
初めていわき芸術文化交流館・アリオスへコンサートに訪れる人を対象に、会場までのアクセスや施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
大小4つのホールを有する、福島県浜通り地区最大の文化芸術拠点。
駅からのアクセスは少し歩きますが、道は分かりにくくありません。
いわき芸術文化交流館・アリオス(通称:いわきアリオス)は、福島県いわき市にある市民の多様な文化・芸術・交流活動の拠点です。
施設は地上6階建ての本館と、地上4階建ての別館で構成されています。本館は旧・平(たいら)市民会館の跡地に建設され、別館は旧・いわき市音楽館を改修して転用する形で、まず2008(平成20)年に大ホールと小劇場などがオープンし、翌2009(平成21)年に中劇場など全ての施設が完成し、グランドオープンしました。
いわゆる敷居の高い「文化の殿堂」的な位置づけではなく、子どもから大人まで多くの市民が気軽に集い、自分らしく楽しめる「コミュニティ空間」であることをコンセプトに、大小4つのホールでコンサート、演劇、バレエ、落語、市民文化祭など、様々なジャンルのイベントや公演が開催されています。
施設の愛称の「アリオス(ALIOS)」は、公募によって選ばれ、「芸術(Art)、生活(Life)、情報(Information)、憩い(Oasis)、観光(Sightseeing)」の頭文字を組み合わせた、文化施設がもたらす多様な要素を表しています。
福島県浜通り地方の中核都市・いわき市
出典:東京福島県人会ホームページより
今回の会場があるのは、福島県のいわき市。北海道、岩手県に次いで、日本で3番目に大きい福島県は、県内を南北に連なる阿武隈(あぶくま)高地と奥羽(おうう)山脈によって、「中通り・会津・浜通り」の3つの地方に分けられ、いわき市はその中の浜通り地方南部の中核都市です。
東北地方ですが太平洋側にあるので、比較的温暖な気候で、県内で一番暖かく、冬でも雪がほとんど降りません。
市内には日本最大級の温泉テーマパークであるスパリゾートハワイアンズや、生き物本来の環境に近い状態を再現した東北最大級の体験型水族館であるアクアマリンふくしまという、2つの大きな体験型レジャー施設を有する観光都市でもあります。
いわきアリオスまでのアクセス
最寄り駅はJR常磐線「いわき」駅

会場の最寄り駅はJR常磐線の「いわき」駅。東北新幹線沿いの白河、郡山、福島といった中通り地方の都市に比べ、他の地域からのアクセスには時間がかかる場所になります。
主な交通手段としては、都心からJR常磐線を走る特急「ひたち」号と、周辺の都市からいわき駅前に向かう高速バスになります。
県内には福島空港もありますが、国内線は札幌便と大阪便しかないのと、中通り地方にあるので、空港からのバスアクセスは郡山方面のみ、レンタカーで向かう場合でも片道1時間以上かかるので、あまり使い勝手はよくありません。
今回は品川駅・東京駅から特急ひたち号で向かうルートと、周辺都市の1つである宮城県の仙台駅前から高速バスを利用するルートで紹介します。
品川・東京駅から特急「ひたち」号を利用

まずは最もオーソドックスな特急ひたち(・ときわ)号を利用する鉄道ルートの紹介です。

東海道・山陽新幹線でJR常磐線との接続駅となる品川駅・東京駅で乗り換えます。
品川駅から

新幹線で品川駅に着きました。

在来線の乗り換え口に向かいましょう。

9番・10番のりばに移動します。

9番ホームから発車予定のひたち号(始発)に乗車します。
東京駅から

終点の東京駅からのルートも紹介しておきます。

こちらも在来線乗り換え口に進みます。

7番・8番のりばに移動します。

7番ホームから発車予定のひたち号に乗車します。

ひたち号の車内です。

席幅が広めのリクライニングシートで快適ですが、コンセントはありません。

品川駅から約2時間45分、東京駅から約2時間20分でいわき駅に到着します。

駅に着いたら改札階に移動し、会場のある南口方面に出ましょう。
周辺都市から高速バスを利用

続いていわき駅前まで高速バスを利用するルートの紹介です。新常磐交通株式会社が運行しており、主だったところでは同じ福島県内の郡山駅前からや、特急ひたち号の代わりに東京駅前から利用する手段もあります。
今回、私は遠征先をはしごする中で、お隣りの宮城県の仙台駅前からの高速バスを利用したので、そのルートを紹介します。

