
初めてサラマンカホールのコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
スペインの世界遺産の都市と姉妹提携を結ぶ、県立の音楽ホール。
最寄り駅からは遠いので、バス利用が必須。基本は車で向かう会場です。
サラマンカホールは、1994(平成6)年に開館した、岐阜県県民ふれあい会館(OKBふれあい会館)にある県立のコンサートホールで、正式名称は「岐阜県県民ふれあい会館コンサートホール」です。
愛称の「サラマンカ」はポルトガルとの国境付近にあるスペインの都市。旧市街には、現存するスペイン最古の大学であるサラマンカ大学やサラマンカ大聖堂があり、街全体が世界遺産に登録されている歴史ある街です。

会場内にはサラマンカ大学の紹介展示もあります。天皇皇后両陛下が訪れたこともあるそうです。

ホワイエ内にある石造のレリーフ。サラマンカ大学と大聖堂のファサードを、現地と同じ素材で模したものとのことです。
オルガンが結ぶ日本ースペイン友好の絆

公式サイトによると、会場のある岐阜県とサラマンカ市は、大聖堂にある市のシンボルの、ルネサンス期の古いオルガンが縁となったとのことです。
「鳴らずのオルガン」と呼ばれたオルガンは、岐阜県白川町に工房を構えるオルガンの建造家の辻宏氏が修復を申し出て、岐阜県がそれに協力する形で事業化され、8か月の歳月をかけて蘇りました。
サラマンカホールの愛称は公募で選ばれましたが、そうした交流が生まれる中でその後、辻氏がサラマンカホールのために、大聖堂のオルガンの特徴をとり入れたスペイン式のパイプオルガンを建造したとのことです。
国内各地のホールとの姉妹・友好ホール提携
主にクラシックで使用される中小規模のコンサートホールは全国に何カ所かありますが、当会場は「サントリーホール」(東京)、「住友生命いずみホール」(大阪)と姉妹ホール提携、「ハーモニーホールふくい」(福井)と友好ホール提携を結んでいます。
このブログを開始して以降、幸い私も上記のホールすべてに足を運ぶことができましたが、やはりクラシックを鑑賞するには、700席前後のシューボックス型のホールで聴くのが一番音楽を楽しめるのではないかと思います。
かつて、「三井住友海上しらかわホール」(愛知)や「カザルスホール」(東京)など、他にも同様の中小規模のクラシックホールがありましたが、維持費等がかさむことなどにより閉館することが多くなっています。
素晴らしい会場なので、ぜひふれあい会館のネーミングライツを取得している大垣共立銀行をはじめ、地元資本の協力を得て、これからも存続していってほしいホールの1つです。



サラマンカホールまでのアクセス
拠点はJR・名鉄の岐阜駅とJR西岐阜駅
出典:サラマンカホール公式サイトより
会場は岐阜市内にあり、最寄り駅はJR・名鉄の岐阜駅またはJRの西岐阜駅になります。岐阜県庁の西側という立地ですが、アクセスは正直言ってあまりよくありません。

一応の最寄り駅はJR西岐阜駅またはJR・名鉄の岐阜駅ですが、最も近い西岐阜駅からでも、徒歩で約25分かかるため、公共交通機関を利用する場合、両駅から出ているバスでアクセスすることになります。基本は地元の人が車で向かう会場と言えます。


JR線を利用して岐阜駅まで向かう場合は、新幹線等で名古屋駅に到着後、「岐阜・大垣」方面の東海道本線に乗り換えます。特急料金のかからない「新快速」「特別快速」「快速」等を利用すれば、所要時間20分前後で岐阜駅に到着します(運賃:片道480円)。
1駅隣りの西岐阜駅まで向かう場合は、そのまま乗り換えなしで移動します。岐阜駅から2分、名古屋駅からの片道運賃は600円です。
また、北陸方面から「特急しらさぎ号」等で岐阜駅に向かう方法もあります。敦賀駅からは所要時間約1時間15分、指定席券込みで3,420円で到着します。米原駅からなら、在来線で西岐阜・岐阜駅に50分前後(860円)、しらさぎ号で約35分(2,150円)で到着します。


一方、中部国際空港(セントレア)から向かう場合は、名鉄線を利用するのが便利です。1時間に2本の割合で「特急名鉄岐阜行き」が出ているので、終点まで乗り換えなしで到着できます。また、一部特別車なので、一般車に乗れば片道運賃(1,510円)のみで利用可能です。所要時間は約1時間7分です。


ここでは、JR・名鉄岐阜駅からとJR西岐阜駅からのバスルートを紹介しますが、アクセスとしては、マイカーやレンタカーを利用する方法が一番便利だと思います。
JR岐阜駅からのバスルート

