初めて「東京芸術劇場」の舞台・コンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
池袋西口駅前に建つ東京を代表する文化芸術拠点。
バブル期のハコモノがリニューアルを経て性能向上。クラシックに、舞台に演劇に、大小4つのホールで非日常空間を演出します。
東京芸術劇場は、1990(平成2)年、新国立劇場や東京文化会館などとともに、都民のための芸術文化の振興と国際的交流を図るための施設として、池袋にオープンしました。
館内には、世界最大級のパイプオルガンを有するクラシック専用の大ホールである「コンサートホール」、演劇・舞踊等の公演を行う中ホールの「プレイハウス」、200〜300席ほどの客席で構成される「シアターイースト」と「シアターウエスト」の2つの小ホールを備えています。
会場内には他にも、4つの展示スペースや大小の会議室、リハーサル室なども完備され、各種展示会やセミナー・講座等も開催可能な、複合芸術文化施設です。
2009(平成21)年には演出家・俳優の野田秀樹氏が初代芸術監督に就任し、以降、古典の新演出から既成のジャンルを超えた実験的な作品まで、様々な作品が上演されるようになりました。
当初、バブル期に完成した会場は、いわゆるハコモノ行政の弊害もあり、利用者の評判はあまり高くありませんでした。
「クラシックの大ホールは天井が高くて音響がいまいち」
「舞台・演劇の中ホールはセリフが聞き取りづらい」
「1階から5階まで一気に駆け上がる巨大エスカレーターが怖い・危ない」
そうした声を受け、1年半にわたる改修工事を行い、2012(平成24)年のリニューアルオープンを迎えました。
現在は、様々な弊害も概ね解消され、池袋だけでなく都の芸術文化の総合発信拠点となっています。
東京芸術劇場までのアクセス
出典:東京芸術劇場公式サイトより
会場の最寄り駅は、JR・地下鉄・私鉄各線の結節点である「池袋」駅。
新幹線の場合は、東京駅からJR山手線または東京メトロ丸ノ内線を利用します。池袋駅までの運賃は、JR線が片道208円、地下鉄線が209円です(ICカード使用時)。
飛行機の場合は、品川駅または浜松町駅からJR山手線にそのまま乗車するか、または大崎駅で埼京線・湘南新宿ラインに乗り換えて、池袋駅を目指します。
山手線で考えた場合、池袋駅は東京駅や品川駅からほぼ反対側の位置にあるので、乗車時間は25分~30ほどかかることを考慮しておきましょう。
東京駅からは東京メトロ丸の内線を使った方が、乗車時間を約10分短縮できます(所要時間:約16分)。
このほか、有楽町駅で東京メトロ有楽町線に乗り換えるルートもあります。
東京駅から池袋駅までのルート
新幹線で東京駅に着いたら、八重洲側から丸の内側に移動する必要があるので、JR在来線への乗り換え口に向かいましょう(写真は八重洲北口からの乗り換え口です)。
JR在来線の構内に入りました。
山手線を利用する場合は、4番のりばの電車に乗車しましょう。
東京メトロ丸ノ内線を利用する場合は、そのまま丸の内側の出口に向かいます。
丸ノ内線はJR改札を出て地下にある丸の内地下中央口から出ると便利です。
丸ノ内線の改札に着きました。
2番線の「大手町・後楽園・池袋」方面の電車に乗りましょう。
池袋駅到着後は「西口」の中央または南出口へ進もう
「不思議な不思議な池袋♪ 東は西武で西東武♪ たーかくそびえるサンシャイン ビックビックビック ビックカメラ♪」
某家電量販店の池袋店で流れるこの歌。池袋駅の構造を端的にわかりやすく示しています。
池袋駅に到着しました。ホームから下りて地下の改札口に向かいます。
会場があるのは西口です。案内を確認し、「南改札」または「中央1改札(東口・西口)」に移動しましょう。
池袋駅は東口・西口ともに「北・中央・南」にそれぞれ出口があり、会場へは西口の「中央」と「南」の出口から向かうのが近道になります。
JR山手線の場合、南改札から出ると、会場が地下で池袋駅「2b」出口と直結しているので、雨の日などでも濡れずに移動できます。
