
私の就職活動時の苦い思い出として、当時第1志望だった会社の面接を、このホテルの一室で受けたことがあります。いわゆるリクルータールートでの人事課長面接でしたが、その出来があまりに悪すぎて、終了後に日比谷公園のベンチで1時間ほどうなだれていました…(実際その会社とはご縁がありませんでした)。
東京ミッドタウン 日比谷

東京ミッドタウン日比谷は、八重洲や六本木と同じく、三井不動産が手がける複合商業ビル「東京ミッドタウン」の1つです。
地下4階・地上35階建てで、7階までの低層フロアに約60のショップ&レストランが入る商業フロアになっているほか、オフィス、映画館、空中庭園や広場空間で構成されています。
会場のすぐ隣りにあり、シアタークリエや日比谷シャンテとも地下通路でつながっているので、開演前のひとときを過ごせる施設が充実しています。
東京ミッドタウン日比谷 (tokyo-midtown.com)
施設概要・地図
所在地
東京都千代田区有楽町1丁目1−1
日本生命日比谷ビル 1F
アクセス
東京メトロ千代田線・日比谷線
日比谷駅下車
・A13出口(階段)より徒歩約1分
・A11出口(ES/EV)より徒歩約3分
都営三田線 日比谷駅下車
・地下連絡通路より徒歩約7分
JR・東京メトロ有楽町線 有楽町駅下車
・徒歩約10分
東京メトロ丸ノ内線 銀座駅下車
・C1出口(階段/EV)より徒歩約10分
ホール
総客席数:1,334席
・1階席:738席(オケピット部:96席)
・GC(中2階)席:132席
・2階席:464席
公式サイト
https://www.nissaytheatre.or.jp/




