
初めて名古屋市公会堂へコンサートに訪れる人を対象に、会場までのアクセスや施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
JR・地下鉄駅からすぐ♪ 鶴舞公園内にある、国の有形文化財にも指定された築90年以上の歴史的建造物。
リニューアルされ内装は綺麗になりましたが、開業以来の「柱」の存在感は健在です。
名古屋市公会堂は昭和天皇のご成婚を祝し、名古屋市の記念事業として建設が決まり、社交の殿堂として、1930(昭和5)年10月に完成した歴史ある建物です。
開館当時の公会堂(出典:名古屋市公会堂公式サイトより)
以降、第二次世界大戦中は防空部隊の司令部、戦後すぐはアメリカ軍の娯楽・厚生施設として活用された時期もありましたが、再び名古屋市の管理に戻ってからは、市民の利用施設として活用されてきました。
2017(平成29)年から2年間に及ぶ3度目の改修工事が行われ、2019(令和元)年、リニューアルオープンしました。
改修にあたっては、歴史ある建物を後世に残すため、外観や内部のデザインはほぼそのままに保存することが主眼に置かれました。
耐震補強や空調設備等の更新のほか、大ホールの1~3階の全ての座席を取り替えましたが、更新の際、創業当時の椅子のデザインを復刻させたことにより、席数は減少しました(1,994席→1,552席)。
会場の公式サイトや、納品した椅子のメーカーのホームページに改修内容が掲載されているので、参考にしてください。
施設案内 改修工事後|名古屋市公会堂 [愛知県名古屋市のイベントホール] (hall-info.jp)
名古屋市公会堂 大ホール(リニューアル)|コトブキシーティング株式会社 (kotobuki-seating.co.jp)
2024(令和6)年4月より、ネーミングライツ制度が導入され、2029(令和11)年3月までの5年間、「岡谷鋼機名古屋公会堂」(パートナー企業:岡谷鋼機株式会社)という愛称で呼ばれることが決定しました。
名古屋市公会堂までのアクセス
出典:名古屋市公会堂公式サイトより
会場の最寄り駅である鶴舞駅は、JR中央線と地下鉄鶴舞線が乗り入れています。
ライブ遠征では、新幹線で名古屋駅から向かう場合と、飛行機でセントレア(中部国際空港)から金山駅経由で向かう場合が考えられます。
それぞれの鉄道ルートと、会場までの徒歩ルートを紹介します。
新幹線名古屋駅からJR鶴舞駅までの乗り換えルート

まずは新幹線で名古屋駅に着いたところからのルート。「名古屋市内」まで有効の乗車券を持っていれば、最寄りの鶴舞駅まで追加料金なしで移動できます。

新幹線のJRのりかえ改札から、そのまま在来線に乗り換えます。

中央線のりばに向かいます。

最寄りの鶴舞駅は「多治見・中津川」方面にあります。

7番線または8番線から出る電車に乗車します。

鶴舞駅は名古屋駅から2駅目。快速でも普通でもどちらでもOKです。

所要時間約7分で鶴舞駅に到着です。
中部国際空港から名鉄・JR金山駅経由の乗り継ぎルート

飛行機で中部国際空港(セントレア)に着いた場合は、名鉄線でまずは金山駅に向かいます。
金山駅は、停車駅の一番少ない快速特急(ミュースカイ)も停車する駅なので、基本的にどの電車に乗っても着きます(ミュースカイに乗車する場合全車指定席なので、片道運賃830円に加え特別料金360円がかかります)。
金山駅までの所要時間は、ミュースカイの場合約25分、特急(一部特別車)の場合約32分、準急の場合約43分です。

金山駅に着いたら、JR線乗り換え口のある西出口に向かいましょう。

ホームから西出口へ階段または奥のエレベーターで移動します。

上がったところにJR線乗り換え口の改札があります。ここまでの乗車券とICカードを併用して、中に入ります。

名古屋駅と同じく、最寄り駅の鶴舞駅は「多治見・中津川」方面の中央線の電車に乗車します。

改札を入って右側に進み、1・2番線の中央線のホームに下ります。

多治見・中津川方面は1番線です。

鶴舞駅は金山駅から1駅。来た電車に乗りましょう。

金山駅から所要時間約2分で到着です。
地下鉄名古屋駅から伏見駅経由の乗り継ぎルート

栄地区などに宿泊する場合は、地下鉄で移動することもあると思います。名古屋駅からの場合、まず地下鉄東山線を利用して隣りの伏見駅で下車し、そこで鶴舞線に乗り換える必要があります。