一方、東京メトロ丸ノ内線で池袋駅まで行くと、JR池袋駅の中央1改札と近接しているので、中央改札から西口(中央)に出て向かうのが便利です。
会場直結の「2b」出口までの地下ルート
出典:東京芸術劇場公式サイトより
まず、公式サイトに掲載されたルートに基づき、会場に直結している「2b」出口まで、①JR池袋駅の南改札からのルートと、②JR・東京メトロ丸ノ内線の池袋駅の中央改札・中央通路改札からのルートを紹介します。
①JR池袋駅南改札から
JR池袋駅に着いたら、まずはホームを降りて、地下にある南改札を目指します。
南改札を出たところです。案内に従い、右に進みましょう。
ほどなく、東京メトロ有楽町線池袋駅の「南通路西改札」前を通過します。有楽町線を使う場合、ここから出ると便利です。
左の花屋さんを抜けて、案内に従い奥に進んでいきます。
やがて「エチカ池袋」に通じる下り階段とエスカレーターを通過します。
下った先をそのまま奥に移動します。
ほどなく開場に通じる「2b」出口が左側に現れます。
出口手前にある会場の看板です。
壁には劇場の公演ポスターが掲示されています。
階段と障害者用スロープを伝って、劇場地下入口に進みます。
着いた先がシアターイースト・ウェストのある地下1階エントランスです。お疲れ様でした。
②JR・丸ノ内線の中央改札付近から
次に、JR池袋駅の中央1改札または東京メトロ丸ノ内線の中央通路改札から、地下ルートで会場に向かう場合を紹介します。
JR池袋駅の中央1改札を出たところです。左を向くと、東武線と丸ノ内線の中央改札があります。
東武線と丸ノ内線の改札の間を進んでいきます。
ほどなく右側に「西口(中央)」の地上出口への階段とエスカレーターがあります(こちらのルートは後ほど紹介します)。
今回は地上出口ではなく、左側に伸びる通路を直進します。
途中から「副都心線」への案内が出てきますが、そのまま直進します。
やがて、「エチカ池袋」への入口と下り階段・エスカレーターがあります。
下りた先の右側にあるローソンの前を通過します。
副都心線の「西通路東改札」の前を通過します。
やがて「←1b-3」と書かれた案内まで来たら、左に曲がりましょう。
「パサージュ ドゥ メトロ」という名前の通路を端まで直進します。
通路の突き当りを左に曲がります。
後は真っ直ぐ進むだけです。
ほどなく南改札の反対方向から、2b出口に到達します。
出口左側にはカフェ(後ほど紹介)もあります。
JR池袋駅 西口(中央)から会場までの地上ルート
西口(中央)からの地上ルートを紹介しておきます。天気が良ければ、こちらの方がわかりやすいと思います。
先ほどの地下ルートの途中で出てきた西口(中央)の地上出口を上がります。
上がった先を、斜め左に進みます。
横断歩道の先を左奥に進みます。
渡った先にすでに会場の建物が見えます。
あとは道の左側から移動するだけです。
出口から徒歩2分で会場前に到着です。お疲れ様でした。
西口(南)からの地上ルート
西口は中央だけでなく南にも地上出口があるので、こちらからの地上ルートも紹介しておきます。
南改札や中央改札から西口(南)を目指し、「メトロポリタン方面」の案内に従い移動します。
先ほどの有楽町線池袋駅の南通路西改札を出た目の前の場所に、地上へ上るエスカレーターがあります。
ルミネの看板とガラス張りの壁面を目印に、エスカレーターを上りましょう。
上ったところが「メトロポリタンプラザ」になります。
エスカレーターを上がったところです。南口からは、右奥に進みます。
横断歩道の先に、西口公園のグローバル・リングが見えます。
その先を進めば、会場前に到着です。
入ったところが1階のアトリウムです。正面にチケットオフィスがあります。
東京芸術劇場はこんな所
クラシック向きの約2,000席のコンサートホール
コンサートホールはクラシック特にオーケストラの演奏に適したホールで、音響家が選ぶ「優良ホール100選」にも認定されています。
