
初めてメディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)のコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
宮崎駅北西の総合文化公園内にある劇場・ホール。
レンタカーで向かうのが無難ですが、バス利用時やホテル宿泊時の拠点は、宮崎駅から少し離れたところにある繁華街の橘(たちばな)通り周辺がおすすめです。
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)は、1993(平成5)年、宮崎駅北西の総合文化公園内に、宮崎県民の多様な文化活動と豊かな生活の創造を目的に開館した、県民文化の拠点施設です。
施設内にはオーケストラ専用のホールとして設計された「アイザックスターンホール(コンサートホール)」をはじめ、演劇公演を主眼に置かれた「劇場ホール」、小規模のイベントや公演等に使用される「イベントホール」の3つのホールを有しており、様々なコンサートが開催されています。
本格的な音響設備も完備されていることが評価され、2007(平成19)年に「優良ホール100選」に選ばれています。また、2025(令和7)年で30周年を迎えた「宮崎国際音楽祭」のメイン会場としても使用されています。

その他、1996(平成8)年からは、本会場同様に3つのホールを有する三重県の文化施設である三重県総合文化センターと姉妹館提携を結んでいます。

2011(平成23)年より、宮崎県発祥の医療関連企業である株式会社メディキットがネーミングライツを取得し、愛称が「メディキット県民文化センター」となりました。
施設の老朽化に対応するため、2023(令和5)年8月から改修のため長期休館していましたが、2025(令和7)年3月にリニューアルオープンしました。
メディキット県民文化センターまでのアクセス
会場最寄りのバス停は5か所
出典:メディキット県民文化センター公式サイトより
電車や飛行機で宮崎県へ遠征する場合の拠点となるのは、JR宮崎駅・宮崎空港またはバスセンターのある宮交シティです。
公共交通機関を利用する場合、一応バスを使うことになるのですが、この会場は、アクセスルートに課題があり、説明になかなか苦労する会場です。
まず、会場最寄りのバス停は、上記地図に記載の以下の5つがあります。
Ⓐ 「文化公園」 バス停
文化公園の敷地内にあります。
Ⓑ 「宮崎神宮」 バス停
会場から少し離れた宮崎神宮の参道前にあります。
Ⓒ 「文化公園前」バス停
文化公園前通り沿いの会場付近にあります。
Ⓓ 「霧島3丁目」バス停
平和台線沿いの公園西側の手前にあります。
Ⓔ 「霧島4丁目」バス停
平和台線沿いの公園西側にあります。
宮崎駅から直通のバスは1日4本程度

宮崎駅から直通で向かうことのできるバスは、宮崎駅大和(やまと)口(東口)のバスのりばから出ています。
「東1」のりばから「8番」系統の「平和台」行きに乗車し、「霧島3丁目」またはその次の「霧島4丁目」で下車します。所要時間は約25分です。




ただ、時刻表を見てもらうとわかりますが、本数がほとんどありません。平日の日中で1時間に1本、土日祝日はわずか1日4本なので、よほど時間が合わない限りは、利用価値は低いと言わざるを得ません。
宮崎駅から「橘通り」周辺のバス停に移動

このため、アクセスの要となるのは、宮崎駅から西に伸びる「高千穂通り」を約800m歩いたところにある「橘通り」との交差点(「橘通3丁目」交差点)付近になります。
橘通り周辺は市の繁華街の中心で、宿泊場所にも適しています。主に宮崎空港や宮交シティ方面から、橘通りを経由して「文化公園」や「文化公園前」「宮崎神宮」に停車する系統のバスの往来が多くなっています。
「デパート前」周辺のバス停で乗り換え

宮崎駅から橘通り周辺までは、徒歩で移動すると約7~8分かかります。駅からバスを利用する場合、いったん「橘通り」周辺のバス停で下車し、バスを乗り継ぐ必要があります。
「橘通3丁目」交差点の一角には百貨店の「宮崎山形屋」があり、周辺の5箇所のバス停は、まとめて「デパート前」と呼ばれています。
各バス停名は、近くの建物の名前を取って「①宮崎ナナイロ前」「②ホテルルートイン宮崎橘通」「③野村證券前」「④カリーノ宮崎前」「⑤山形屋前」となっています。
https://www.google.com/maps/d/embed?mid=1kExdiZg_b2unLioXKnXjIQN0-dTI9NAI&ehbc=2E312F
宮崎駅から向かう場合、交差点に近い「⑤山形屋前」またはその先の橘通りに入ったところにある「橘通3丁目」バス停で下車します。

