初めてシェルターなんようホール(南陽市文化会館)へコンサートに訪れる人を対象に、会場までのアクセスや施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
山形南部にそびえる、ギネス認定された「世界最大」の木造コンサートホール。
ぜひ一度は訪れて、その質感と音響を体感しよう。
シェルターなんようホール(南陽市文化会館)は、2015(平成27)年10月、それまでの市民会館が築45年を迎えた際に、東日本大震災で被災したことを機に建設されました。
建設に当たっては、地域の森林資源を活用する目的で、地元南陽市の山から切出したスギ材を活用し、国内最先端の技術を取り入れた木質耐火部材が採用されました。
こうした大型の木造耐火施設は日本初とのことで、メインの大ホールは「最大の木造コンサートホール(Largest wooden concert hall)」として、2015(平成27)年12月にギネス世界記録®︎に認定されています。
そんな経緯もあり、同じく山形のやまぎん県民ホールとともに、個人的に是非一度訪れてみたかった施設です。
2017(平成29)年4月から、地元山形市に本社を持つ木材建築メーカーである「株式会社シェルター」がネーミングライツを取得し、「シェルターなんようホール」の愛称で親しまれるようになりました。
その後、2020(令和2)年4月に契約を更新し、2023(令和5)年3月まで引き続き同社がネーミングライツを取得しています。
シェルターなんようホールまでのアクセス
山形新幹線を利用する場合
JR・新幹線赤湯駅までの鉄道ルート
鉄道を利用する場合、拠点となるのはJR・新幹線の「赤湯」駅です。東京駅からは山形新幹線に乗車します。
東京駅→山形新幹線「つばさ」号乗車→赤湯駅着
所要時間:約2時間20分 料金:11,120円(指定席利用)
北陸・新潟方面から向かう場合は、途中の大宮駅で山形新幹線に乗り換えます。大宮駅から赤湯駅までの所要時間は約2時間です。
赤湯駅から会場までの徒歩ルート
赤湯駅から会場までは、徒歩で約15分かかります。途中、踏切を越えながら進むルートを解説します。
赤湯駅の改札を出たところからスタートします。
出口のロータリーを左側に進みます。曲がってすぐに「蔵寿し」というお寿司屋さんがあります。
赤湯駅北駐車場の前を通過します。
しばらく行くと、道が左にカーブします。
カーブした先に、山形鉄道フラワー長井線の踏切があります。
踏切を渡った後は、右側にカーブして進みます。
しばらく道なりに進みます。
やがて大きな道路と合流するT字路に出ます。その先に会場の建物も見えます。
会場が近づいてきたら、T字路の先の道の右側に移動しておきましょう。
左側にローソンがある交差点が、会場入口です。右に曲がりましょう。
曲がって左側にある建物が、南陽市役所です。
そしてその向かいにあるのが、会場のシェルターなんようホールです。お疲れさまでした。
山形鉄道フラワー長井線を利用する場合
さきほど踏切のところで触れた「山形鉄道フラワー長井線」は、赤湯駅から会場の最寄り駅(というか会場前の)「南陽市役所」駅を1駅で結んでいる大変便利な路線です。
ただし、時刻表を見てもらえばわかりますが、1時間に1本程度しかありません(1本もない時間帯もあります)。
ちなみに赤湯駅に到着する山形新幹線も1時間に1本程度。タイミングが合わないと、会場まで歩いたほうが早くなります。
例えば、会場で14時に始まる公演の場合、赤湯駅を13時5分発の電車に乗れば便利ですが、赤湯駅に到着する山形新幹線は12時21分で、待ち時間が40分もあります。これだと、駅から会場まで歩いたほうが早くなります。
赤湯駅周辺にお店はほとんどないので、なかなか昼食やカフェで時間つぶしもできないのがネックとなります。
せっかくの始発駅なので、新幹線の到着時間に合わせて、ダイヤを組んでもらえるとありがたいのですが…。