プロオケの他、大学をはじめとする各種学校や市民楽団など、アマチュア演奏家にも親しまれているホールです。
三層構造のホールで、総客席数は1,999席(1階:676席、2階:683席、3階:640席)あります。2,000席より1席少ない席数ですが、会場の広報担当者によれば、残りの1席は音楽の神「ミューズ」のために取ってあるとのことです。
訪れた公演の写真では使用しないため隠れていますが、舞台正面にはパイプオルガンが据え付けられています。
1階席
1階席は、A列からT列までの20列あり、途中のP列(16列)とQ列(17列)の間に通路と段差があります。また、車椅子スペースが、P列の左右の扉付近に設置されています。
いわゆる「平土間席」のような構造で、歌舞伎の枡席のように、中央の少し低まった所に配置されており、全体的に傾斜は緩めでフラットな構造です。
クラシック中心のホールなので、あまり前方で演者の顔や姿を確認する必要がないことを考慮すれば、段差が付いて音響のバランスの良いP列以降の方が、音楽を楽しめるのではないかと思います。
2階席
2階席は、A列からO列までの15列あります。途中、ブロックごとに異なりますが、ほぼ中間部分に当たるF列~H列の間I列~J列の間に通路と段差があります。
3階席
3階席はA列からK列までの11列あります。途中、G列とH列の間に通路が設けられており、H列以降の後方は傾斜が最も強くなっており、ステージとはかなりの高低差があります。
バルコニー席
1階から3階までの左右両サイドには、バルコニー席(LB列・RB列)が配置されています。
上の写真のとおり、各階のバルコニー席の境界が少しわからづらいのですが、概ね高低差で各階の名称で区分されています(1-LB・RB列、2–LB・RB列、3-LB・RB列)。
1階バルコニー席(1-LB・RB列)は中央の平土間席と壁で隔てられており、横からですが高さがあり見やすい設計になっています。
2階バルコニー席(2-LB列・RB列)は、3階バルコニー席と階段でつながっているステージ寄りの部分になります。A列はステージをほぼ真横から見るように設計されています。
3階バルコニー席(3-LB席・RB列)は、左右のせり出し部分に当たる箇所になっています。A列からI列までの9列ありますが、H列とI列は後方ではなく、一段高くなった箇所に左右5席ずつぽつんと配置されているのが特徴です。
コンサートホール 座席表
出典:東京芸術劇場公式サイトより
座席
座席は赤い布地の座面・背もたれとライトブラウンの木製の基礎の組み合わせです。
肩口部分の背もたれが狭くなっているデザインで、座り心地は硬すぎず柔らかすぎずちょうどいい具合でした。2階席と3階席は、背もたれの基礎部分が長いハイバック仕様になっています。
館内施設
エントランス・ホワイエ
コンサートホールのエントランスは建物の5階にあり、1階の建物入口からエスカレーターを乗り継いで移動します。ちなみに2012年のリニューアル前は、このエレベーターが5階まで直通になっていたそうです。
エントランスホール。オレンジの色調で、天井の絵画アートも飾られています。
ここでいったんチケットチェックを実施して中に入ります。
客席はさらに上の階にあり、1階~3階席が建物7階~9階に相当します。
ようやく1階席のホワイエに到着しました。
バーラウンジ
バーラウンジではコーヒー等のソフトドリンクのほか、ビールやワイン、ウィスキーなどのアルコールやスナック類も取り扱っています。
1階フロアの左右に2ヵ所と、3階席にも1カ所あり、扱うメニューは同じでした。
この日は開演前に1杯600円の白ワインを頼んだのですが、思いのほか美味しかったので、幕間に赤ワインも頼んでしまいました。
プレイハウス
プレイハウスは1階と2階の二層構造で、総客席数は834席です。
1階席の総客席数は631席で、A列からV列までの22列あります。途中、J列とK列の間に中央通路が設けられています。車いすスペースを設ける場合、最後列のV列中央の9番~21番を取り外し、7席分設けることが可能です。