いわき方面のバスは、仙台駅東口のバスのりばから出ています。

駅の1階にある高速バスのきっぷうりばと待合スペースです。

案内板を確認。いわき方面行きは74番のりばから発車します。

74番のりばにバスが到着しました。バス停はヨドバシカメラ前にあります。

バス車内。シートタイプは4列ワイドシートでした。

仙台駅前から途中休憩をはさみ、約2時間50分でいわき駅前に到着しました。
いわき駅から会場までの徒歩ルート

いわき駅に着いてから、会場までの徒歩ルートを紹介します。所要時間は約15分で、いくつかルートはありますが、一番わかりやすいと思われる2つの交差点を経由して、会場のある南(地図の左方向)に向かうルートで紹介します。

いわき駅の改札からスタートします。

まずは改札を出ましょう。

出た先の案内を確認し、右側の南口に進みます。

南北をつなぐ連絡通路を移動します。

駅舎から出ると、デッキの先に駅前大通りが続いています。

そのまま右側に回り、先にある階段または隣りの駅ビル「LATOV(ラトブ)」経由で地上に降りましょう。

しばらく道なりに移動します。

1つ目の「十五町目(じゅうごちょうめ)」交差点まで来たら、右に曲がります。

交差点に横断歩道がないので、手前の地下道を通ります。

地下道を向かい側に進みます。

先まで来たら、案内に従い右側から地上に上がります。

出た先をしばらく道なりに移動します。

会場の近隣にある美術館の案内も確認できます。

2つ目の「平中町(たいらなかまち)」交差点まで来たら、横断歩道を渡り左側に進みましょう。

あとは会場まで直進するだけです。

いわき市文化センター前を通過。会場まであと300mほどです。

いわき市立美術館前を通過します。

その先に平中央公園の緑が見えてきます。

公演の先に、会場建物があります。

駅から徒歩約15分で、会場エントランス(東口)に到着です。お疲れさまでした。
最寄りのバス停は「平中町」停留所のみ

公共施設なので会場前までバスが走っていてもよさそうなものですが、最寄りのバス停は、先ほどの徒歩ルートで出てきた平中町交差点付近にある「平中町(たいらなかまち)」バス停しかありません。バス停から会場までは、徒歩で約6分程度かかります。
いわき駅前からの路線バスはいくつか系統が出ており、2つ目のバス停になります。ただし、平日に比べ土日・祝日は本数が少なめで、歩いた方が早くなるケースが多そうです。
ちなみに当該バス停は東京方面からの高速バスの停留所にもなっているので、東京便を利用して直に会場に向かう場合は、いわき駅でなくこのバス停で下車すると、早く着きます。
いわきアリオスはこんな所
4つのホールと3つのネーミングライツ

いわきアリオスは冒頭触れたように、大小4つのホールを有しています。そのうち、大ホール、中劇場、小劇場にはネーミングライツ制度により、それぞれ「アルパイン大ホール」「セキショウ中劇場」「GSユアサいわき小劇場」という愛称がつけられています。
| ホール名 | 愛称 | パートナー企業 |
| 大ホール | アルパイン大ホール | アルプスアルパイン株式会社 |
| 中劇場 | セキショウ中劇場 | 関彰商事株式会社 |
| 小劇場 | GSユアサいわき小劇場 | 株式会社GSユアサいわき |
アルプスアルパイン株式会社は、いわき市に工場を持つなど、地域に深く根差した企業で、エレクトロニクス部品や車載情報機器などを手掛けています。2023(令和5)年4月からネーミングライツを取得しました。
株式会社関彰商事は、茨城県に本社のあるエネルギー、自動車、情報システムなど多岐にわたる事業を展開している企業で、福島県内でも事業拠点があります。2025(令和7)年4月からネーミングライツを取得しました。
株式会社GSユアサいわきは、いわき市に工場を持つ、電源装置やリチウムイオン電池モジュールなどを製造する企業です。以前はネーミングライツ・パートナーの決定に至らず、従来の愛称「ボルテックス」が使用されていましたが、2025(令和7)年4月にネーミングライツを取得しました。
ちなみにもう1つの音楽小ホールは、大ホールと同じ時期の2023(令和5)年4月から5年間の予定で地元のいわき信用組合がネーミングライツを取得し、「いわしん音楽小ホール」という愛称が付けられていましたが、2025年の不祥事を受けて辞退の申し出があり、同年6月付けで契約が解除され、正式名称で使用されています。
アルパイン大ホール