まずはJR岐阜駅に到着してからのバスルートを紹介します。

JR岐阜駅に到着しました。

名古屋からの快速電車、北陸方面からのしらさぎ号の停車駅です。

改札を出たら、左方向に進みましょう。

2階中央出口から、建物の外に出ます。

すぐ右側に下りのエスカレーターがあるので乗りましょう。

下った先の1階にバスのりばがあります。

下りて一番近い場所にある5番のりばから、最寄りのバス停に向かうバスが出ます。

行き先の「OKBふれあい会館」の案内を確認しましょう。

時刻表示を見ると、20分に1本程度出ているのが分かります。

乗車時間約25分、片道230円で「OKBふれあい会館」バス停に到着です。
名鉄岐阜駅からのバスルート

名鉄線で岐阜駅まで来た場合は、名鉄岐阜駅前のバス停から同じように「OKBふれあい会館」までのバスが出ています。

駅に着いたら、中央改札口から外に出ましょう。

そのまま通りに面したところまで階段またはエスカレーターで下に降ります。

道路前にあるバスののりば案内を確認。「OKBふれあい会館」に向かうバスは、1番のりばから出ていることが分かるので、地図に従い左側に移動しましょう。

1番のりばバス停に到着しました。

時刻表示を確認。JR駅前から同様、ここからも20分に1本程度の本数です。
JR西岐阜駅からのバスルート

会場に最も近いJR西岐阜駅前からは、岐阜市のコミュニティバス「西ぎふ・くるくるバス」が出ています。
会場前の「県民ふれあい会館前」まで、片道100円・約11分で利用することができますが、夕方までの1日7便しかないため、あらかじめ西岐阜駅までの到着時間を確認してから利用するようにしましょう。

西岐阜駅に到着しました。

改札は1カ所です。出て左側に進みましょう。

高架駅になっており、下はタクシー乗り場等のロータリーになっています。

その一角の道路沿いにバス停があるので移動します。

岐阜バスとコミュニティバスの標識が並んでいます。

屋根の付いた木製のバス停が西岐阜・くるくるバスの標識です。

コミバスの黄色いバス車両が到着したら、中に乗り込みます。

バス車内です。コミバスによくある日野自動車の「ポンチョ」という車種が使われています。

会場付近を通るので、車内にはコンサートの案内チラシや会館の会報誌が掲示されています。

約11分で到着です。岐阜バスとバス停名は違いますが、同じ場所に着きます。
出典:岐阜市公式サイトより
バス停から会場まで

バス停に着いてからホール入口までの徒歩ルートも紹介しておきます。

停留所にある案内に従い先に進み、左側に曲がりましょう。

屋根付きの導入路が続いています。少し先の左手にエレベーター入口、その奥は1階正面玄関や2階出入口に続いています。

この日は残雪の影響で正面玄関が封鎖されていたので、エレベーター入口から入りました。

着いた先がエントランスロビーです。ホールのエントランスは建物の正面玄関から入って左側にあります。
駐車場

冒頭にお話ししたとおり、これまで見てきて公共交通機関のアクセスは決していいとは言えない会場です。地元の人は基本マイカーやレンタカーでアクセスするので、周辺は他の文化施設の利用と併せ、延べ1,000台以上の無料駐車スペースが確保されています。

会場南側の第1・第2駐車場を中心に、主に4カ所の駐車場があります。

身体障碍者用の駐車場は、建物1階に専用の屋内駐車場が確保されています。
サラマンカホールはこんな所

サラマンカホールの総客席数は708席。1階席と2階バルコニー席の二層構造で、クラシック向きのシューボックス(靴箱)型ホールです。残響時間は1.7秒~1.9秒に設定され、ホールの内装はナラの木材が使用されています。

また、天井のシャンデリアは世界的なデザイナーの石井幹子氏により「岐阜提灯」をモチーフに制作されました。
1階席

1階席の総客席数は602席で、A列からS列までの19列あります。途中、出入口扉のあるG列(7列)とH列(8列)の間に中央通路があり、G列の左右両サイドに車いすスペースが各3席分確保されています。


通路前方は段差のない緩やかなスロープによる傾斜で、概ねフラットな構造です。ステージの高さは70㎝で、最前列との距離は1.5mほどです。


通路後方は段差が付けられ、角度の付いた傾斜になっています。最後列はステージから3~4mほど高い位置にあり、距離は約20mほどになります。


2階席(バルコニー席)

2階席はすべてバルコニー席になっており、総客席数は106席あります。ステージを三方からコの字に囲むように配置されており、それぞれ左サイドがBL席(38席)、後方センターがBC席(30席)、右サイドがBR席(36席)に分かれています。


後方センターのBC席はステージに正対して配置されていますが、左右両サイドのBL・BR席の後方(25番~36番)は斜めに、前方(1番~24番)は垂直に配置されています。左右の前方の座席(1番~6番)は、ステージやオルガンの真横付近になります。