まずはJR名古屋駅(桜通口)を出て、地下鉄名古屋駅に移動します。

コンコースを東に進んで、JRゲートタワー方面に進みます。

外に出たら、「9 地下鉄東山線」と書かれた階段を降りるか、その奥のエスカレーターを下ります。今回は奥のエスカレーターを使って移動する方を紹介します。

JRゲートタワー横のエスカレーターを下ります。

下りたところを右に曲がるとすぐに、地下鉄東山線名古屋駅の改札があります。

「栄・藤が丘」方面の電車に乗り、1駅隣りの伏見駅で下車します。

鶴舞線では、3番線の「赤池・豊田市」方面の電車に乗車します。

鶴舞線のホームは東山線よりさらに地下にあります。

伏見駅から3駅目が鶴舞駅で、所要時間は約5分です。

無事地下鉄鶴舞線の鶴舞駅に到着しました。
鶴舞駅から会場までの徒歩ルート
JRにしろ地下鉄にしろ、着いてしまえば会場はすぐそこなのでほとんど迷う心配はありませんが、一応駅から会場までの徒歩ルートを紹介しておきます。
JR鶴舞駅から


鶴舞駅に着いたところからスタート。

会場は「公園口」側にあります。

公園口に向かう階段です。

ホームから下りて、改札に向かいます。

途中の踊り場(トイレがあります)からさらに下ったところが改札です。

公園口改札に着きました。

改札を出て左に曲がり、駅の外に出ます。

出てすぐに鶴舞公園の入口があります。

入って斜め左に進むと、地下鉄の4番出口の向こうに会場が見えてきます。
地下鉄鶴舞駅から

地下鉄鶴舞駅の会場最寄りの出口は、先ほどJRの所で紹介したように「4番出口」です。改札から4番出口までのルートを紹介します。

改札横の壁にもデカデカと案内が掲載されています。

改札を出て、まっすぐ進みます。

しばらく道なりです。

駅名にちなんで、途中の壁には鶴が羽ばたいているデザインになっています。

他の出口と分岐し、4番出口の案内に従い直進します。

突き当りに階段があります。

そのまま階段を上がります。

上がったところが、先ほどJRの所でも説明した4番出口です。
名古屋市公会堂はこんな所
後方の大きな柱が特徴の大ホール

大ホールの客席数は先ほど述べたとおり1,552席。1階席から3階席まであり、それぞれ1階が842席、2階が400席、3階が310席です。
先に述べた3度目のリニューアル工事がなされる前、名古屋市公会堂は「名古屋地区で最も人気のない会場」でした。
同規模の日本特殊陶業市民会館、名古屋国際会議場、愛知県芸術劇場などと比べて、歴史のある分設備の劣化は否めず、
「空調が効かない、夏場は暑くて水蒸気で曇って見える」
「椅子やいろんな設備がボロボロ…」
「大きな柱が邪魔で、後方の席の視界が遮られる」
などなど、名古屋市「後悔」堂などと揶揄されていた時期もあったほどです。
今回のリニューアルで空調設備と椅子は更新されたので、設備面ではずいぶん快適になった印象があります。残り1つの「柱」の問題については、この後説明します。
1階席

1階席の最後列は25列で、14列と15列の間に中央通路があります。車いすスペースは座席表上は最後列に10台分ありますが、この日の公演は中央通路前の14列に、サイドブロックの席を除外して専用のスペースを作っていました。

16列から後方は2階席の天井が張り出しています。元が古い建物のため天井高が低く、多少の圧迫感があります。

1階席はスロープが緩やかなため、全体的にフラットな造りです。天井の高さも相まって、中央通路より前の席の方が、やはり見やすいでしょう。
2階席

2階席は、1列から13列までの正面スタンド席と、左右(LB・RB)に3列ずつのバルコニー席があります。



改装前に一度、バルコニー席から鑑賞したことがありますが、多少斜めからになりますが、演者との距離も近く、適度に傾斜も付けられており見やすい席でした。
3階席

3階席は正面1列~10列のスタンド席のみ設置されています。席間の傾斜は最も強く取られており、短い間隔で高低差がかなり付けられています。

特に最後列付近は、通常の床に階段状の台を追加するなどして、最も高い位置からステージを見る形になります。


このように、傾斜は、「1階<2階<3階」の順で強くなっています。
「柱」の存在が視界を左右します
そして、これがこの会場最大の特徴というか欠点ですが、先に紹介したように1階・2階後方の左右に大きな柱が貫通しており、付近の座席の視界を遮るおそれがあります。