アルパイン大ホールの総客席数は1,705席です。シューボックス(靴箱)型で、1階席と2階席から4階席までの3層バルコニー形式のホールです。クラシックコンサートに適しており、音響反射板により4階席まで音が均一に届くよう設計されています。
コンサート・演劇・舞踊・講演会などのほか、能舞台や仮設花道といった古典芸能に必要な設備も備えている多機能ホールです。
1階席

1階席の総客席数は886席で、1列から27列まであります。途中、1階左右の出入口扉に続く形で、9列と10列の間に通路が設置されています。


通路前方の傾斜は緩やかで、1列目から2列目までは段差がなくフラットで、6列目までの189席は、オーケストラピット設置時に取り外されます。


通路後方は、先頭の10列から19列までは段差1段分の傾斜が付けられています。また、19列と20列の間に柵が設けられ、20列以降の傾斜は段差2段分と少し強めになっています。


なお、車いす席は、通路直後の10列・11列の左右両端に各2席と、中央ブロック最後列の26列に4席の計8席分設置されています。

2階席

2階席の総客席数は236席で、舞台正面に正対するスタンド席(C)と左右のバルコニー席(L・R)との組合せです。


スタンド席は1列から6列まであり、座席間の傾斜は段差が2段分付けられています。



バルコニー席は左右各2列確保されており、1列目が各20席、2列目が各12席の計64席配置されています。


3階席

3階席の総客席数は255席で、2階席と同じく舞台正面に正対するスタンド席(C)と左右のバルコニー席(L・R)との組合せです。


スタンド席は1列から6列まであり、座席間の傾斜は段差が2段分付けられています。



バルコニー席は左右各2列確保されており、1列目が各24席、2列目が各12席の計72席配置されています。2階席に比べ、前後の席の高低差があります。


4階席

4階席の総客席数は328席で、2階席・3階席と同じく舞台正面に正対するスタンド席(C)と左右のバルコニー席(L・R)との組合せです。4階まで来るとステージとの距離にかなりの高低差を感じるようになります。
スタンド席は1列から9列まであり、座席間の傾斜は段差が2段分付けられています。途中、4列と5列の間に中央通路が設置されています。


バルコニー席は左右各1列のみの配置で、各28席の計56席配置されています。


アルパイン大ホール 座席表
1階席・2階席 出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより 3階席・4階席
座席

座席はブラウンとベージュの中間色の座面・背もたれに木製のひじ掛け・基礎の組み合わせです。背もたれは真ん中にスリットの入ったデザインで、座面のクッションも厚めに確保されており、座り心地は上々でした。


バルコニー席を除く2階席以降の上階の座席は、ハイバック仕様になっています。
セキショウ中劇場
出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより
セキショウ中劇場は、可変式の舞台形式により、様々な用途に合わせて利用可能なホールで、1階席と2階バルコニー席の二層構造です。
客席数は基本パターンの8間プロセニアム形式(687席)のほか、ポディウム(センターステージ)形式(565席)、3方向から舞台を囲むスラスト形式(517席)などのステージプランが可能です。また、古典芸能にも対応できる設備を備えています。
| 舞台形式 | 客席数(バルコニー席・車いす席を含む) |
| 8間プロセニアム形式 | 687席 |
| 能舞台形式 | 643席 |
| 花道形式 | 640席 |
| 6間プロセニアム形式 | 500席 |
| ポディ517席 | 565席 |
| スラスト形式 | 517席 |
セキショウ中劇場 座席表
出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより
GSユアサいわき小劇場
出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより
GSユアサいわき小劇場の総客席数は233席(車いす席4席を含む)で、ワンボックス型・1層バルコニー形式の多目的空間です。
座席は1階席が1列から9列までと、2階はステージを除く3面にバルコニー席が左右に各1列、ステージに正対する向こう正面に2列配席されています。
客席は引き出し状に収納し、平土間形式で使用することが可能で、演劇・ダンス・ライブなど様々なステージプランに対応することができます。
GSユアサいわき小劇場 座席表
1階席 出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより 2階席
音楽小ホール
出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより
別館2階にある音楽小ホールの客席数は最大200席(車いす席2席を含む)で、フラットな空間に座席を1列から12列まで並べることができます。
ピアノや合唱、室内楽の演奏会などに適した音楽専用のホールで、市民憩いのラウンジとしての機能もある多目的空間になっています。
音楽小ホール 座席表
出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより
サンドウィッチカフェ「Pique+Nique(ピッケ ニッケ)」