ちなみに「③野村證券前」「④カリーノ宮崎前」は、会場から宮崎駅への帰路において、「文化公園前」から「③で下車し④に乗り継ぐ」ことで、宮崎駅前に到着します。


「①宮崎ナナイロ前」は、会場とは別方向の宮崎駅方面に向かうバス停になるので、今回は説明を省略します。
「山形屋前」または「橘通3丁目」バス停で乗り換え

「⑤山形屋前」(写真撮り忘れましたが山形屋1階のスタバの前に停まります)で下車した場合は、交差点の斜向かいにある「②ホテルルートイン宮崎 橘通」に移動します。また、「橘通3丁目」で下車した場合は、道路の反対側にあるバス停に移動しましょう。

「②ホテルルートイン宮崎橘通」バス停は、文字通り、ホテルの目の前に建っています。

バス停の時刻表です。ほぼすべての系統で、最寄りの「文化公園」「文化公園前」「宮崎神宮」のいずれかに停まります。


「②ホテルルートイン宮崎橘通」から「文化公園」「文化公園前」までの所要時間は約9分(片道210円)です。このホテルに宿泊していれば、荷物を預けて出発時間直前までのんびり過ごすこともできるのでおすすめです(私も宿泊しました)。
今回は宮崎駅からのバスルートで紹介しましたが、宮崎空港や宮交シティからの場合でも、同様に橘通り周辺のバス停で乗り換えることで、目的地まで到達することができます。
宮崎空港や宮交シティからのアクセスの参考には、同じく宮崎市内にある「宮崎市民文化ホール」の記事を合わせてお読みいただければと思います。

「宮崎神宮」バス停から会場までの徒歩ルート

会場には「文化公園」や「文化公園前」バス停の方が近いのですが、本数的には「宮崎神宮」バス停に停まる便の方が多いので、「宮崎神宮」バス停から会場までの徒歩ルートを紹介しておきます。

バス停に着いたら、参道入口とは反対の方向に移動します。

案内に従い、突き当りの道を右に曲がりましょう。

後は道なりにまっすぐ進むだけです。

会場までの所要時間は徒歩約5分です。

道中にはフルーツタルトの専門店やおしゃれなカフェ(後述)もあります。

文化公園前通りまで来たら、奥に見えるのが会場建物です。お疲れさまでした。
駐車場は文化公園内の共有駐車場を利用
出典:メディキット県民文化センター公式サイトより
路線バスのアクセスが少々不便なこともあり、この会場の交通手段としてはやはりレンタカー・マイカー利用が一般的です。
会場周辺に専用駐車場はありませんが、総合文化公園内に「公園北駐車場」(169台)、「公園南駐車場」(362台)の2つの駐車場があるほか、公園北側に臨時駐車場(約100台)が確保されています。


3か所の総収容台数は約630台ですが、園内の美術館や図書館等の利用者と共同で利用することになるので、公演開催日はすぐに満杯になるおそれがあります。利用する際は、時間に余裕をもって訪れましょう。
宮崎駅からタクシー利用の場合は約10分
バスによるアクセスが面倒で、レンタカーも利用しない場合は、宮崎駅からタクシーを利用するのが一番手っ取り早いと思います。
宮崎駅から会場までの道のりは約3キロ・所要時間は約10分で、タクシー利用時の料金は約1,200円です。
メディキット県民文化センターはこんな所
アイザックスターンホール

メインホールのアイザックスターンホール(コンサートホール)の総客席数は1,818席で、建物の1・2階と3・4階にまたがるスロープ席と、建物の2階・3階のサイドに配されたバルコニー席の組合せになっています。
オーストリアのウィーン学友協会にある大ホール「ムジークフェラインスザール(黄金の間)」(ニューイヤー・コンサートでお馴染みですね)をモデルにした、シューボックス(靴箱)型の構造で、壁や天井、座席配置に至るまで音響面を考慮された、クラシック向きのホールです。
ホール名はヴァイオリニストから

元々このホールは、単に「コンサートホール」という名称でしたが、宮崎国際音楽祭の初回から第6回まで、メインゲストとして毎回訪れた世界的なヴァイオリニストであるアイザックスターン氏に由来します。

記念のレリーフに記載の通り、同氏が情熱をもって行ったアジアの若手音楽家への指導や、宮崎国際音楽祭を発展させた功績に対する感謝の証として、2004(平成14)年に命名されました。
重厚なホールにふさわしい、かっこいい名前ですね。
ステージ後方に設置のパイプオルガン

ステージの後方に鎮座するパイプオルガンは、九州の公立ホールで初めて設置された㈱須藤オルガン工房製作の国産のオルガンで、国内最大の大きさを誇ります。
地元の西都原古墳群から出土した子持家形埴輪(国の重要文化財)をモチーフとしたデザインで、4,047本あるパイプから66の音色を奏でることができます。その音色の中には、宮崎の神楽をモチーフにした「篠笛」の音色も取り入れられているとのことです。
1・2階スロープ席