また、前方のA列からE列までの5列分(116席)はオーケストラピットで、使用時には取り外される仕様です。
両サイドには、バルコニー席(LB列・RB列)が15席ずつ計30席(中央通路前方に4席、後方に11席ずつ)確保されています。
その他、立見スペースが1階に66人分確保することができます。なお、立見スペースの所に座席を設ける場合は、通常の席とは異なる仕様のものになります(後述)。
客席間の傾斜は、オーケストラピットとなるE列まではフラット、中央通路前方のF列からJ列はスロープによる緩やかな傾斜、中央通路から後方のK列からV列は段差が設けられており、傾斜が強めになっています、。
2階席の総客席数は203席で、A列からE列までの5列(185席)のほか、左右のバルコニー席(LB列・RB列)が9席ずつ計18席あります。
プレイハウス 座席表
出典:東京芸術劇場公式サイトより
座席
出典:東京芸術劇場公式サイト
(プレイハウス360°パノラマビューより)
座席は、通常のものは赤い座面・背もたれに黒の基礎のしっかりした仕様で、長時間の観劇に堪えられる仕様です。
ただし、V列以降の立見スペースに追加席を設ける場合は、この日座った私の席や、その他の写真のような簡易タイプのものになります。
館内施設
プレイハウスは建物の2階~3階に位置しており、入口から2階までエスカレーターを上ってエントランスに向かいます。
館内は、エントランスを入った所にあるホワイエ内で、ほぼ完結しています。
ホワイエ内にクローク、グッズ販売スペース、休憩コーナー等があり、ロビー内開場時間(座席開場となるまでの間)を過ごすことになります。
また、ホワイエの一角にバーコーナーが設置されており、コンサートホールと同様のメニュー(ソフトドリンク・アルコール・スナック等)をオーダーできます。
シアターイースト
出典:東京芸術劇場公式サイトより
シアターイーストは公演により客席形状が自在に変わる構造で、客席数は272席~324席までの範囲で収容可能です。
300席前後のキャパで行うので、舞台や創作芸術などがメインで上演されます。
シアターイースト 座席表
出典:東京芸術劇場公式サイトより
シアターウェスト
出典:東京芸術劇場公式サイトより
シアターウェストは舞台の形状により195席~278席の範囲で収容人数が変わる、シアターイーストより若干キャパの小さい小ホールです。
通常パターン(A)の場合、A列~M列までの最大14列(追加のEX列を含む)まで設置されます。
舞台・ミュージカルのほか、小規模のコンサートにも使用されます。
出典:東京芸術劇場公式サイトより
周辺施設
グローバル リング カフェ
グローバル リング カフェは、会場と池袋駅の間にある池袋西口公園の一角にあるオープンカフェです。
イタリアの「カフェ・ヴァリニャーノ」のコーヒー豆を使用した本格的なカフェで、コーヒーのほか、ホットドックなどのスナック系やアルコール類も充実しています。
店を含む公園内は「グローバルリングシアター」という野外劇場になっており、週末を中心に屋外イベントでもにぎわっています。
パティオ・ドゥ・メトロ エチカ池袋店
アクセスルートで紹介した会場地下直結の「2b」出口の脇にあるカフェが、「パティオ・ドゥ・メトロ エチカ池袋店」です。
こちらも会場に最も近いカフェの1つで、来場者の待合せスポットや軽食を摂るのにぴったりの場所です。
施設概要・地図
所在地
東京都豊島区西池袋1-8-1
アクセス
JR・東京メトロ池袋駅西口より徒歩2分
(駅地下通路2b出口と直結)
ホール
・コンサートホール 総客席数:1,999席
(1階676席、2階683席、3階640席)
・プレイハウス 総客席数:834席
(1階631席、2階203席)
※立見スペース:90席
・シアターイースト
客席数:272席~324席
※舞台の形状により変更
・シアターウェスト
客席数:195席~278席
※舞台の形状により変更
公式サイト
http://www.geigeki.jp/