初めて「紀尾井ホール」のライブに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
四ツ谷、麹町、赤坂見附、永田町の各駅の中間点に位置する音楽専用ホール。
周りは元々大名屋敷で、今は上智大学やホテルニューオータニなど由緒ある建物に囲まれています。
アクセスは「四ツ谷駅」から徒歩での移動が便利。
紀尾井(きおい)ホールは、1995(平成7)年、新日本製鐵株式会社(現・日本製鉄)の創立20周年の記念事業として設立され、オープンしました。
地上7階、地下2階の建物の正式名称は「日本製鉄紀尾井ビルディング」で、日本製鉄株式会社が所有しています。
設計が山下設計(日本製鉄との共同企業体)、音響が永田音響設計のおなじみのコンビで、音楽専用の紀尾井ホール(中ホール)と紀尾井小ホール(小ホール)の2つのホールを有しており、「優良ホール100選」にも認定されている会場です。
また、ホールのレジデントオーケストラとして紀尾井ホール室内管弦楽団が設置され、音楽家とその愛好家を応援する活動を行っています。
先ごろ、日本製鉄が発表したところによると、会場は開館30周年となる2025(令和7)年からリニューアル工事を検討していることが分かりました。
工事期間は2025(令和7)年8月から2026(令和8)年12月までを予定しているとのことです。
紀尾井ホールまでのアクセス
遠征組は四ツ谷駅に向かうのがおすすめ
紀尾井ホールの最寄り駅はいくつかありますが、ライブ遠征の点ではJRまたは東京メトロで「四ツ谷」駅に移動するのがおすすめです。
会場名にもなっている「紀尾井町」は千代田区で、四ツ谷駅は新宿区にあるのですが、すぐ隣りの区でそんなに離れていません。
四ツ谷駅はJR中央線(快速)でも、東京メトロ丸ノ内線でも、東京駅から乗り換え無しで到着することができます。中央線の場合、四ツ谷駅まで3駅約9分、丸ノ内線の場合は5駅約12分で、運賃はどちらも片道180円(ICカード178円)です。
東京駅に着いたら、まずは在来線への乗り換え口にむかいましょう。
案内表示に従い、コンコースを移動します。
中央線は丸の内口寄りなので、端から端まで移動する形になります。
1・2番線ホームが中央線です。快速・特快にかかわらず、神田・御茶ノ水の次の3駅目が四ツ谷駅です。
東京メトロ丸ノ内線に乗る場合は、そのまま丸の内改札口を出て移動します。
赤い丸印の丸ノ内線の案内に従い進みましょう。
丸ノ内線の東京駅改札に着きました。
1番線の新宿・荻窪方面の電車に乗車します。
東京駅から5駅目が四ツ谷駅です。
四ツ谷駅から会場までのアクセス
出典:紀尾井ホール公式サイトより
次に、四ツ谷駅に着いてから会場までの徒歩ルートを紹介します。
最寄り駅の中で四ツ谷駅は、会場までのアクセスの点でも他の駅からよりもおすすめである理由が、公式サイトに記載されています。
四ツ谷駅から会場までは「外堀土手(ソフィア通り)」と呼ばれる遊歩道を移動することで、平坦で距離も徒歩約6分の最短で到着する一方、他の駅からは単純に距離があったり、上り坂の場所が多かったりで、それなりに体力を消費することが記載されています。
「四ツ谷」とか「渋谷」、「赤坂」「神楽坂」のように、地名に「谷」や「坂」が付くところは、くぼんでいてアップダウンが多い地形になっています。
東京は坂道が多い街なので、距離だけでなく高低差にも注意して、ルートを選びたいところです。
ということで、素直に四ツ谷駅から向かうことにしましょう。
JR中央線で、四ツ谷駅に着きました。
丸ノ内線や「赤坂口」の案内に従い移動します。
「赤坂口」改札に着きました。
上智大学や迎賓館方面の案内表示に従い、移動します。
出口は橋のたもとに続いています。
丸ノ内線の四ツ谷駅は地上駅で、出口もJRとすぐ近くにあります。
そのまま前方に進み、橋のところまで来たら右に曲がります。
橋の名前は「四谷見附橋(よつやみつけばし)」と言います。奥に上智大学の校舎も見えます。
橋を渡り終えたら、横断歩道の先を右に曲がりましょう。
外堀土手(ソフィア通り)に入りました。
通りの名前にも関連している上智大学の敷地が左に続いています。
会場のすぐ手前に、江戸時代の「尾張名古屋藩屋敷跡」の石碑があります。
その先が会場の建物です。
入口は道なりに左にグルっと回った先にあります。お疲れ様でした。
紀尾井ホールはこんな所
シューボックス型の800席の中ホール
メインとなる中ホールの総客席数はちょうど800席。クラシックや室音楽に適したシューボックス(靴箱)型の構造で、優れた音響空間を確保しています。
1階席
1階席の総客席数は522席あります。最後列は21列で、途中、7列と8列の間に中央通路があります。