南陽市役所駅までは片道190円です。バスのように、車内で直接現金で払うことも可能です。
乗車する場合は、新幹線やJRの改札を通ってフラワー長井線のホームに向かいます。
JRのホームを通って、高架橋に進みます。
案内に従い、高架橋を渡ります。
フラワー長井線は、4番ホームから発車します。
ホームに下りると、すでに電車が到着していました。
車内からの駅名看板です。
フラワー長井線の車内です。
ほどなく隣りの南陽市役所駅に到着しました。
ホームからすでに会場が見えています。お疲れさまでした。
山形空港経由で飛行機・レンタカー利用の場合
さて、首都圏や北陸・新潟方面からであれば新幹線が便利ですが、名古屋以西から遠征する場合は、山形空港まで飛行機を利用し、そこからレンタカーを利用するのがおすすめです。
山形空港までは2022年11月現在、JALとFDAで東京(羽田)、大阪(伊丹)、名古屋(小牧)、札幌(新千歳)から1日8往復運航されています。
実際今回の遠征で私は、名古屋(小牧空港)から山形空港まで移動し、レンタカーを利用する行程を組みました。
山形空港に着いたら、到着ロビー横のカウンターでレンタカーの受付を済ませます。
車両は一般車に紛れて、空港の駐車場に駐車されていました。
山形空港から会場までの道のりは約60㎞。途中高速を使って約1時間で到着します。周辺の観光もできるのがいいですね。
駐車場
さきほど紹介したフラワー長井線の南陽市役所駅前から会場までの一帯は、約400台収容可能な無料駐車場になっています。
駐車スペースは十分すぎるほどありますが、終演後は一斉に車が出口の交差点に殺到するため、少し混雑することを覚悟しておいてください。
シェルターなんようホールはこんな所
温かく柔らかな「木の音楽空間」が特色の大ホール
大ホールの座席数は1403席。プロセニアム形式のステージで2階席やバルコニー席はなく、1階席のみの構造です。
最前列から6列目まではフラットな構造で、7列目から段差が付けられています。1A扉と1B扉の間が中央通路になっており、13列目と14列目の間に位置しています。
傾斜の角度は、7列目以降から最後列までほぼ一定です。最後列は34列ですが、2階席の天井などもなく、全体に開放的で見やすくなっています。
1A扉から見た中央通路付近。結構通路幅が広いと感じていましたが、左右のサイドブロックは12列で、13列はセンターブロックのみ設置されていました。
この公演では、1B扉を出たところに取り外された13列の座席が置かれていました。他にも最前の1列も、撮影のため撤去されていました。
木の素材を生かした柔らかな質感の音響
出典:シェルターなんようホール公式サイトより
この日の公演を非常に楽しみにしていたのですが、他のホールにはない独特の「ぬくもり」の感じられる音響を堪能できました。
木造建築だけあって、神社仏閣の中で聴くようなどこか厳かな雰囲気と、檜風呂に入っているような癒しの感覚に包まれ、落ち着いた環境に身を置いていることを実感できます。
都心から離れたそれほど大きくないホールですが、名だたるアーティストが公演しに来ているのも頷けます。
座席表
出典:シェルターなんようホール公式サイトより
座席
座席は当然木の枠組みに通気性の良い赤の布地の構造です。座面、背もたれともに適度な硬さで、疲れにくい素材です。
小ホール
出典:シェルターなんようホール公式サイトより
小ホールは約400㎡の平土間形式の空間で、約350席(最大500人)が収容可能です。
ステージは移動することができ、様々な用途に使用できます。
その他、会議室や子供の遊び場である「木育ひろば」やキッチンスタジオなど、館内のあらゆる設備が木のぬくもりを感じられる造りになっています。
エントランス・ホワイエ
エントランス(玄関)を入ると、そこはかとない木の香りとともに、一面木で出来た空間が目に飛び込んできます。
8本の大柱が立つ交流ラウンジ
玄関を入ってすぐのところにある、8本の大柱に囲まれた「交流ラウンジ」です。