建物1・2階のスロープ席の総客席数は860席(車椅子・介助席を除く)で、1列から30列まであります。途中、10列と11列の間に中央通路が設置されており、19列までは1列あたり32席、両端部分が少し狭くなっている20列以降は1列あたり24席配置されています。


通路前方の10列まではフラットに近い緩やかな傾斜で、いわゆる平土間席のようになっています。最前列は着席時の視線とステージの高さがほぼ同じになる感じです。




中央通路から後方は、前方に比べ傾斜が付けられています。最後列付近は建物の2階に位置する形で、2階バルコニー席とほぼ同じ高さになります。
なお、車いすスペース(介助席込み)は、先頭(1列)の左右両端に2席ずつと、最後列(30列)の中央ブロックに8席分配置されています。
3・4階スロープ席

建物3・4階のスロープ席の総客席数は360席。1・2階席からの連番で、31列から42列までの12列あります。途中、出入口の階段に続く形で、36列と37列の間に中央通路が設置されています。


1・2階席に比べ傾斜は強めで、通路後方は高さもあって、ステージを俯瞰で見下ろすような感じになります。




2・3階バルコニー席

建物の2階・3階の両サイドには、バルコニー席が設置されています。後方のスロープ席に近い側はステージに対し斜めに配置、前方のステージに近い席は真横に配置されています。


2階バルコニー席の総客席数は342席で、両端を除き前後3列(L・R:1~3列)ずつ設置されています。


3階バルコニー席の総客席数は242席で、2階からの連番で前後2列(L・R:4列・5列)ずつ配置されています。


前後の座席の高低差は十分にとられており、前の席の人の頭で視界が遮られるような心配はありませんが、やはりステージを斜め横から見るアングルになるので、どうしてもステージ手前の部分が若干見えづらくなってしまうことは否定できません。

アイザックスターンホール 座席表
出典:メディキット県民文化センター公式サイトより
座席


座席はピンク色の座面・背もたれと木製のひじ掛け・基礎の組合せです。背もたれの背中から腰の位置にかけてY字型のラインが入ったデザインで、クッションもほどよい硬さの座り心地でした。
建物3・4階のスロープ席と2・3階のバルコニー席は、背もたれ部分の基礎が伸びたハイバック仕様になっています。
演劇ホール

演劇ホールの総客席数は1,112席で、建物の1・2階と3・4階に分かれたスロープ席の二層構造になっています。
1・2階スロープ席

1・2階スロープ席の総客席数は742席で、1列から21列まであります。途中、11列と12列の間に中央通路が設けられています。
レイアウトは通常時と、反射板前舞台やオーケストラピット使用時に分かれており、反射板前舞台やオーケストラピット使用時は、1列から5列までの138席が撤去され、総客席数は604席となります。


今回訪れた公演では反射板前舞台を使用していたので、最前列は6列となります。舞台設置の場合の最前列との距離は下の写真の通りで、舞台自体の高さは80cmくらいでしょうか。演者の足元と観客の視線の高さが、ほぼ同じくらいになります。


座席間の傾斜は通路前方がスロープによる傾斜で緩め、通路後方は段差(2段)が付けられており、前方よりも多少急になっています。


3・4階スロープ席

3・4階スロープ席の総客席数は370席で、列番は1・2階席からの連番で22列から30列までの9列分あります。途中、26列と27列の間に中央通路が設けられています。




メインのアイザックスターンホールのようなバルコニー席はなく、スロープ席のみの構造です。1・2階席に比べ傾斜は強めで、視界は良好になっています。


演劇ホール 座席表
通常時 出典:メディキット県民文化センター公式サイトより オーケストラピット・反響板使用時
座席


座席は(少し写真ではグレーがかって見えますが)薄紫色の座面・背もたれと木製のひじ掛け・基礎の組合せです。デザインはアイザックスターンホールと同じく、背もたれにY字型のラインが入っています。
イベントホール
出典:メディキット県民文化センター公式サイトより
イベントホールは、演奏会や講演会などの利用形態に応じて、客席やステージ等を様々な形に変更できる多目的ホールです。
座席はすべて移動席となり、最大で300席まで収容することができます。最大配列の場合、1列あたり21名掛けで13列と、最後列(14列)に27席配置することになります。
出典:メディキット県民文化センター公式サイトより演奏会設営例 ステージ側からの眺め
基本レイアウトはフラットフロアのため段差はありませんが、視界を確保するため、後方に段差を付けることも可能です。
イベントホール 座席表
出典:メディキット県民文化センター公式サイトより
館内設備
出典:メディキット県民文化センター公式サイトより
会場の建物は地上2階・地下1階の構造で、1階と2階がホールフロアになっています。また、地下1階には各種練習室フロアが設置されています。
建物1階