会場の本館2階の南側にあるカフェ「Pique+Nique(ピッケニッケ)」は、フランス語の「ピクニック(pique-nique)」に由来するサンドウィッチカフェです。


地元産の食材を取り入れたヘルシーなサンドウィッチ、キッシュ、スイーツや自家製ドリンクなどが楽しめます。


テイクアウト時には、バスケットやシート、おしぼりの無料貸出しを行うピクニックセットレンタルサービスもあります。
サンドウィッチカフェ Pique+Nique|いわきアリオス
館内設備
出典:いわき芸術文化交流館アリオス公式サイトより
本館のエントランス(公園口)を入ったところにエントランスロビーがあります。ロビーの左側から東口に至る場所にはアリオスクロスラウンジ(上の図面ではショップ・レストランになっています)というフリースペースがあります。


正面に設置されたエスカレーターで2階のカスケード(交流ロビー)に向かった先に、アルパイン大ホールとセキショウ中劇場のエントランス、カフェ等が設置されています。


本館の2階から別館に続く連絡通路が続いており、その先に音楽小ホールのエントランスがあります。


残るGSユアサいわき小劇場のエントランスは、カスケード内にあるエレベーター等で4階に上がった所にあります。


自動販売機は、本館1階アリオスラウンジ前、本館1階総合楽屋口、本館2階カスケード(美術陶板裏)、別館1階ラウンジに設置されているほか、コインロッカー(100円返却式)も、自販機の横に設置されていました。


施設内にはこのほか、各ホールに隣接してラウンジ等のスペースが豊富に確保されているほか、棟方志功氏作の旧・平市民会館の緞帳を転写した美術陶板なども展示されています。




周辺施設
平中央公園

「平(たいら)中央公園」は、会場の北側に隣接している市営の公園です。
面積は約15,000㎡(サッカーコート2面分ほど)の広さがあり、1年を通してパークフェスなどのイベントが多数開催され、多くの市民が訪れる場所になっています。
訪れたこの日もいわき市内の飲食店が出店した「秋の喰酒祭」が開催されており、ビールや日本酒、ウィスキーなどのお酒とともに、各店の趣向を凝らしたメニューが味わえました。


いわき市立美術館

いわき市立美術館は、1984(昭和59)年に開館した市営の美術館で、アクセスルートで出てきたように会場の北側にあります。地域の美術振興や、市民の鑑賞機会の提供、美術教育の拠点としての役割を担っています。
館内の作品のコレクションは、近代美術の流れを主軸としつつ、地域ゆかりの作家の作品に重点を置いています。
近代美術は20世紀初頭から第二次世界大戦頃までの、特にシュールレアリズムや抽象表現主義の作品が収集されているほか、地元いわき市出身または活動にゆかりのある作家の作品を積極的に収集・展示しています。その他、国内外の優れた版画作品の収集にも力を入れています。
開館時間:9:00~17:00
観覧料(常設展):一般 220円(団体割引:170円)
※JAF会員証等で、団体割引の料金が適用されます。
https://www.city.iwaki.lg.jp/artmuseum.html
マクドナルド いわき平店

「マクドナルド いわき平店」は、平中町交差点から1つ西側の交差点角にあります。
24時間営業でドライブスルー付きなので、時間や交通手段を気にせず、お手軽に利用できる会場近くのスポットです。
https://map.mcdonalds.co.jp/map/07550
施設概要・地図
所在地
福島県いわき市平三崎1−6
アクセス
JR常磐線「いわき」駅下車
徒歩約15分
新常磐交通「平中町」バス停下車
徒歩約6分
ホール
アルパイン大ホール
総客席数:1,705席(通常時)
(1階886、2階236、3階255、4階328)
※1,2階のみ使用時:1,122席
※オーケストラピット使用時:1,516席
※車いす席8席を含む(1階席)
セキショウ中劇場
総客席数:最大687席
※8間プロセニアム形式としての利用時
※120〜170席のサイドバルコニー席を含む
※車いす席4席を含む
GSユアサ小劇場
総客席数:233席
※車いす席4席を含む
音楽小ホール
総客席数:最大200席
※車いす席2席を含む
公式サイト
http://iwaki-alios.jp/