ここだけ天井が高くなっており、大柱にはそれぞれ山形県周辺にある山の名前が付けられています。
歴代コンサート演者のポスター&サイン色紙展示
会場名物の1つに、ラウンジ内の壁一面に、歴代コンサート演者のポスターとサイン色紙が飾られています。
ギネス世界規則®︎認定や音響の良さもあってか、ジャンルを問わず錚々たる顔ぶれのアーティストがその名を連ねており、開演前のひと時を鑑賞して過ごせます。
開業当時には宝塚歌劇などもここで上演されたそうです。
私の贔屓にしている方々も、しっかり掲示されておりました。
周辺施設
赤湯温泉
出典:山形県公式サイトより
山形県は「温泉王国」と呼ばれており、県内の各所に温泉が湧き出ています。
南陽市内にも、会場やJR赤湯駅の近くに「赤湯温泉」の温泉街があり、多くの旅館やホテル、桜の名所やワイナリーが点在しています。
赤湯温泉は千年近くの歴史を誇り、江戸時代に米沢藩の上杉家が治める時代になると、上杉鷹山など歴代の殿様が入る箱湯として、保護されるようになったそうです。
今回は宿泊しませんでしたが、ライブ遠征後に宿泊して、温泉を満喫するプランもいいと思います。
熊野大社
熊野大社は出雲の国一之宮の正式名称を指すため、正式には「熊野神社」ですが、1200年以上の歴史を持つ「日本三熊野」の1つである、由緒ある神社です。
「東北のお伊勢さん」として、縁結びや御朱印、七五三参りなどで地元以外の人々にも親しまれています。
大銀杏
熊野神社の石段の手前に聳え立っているのが、樹齢900年を超えるご神木の「大銀杏」です。
実に平安時代の「前九年の役」や「後三年の役」の際、源氏の八幡太郎義家が熊野大社に必勝祈願に訪れた際、その家臣によって植えられたと伝えられています。
訪れた時期は、ちょうど紅葉の真っ盛りでした。大銀杏のほか、もみじも綺麗に紅く色づいていました。
この時期は夜間のライトアップもされているようなので、レンタカーで観光する人にはおすすめのスポットだと思います。
icho cafe
大銀杏のそばにたたずむカフェ「icho cafe」です。
神社の売店をリノベーションし、現在は地元の食材などを使用した豊富なメニューを提供しており、地元の人や参拝者で賑わっていました。
酒井ワイナリー
こちらもアクセスにはレンタカーが必要ですが、赤湯温泉近くにあるワイナリーの1つに、「酒井ワイナリー」があります。
1892(明治25)年創業の老舗で、自作の畑で採れたブドウなどで造ったワインを販売しています。
毎年5月には「ワインフェスティバルin赤湯」」のイベントにも出展しているそうです。
菓匠 萬菊屋(まんぎくや)
最後に、会場近くの和菓子・洋菓子店の「菓匠 萬菊屋」を紹介しておきます。公式サイトによると、創業は江戸時代後期で、赤湯温泉最古の和菓子屋とのことです。
赤湯駅からの徒歩ルートで紹介した、会場入口にあるローソンの隣りにあります。
和菓子の人気メニューは「ごま最中」や「なんじょだべ」、「和三盆どら焼き」、「フルーツ大福」などがあるようです。
また、2015年に洋菓子部門のパティスリー「510Maison de CinQ-dix(メゾン・ド・サンクディス)」がオープンし、焼き菓子やバースデーケーキなどを提供しています。
店内にはこの日会場で公演したハロプロユニットを歓迎するポップアップ広告が飾られていたので、記念に焼き菓子を買って帰りました。
当日この店の和菓子が差し入れでメンバーに提供されていたことが、juice=juiceメンバー(段原瑠々さん)のブログで分かりました。
出典:Juice=Juiceオフィシャルブログより
施設概要・地図
所在地
山形県南陽市三間通430番地の2
アクセス
・JR赤湯駅から徒歩約15分
・タクシー:約4分
・山形鉄道フラワー長井線
「南陽市役所」駅下車:徒歩約3分
ホール
大ホール:1,403席(1階席のみ)
小ホール:約350席(最大500人)
公式サイト
https://nanyoshi-bunkakaikan.jp/