1階の正面入口は、公園中央の文化広場に面した所にあります。

1階はチケットセンターの他、ミーティングルームや和室があります。

中に入った。

右側にレストラン「レミューズ」がありましたが、残念ながら2023(令和5)年7月に閉店してしまいました。

レストランの代わりに、その横に自販機と休憩コーナーが設置されています。

一番右のオレンジ色の自販機は、地元宮崎ゆかりの飲物が販売されています。

日向夏のドリンクやゼリー飲料のほか、地元製造のコーヒーもありました。
建物2階

建物2階の上がった所はホールエリアに通じる「光のプラザ」というスペースになっており、正面にイベントホール、左側にアイザックスターンホール、右側に演劇ホールの入口があります。




周辺施設
宮崎県総合文化公園

宮崎県総合文化公園は、置県100年記念事業により、宮崎大学農学部の跡地(東西450m・南北370mの長方形)に、2つの広場(県民広場・文化広場)と3つの文化施設からなる総合公園として整備されました。

文化施設は1988(昭和63)年に1つ目の宮崎県立図書館が整備され、続く1993(平成5)年に今回の会場である宮崎県立芸術劇場、そして1995(平成7)年に宮崎県立美術館が完成しました。





その後の1998(平成10)年には、施設全体が建設省(現・国土交通省)より公共建築百選に選定されました。
公園内には宮崎県出身で歴史的な功績を残した6名の人物の像が「郷土先覚者たちの銅像」として設置されています。




上記の他、「小村 寿太郎」像や「石井 十次」像もあります。
宮崎県総合文化公園 – 木々や草花がいっぱい!街の真ん中にある文化・アスレチックスポット「総合文化公園」。図書館や美術館、芸術劇場で文化に触れて、帰りは広場をお散歩しよう!
宮崎神宮

会場最寄りのバス停の1つが参道入口になっている宮崎神宮は、神日本磐余彦尊(かむやまといわれびこのみこと、後の神武天皇)を御祭神とし、その父君と母君の2柱を配祀する由緒ある神社です。





地元では「神武さま」と呼ばれ親しまれており、毎年10月26日とその直後の土日には例大祭が行われています。
杏カフェ

会場近くのカフェとして、「杏(あんず)カフェ」を紹介しておきます。「宮崎神宮」バス停から会場までのアクセスルートで紹介した、会場近くの道路沿いにあります。
カフェ利用で立ち寄りましたが、サラダと宮崎牛ステーキがセットになったボリュームたっぷりの「ボールジャーサラダランチ」でも有名な人気店のようです。

店内のショーケースには、美味しそうなケーキが並んでいました。

この日はキャラメルりんごチーズケーキとコーヒーのセットを頼みました。
英国式庭園

レンタカー利用者向けのスポットとして、英国式庭園を紹介しておきます。リゾート施設のシーガイアなどがある日向灘沿いの「一ッ葉エリア」にあります。


黒松林の間に、イギリスのガーデンデザイナーであるロビン・ウィリアムズ氏が設計したガーデンハウスを中心に、四方に趣の異なる庭園が配されています。




ガーデンハウス内はカフェになっており、アフタヌーンティーやスコーン・シフォンケーキ等を、紅茶やハーブティーとともに楽しめます。


江田神社

同じく一ッ葉エリアの北端にある江田神社は、国生みの神様である伊邪那岐尊(イザナギノミコト)と伊邪那美尊(イザナミノミコト)の夫婦を祀る神社で、恋愛成就のパワースポットとしても有名です。


宮崎の神話に関する案内も掲示されており、近くには伊邪那岐尊が亡くなった伊邪那美尊を追って黄泉の国に行き、けがれを受けた際にみそぎを行ったという「みそぎ池(御池)」もあります。


施設概要・地図
所在地
宮崎県宮崎市船塚3丁目210
宮崎県総合文化公園内
アクセス
宮崎交通バス
・「文化公園」 バス停下車 徒歩約1分
・「文化公園前」バス停下車 徒歩約1分
・「宮崎神宮」 バス停下車 徒歩約5分
・「霧島3丁目」 バス停下車 徒歩約4分
・「霧島4丁目」 バス停下車 徒歩約5分
ホール
アイザックスターンホール
総客席数:1,818席
・1・2階スロープ席:860席
(車椅子・介助者席:14席)
・3・4階スロープ席:360席
・2階バルコニー席:342席
・3階バルコニー席:242席
演劇ホール 総客席数:1,112席
・1・2階スロープ席:742席
・3・4階スロープ席:370席
イベントホール
・総客席数:最大300席
公式サイト
http://www.miyazakibunkahall.jp/