バルコニー席は、正面である程度距離のあるBC席は特に問題ありませんが、斜めから観るBL席・BR席は手前にある手すりでステージの視界が遮られる形になり、あまり見やすい席とは言えません。


座席表
出典:サラマンカホール公式サイトより
座席

座席はピンク色の座面・背もたれと、ライトブラウンの木製のひじ掛け・基礎の組み合わせです。背もたれは肩と腰の境界部分の窪みで厚さに差が付けられ、身体にフィットするよう工夫されています。

2階のバルコニー席の背もたれは、ハイバック仕様になっています。
館内設備

エントランスを入った所はロビーになっており、2階のバルコニー席に向かう階段や休憩スペースが設置されています。

入ってすぐ右側にクロークがあります。

その反対側にミュージックショップのデスクがありますが、この日は営業していませんでした。

カフェコーナーはロビー中央の客席側にありますが、この日は開演前にロビーコンサートが行われていたため、営業していませんでした。

そばにカウンターテーブルがあります。

その後方にある休憩スペースも利用可能と思われます。
周辺施設
OKBふれあい会館

OKBふれあい会館(岐阜県県民ふれあい会館)は、1993(平成6)年に開業した、岐阜県民の交流とふれあいを促進を図ることを目的にした公共施設です。
施設は地上14階建ての第1棟、地上9階建ての第2棟と、会場のあるホール棟の3つの建物から構成され、それぞれの建物は半円状に配置され、デッキでつながっているので、外見上は高さの異なる一体の建物群に見えます。
施設内には2012(平成24)年に旧岐阜総合庁舎の解体後、周辺の岐阜地域を管轄する行政機関の一部も移転してきています。
2011(平成23)年からネーミングライツ制度が開始され、当初は地元の財団法人田口福寿会が取得し「ふれあい福寿会館」の愛称が用いられていましたが、2017(平成29)から現在の大垣共立銀行が取得し、現在の愛称が用いられています。
14階 展望ラウンジ

第1棟の14階は展望フロアになっています。レセプションルームや会議室、展望レストラン「KOUZO GIFU」などの施設がほか、無料のラウンジもあるので、岐阜の街並みを見下ろすことができます。



カフェ ピッコロ

2階の3つの建物をつなぐアトリウム(中庭空間)にある「カフェ ピッコロ」です。店内では、パスタやカレーなどのランチ利用のほか、名古屋の桜山にあるジェラート専門店「LOOP」のアイスクリームも注文できます(イートイン・アウト両対応)。



この日はおすすめの「ジェラートカレーセット」を注文しました。

ジェラート2種類とドリンク付きで1,000円となかなかお得。美味しかったです♪
パティスリー アタッシェ

「パティスリー アタッシェ」は、会場から岐阜県庁方面に100mほど行った所にある、地元で人気の洋菓子店です。

店内のショーケースには美味しそうなケーキが並べられていました。

バレンタインデーの直前だったこともあり、専用のコーナーもありました。
以前は店内にイートインコーナーもあり、その場でケーキをドリンクとともに楽しめたようですが、コロナ禍以降は休業しているようです。この日は公演前に立ち寄ったので、ケーキの代わりにマドレーヌやクッキー等の茶菓子を買って帰りました。
「一蘭」&「天下一品」

会場の北には幹線道路の国道21号線(岐大バイパス)が走っており、ロードサイドにはドライバー向けの飲食・物販施設が集積しています。その中で、会場に近い場所にラーメン店の「一蘭」と「天下一品」が隣り合って建っています。


傍を通ってみましたが、特に一蘭の方はお昼時に長蛇の列ができていました。全国チェーンなのであまり地元感はありませんが、会場内のカフェが休みだった時のランチ利用などで、一考かと思います。
ビリオン珈琲 岐阜県庁西店

最後に近くのカフェの店も紹介しておきます。「ビリオン珈琲」は、主に岐阜県、福井県、石川県など中部・北陸・近畿地方を中心に展開している喫茶店・カフェで、私も金沢在住時によくお世話になったお店です。
会場のすぐ西側を走る県道173号線の交差点を渡った角にあり、開演前の時間調整やランチ利用で便利なスポットです。
ビリオン珈琲HP:https://birioncoffee.com
施設概要・地図
所在地
岐阜県岐阜市薮田南5丁目14番53号
アクセス
JR岐阜駅・名鉄岐阜駅下車 バス約20分
JR西岐阜駅下車 徒歩約25分・バス約10分
(岐阜バス・くるくるバス利用)
「OKBふれあい会館」下車
ホール
総客席数:708席
(1階席:602席 2階バルコニー席:106席)
※車いすスペース:1階G列に6席分
公式サイト
https://salamanca.gifu-fureai.jp/