全体的に傾斜はフラットですが、通路後方の8列以降は多少傾斜が付けられ、千鳥配列にもなっているので、後列からもステージの見え方は悪くありません。
また、両サイドには2階席のみならず1階席にも、2列ずつバルコニー席(BL・BR席)が設置されています。横からになりますが、中央の席に比べ一段高いところから観る形になり、見易くなっています。
2階席
2階席の総客席数は278席で、センターブロック(122席)の最後列は7列(両サイドは5列まで)です。
また、バルコニー席が1階席より多く、両サイドを取り囲むように、左右に2列・77席ずつ、設置されています。
2階席の背もたれは、1階席に比べ木製基礎部分が伸びたハイバック仕様になっています。
紀尾井ホール 座席表
出典:紀尾井ホール公式サイトより
座席
座席はライトブラウンの基礎と肘掛けに、ウグイス色?抹茶色?のような、上品な淡い緑色の座面・背もたれの組み合わせです。腰のところで座面が分かれています。
ロビー・ホワイエ
エントランスホールを入った所にあるロビーはコンパクトな広さです。受付スペースとクロークがあるのみで、トイレは地下1階にあります。
右奥に進むとホールの後方に位置するホワイエがあります。
バーコーナー
バーコーナーは、階段またはエレベーターで2階に上がった所にあります。開演前、休憩中に営業しており、アルコール(ビール・ワイン・ウィスキー)を含む飲物と、ビスケットやサンドイッチなどの軽食を注文することができます。
建物の2階にあるので、窓からの景色は開放感があります。周辺の緑と奥に佇むホテルニューオータニの建物を見ながら、くつろぎのひとときを過ごせます。
小ホール
出典:紀尾井ホール公式サイトより
小ホールの総客席数は250席で、1階席のみのワンフロア構造です。こちらも音楽専用ホールで、能舞台を思わせるステージは、クラシックよりも雅楽や能楽等の「邦楽」に適したホールと言えます。
エントランスホールは会場入口のすぐ右側にあります。中ホールと異なり、トイレや自販機コーナー、ホワイエなどがすべてワンフロアに収まっています。
ロビー
出典:紀尾井ホール公式サイトより
ホワイエ
出典:紀尾井ホール公式サイトより
小ホール 座席表
出典:紀尾井ホール公式サイトより
周辺施設
上智大学 四谷キャンパス
上智大学は1913(大正2)年創立、1928(昭和3)に設置された私立大学です。
元々はイエズス会が開設した日本で唯一のローマ教皇庁立大学とのことで、ミッション系の大学の中でも正真正銘の由緒ある教育機関です。その威光はヨハネ・パウロ2世やフランシスコなど、歴代ローマ教皇が訪日した際などにも訪れるほどです。
大学創立当時、四谷キャンパス一帯は徳川御三家の一つである尾張徳川家の中屋敷であり、会場との境界付近には、アクセスルートでも紹介した石碑が立っています。
ちなみに「紀尾井町」の名前は、「紀州」「尾張」「井伊」の武家屋敷があったところから来ている由緒ある地名です。
敷地の前の通りの名前にもなっている「ソフィア」は、「神の叡智」を意味しており、大学の名前や建学の精神を表しています。
聖イグナチオ教会(カトリック麹町教会)
大学に隣接する土地にある「聖イグナチオ教会」は、過去にイエズス会や上智大学の協力を得て再建された建物で、現在は17,000人を超える信徒を抱える、日本最大規模のカトリック教会です。
ホテルニューオータニ
ホテルニューオータニは1962(昭和37)年に、2年後の東京オリンピック開催にあたり、外国人来訪者の受入れ先として財界が中心となって建設されたホテルで、会場と道を挟んだ向かいにあります。
約2万坪に及ぶホテルの敷地は、元々戦国武将の加藤清正の下屋敷があった場所が江戸時代に彦根藩井伊家中屋敷となり、維新後に皇族の伏見宮家の邸宅となっていました。
明治時代の伏見宮邸
出典:三井住友トラスト不動産「このまちアーカイブス」(麹町)より
第二次大戦後、伏見宮家は皇籍を離脱し、邸宅の跡地は「大谷財閥」の大谷米太郎が買い取り自邸としていましたが、政府や財界からの要請を受諾し、ホテルを建設しました。
高層ホテルの先駆けであり、館内に広大な日本庭園や約40軒のレストラン、約1500の客室を擁する高級ホテルの代名詞として、確固たる地位を築いています。
ライトアップされた日本庭園
出典:ホテルニューオータニ公式サイトより
施設概要・地図
所在地
東京都千代田区紀尾井町6番5号
アクセス
JR・東京メトロ「四ツ谷」駅下車
徒歩約6分
東京メトロ「麹町」駅下車
徒歩約8分
東京メトロ「赤坂見附」駅下車
徒歩約8分
東京メトロ「永田町」駅下車
徒歩約8分
ホール
中ホール:800席
(1階:522席、2階:278席)
小ホール:250席
公式サイト
https://kioihall.jp/