どうですか、この存在感(笑)。周辺で視界が特に悪くなるアングルの席は元々除外されていますが、やはり下の写真のように斜め後ろの席に運悪く当たってしまうと、ステージ全景を見ることが難しくなります。


実際にそんな席になると、もうどうしようもありませんが、事前にある程度覚悟していくことで、歴史的建造物ならではの特徴と割り切って楽しめるかもしれません。
大ホール 座席表
出典:名古屋市公会堂公式サイトより
座席

座席について、冒頭に紹介した納品元のメーカーであるコトブキシーティング㈱のサイトによれば、リニューアルにあたり、創業時のデザインを復刻させたとのことです。
背もたれのパッドは当時のノッチ(切り欠き)のデザインを忠実に再現(上の部分が少し欠けているところだと思われます)した赤い布地で、暗い色合いの木製の背もたれやひじ掛けと上品に調和しています。

細身で曲線系のフォルムが特徴的な椅子の脚部には、名古屋市の「マルハチマーク」が付いています。
その他、2階席と3階席の座席の背もたれは、1階席よりもハイバック仕様になっています。
地下喫茶室「コーヒールンバ」

歴史ある建造物である会場ですが、実は建物の地下1階に喫茶室「コーヒールンバ」があり、何と年中無休で営業しています。
会場正面玄関の右側から入って、守衛スペース奥の階段またはエレベーターで地下1階に下りたところにあるのですが、入口が分かりにくいため、来場者で存在を知る人がほとんどいません。

このようにエレベーター内にこっそり広告が貼ってありましたが、公式サイトではまったく宣伝していません。
出典:名古屋市公会堂公式サイトより
ライブがある場合、正面入口前にだいたい入場待機列やグッズ販売列、当日券販売のブースなどができるため、その列を避けて中々奥に入りにくい状態になっています。
しかし、それを突破して地下に降りることができれば、広々としたスペースで、落ち着いた時間を過ごすことができます♪

ランチもリーズナブルな価格で、自家製カレーライスやサンドイッチをコーヒー・サラダ付きでいただけます。
ケーキセットやスムージーなどもあり、知る人ぞ知る隠れ家的なお店になっています。
これがドラクエなどのRPGなら、おそらく下りた先に宝箱や重要アイテムが見つかる場所になりそうな感じです。




周辺施設
鶴舞公園(つるまこうえん)

鶴舞公園(「つるまこうえん」と読みます)が現在のような形になったのは、1920(大正9)年頃のことです。会場はこの一角に建設されました。
24.07haという広大な敷地に、歴史的建造物や花の名所、文化・スポーツ施設などが点在しており、子どもから高齢者まで多くの市民に利用され、親しまれています。1937(昭和12)年に東山動物園が出来るまでは、この公園内に動物園もあったそうです。
2009(平成21)年に、国の登録記念物(名勝地関係)に登録されました。
出典:名古屋市公会堂公式サイトより
カフェ・飲食スポット
ドトールコーヒー

JR鶴舞駅改札を出て正面にあり、時間調整に最適な場所です。
ベーカリー ピカソ

同じくJR鶴舞駅改札を出て左側にあるのが、「ベーカリー ピカソ ASTY鶴舞店」です。
季節に応じて130種類のパンのラインナップが魅力の店で、本店は近鉄烏森駅から徒歩5分のところにあります。
イートインスペースはないので、テイクアウトで鶴舞公園内のベンチで楽しむのがおすすめです。
bakery_picasso (artbread.co.jp)
おらが蕎麦

ASTY鶴舞の中にあるもう1つのお店が、グルメ杵屋レストランが経営するチェーン店の、「おらが蕎麦 鶴舞駅アスティ店」です。
安くてボリュームたっぷりが魅力の店で、1人前が普通のお店の1.5倍くらいあります。

おらが蕎麦 鶴舞駅アスティ店|グルメ杵屋レストラン (gourmet-kineya.co.jp)
名古屋大学医学部付属病院(名大病院)

名大病院は、名古屋大学鶴舞キャンパス内にある、医学部の付属病院です。
元々は1871(明治4)年に治名古屋藩評定所跡に設置された仮病院がはじまりで、150年の歴史を誇ります。
鶴舞公園周辺は名古屋大学のほかに、同じく国立大学の名古屋工業大学のキャンパスも隣接しています。
施設概要・地図
所在地
愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目1−3
アクセス
JR中央本線・地下鉄鶴舞線
「鶴舞」駅下車徒歩2分
ホール
大ホール:1,552席
(1階:842、2階:400、3階:310)
(車椅子用スペース:1階に10台分設置)
公式サイト
https://nagoyashi-kokaido.hall-info.jp/