初めてあましんアルカイックホール(尼崎市総合文化センター)のコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
阪神尼崎駅から立体遊歩道で直結の老舗ホール。
大阪方面からのアクセスも良く、日帰り遠征も可能な会場です。
あましんアルカイックホール(尼崎市総合文化センター)は、1982(昭和57)年、地域の美術・音楽・演劇等の拠点施設として、先に開館していた美術館等のある文化棟とともに、ホール棟を含めグランドオープンしました。
運営主体は公益財団法人尼崎市文化振興財団で、大・中・小の3つのホールを有する会場は、オーストラリア(シドニー)にあるオペラハウスと友好ホール提携を結んでいるほか、「優良ホール100選」にも選定されています。
2012(平成24)年からネーミングライツ(命名権契約)を地元の地銀である尼崎信用金庫(あましん)と締結しており、以降は「あましんアルカイックホール」という愛称で親しまれています。それに伴い、大ホールを「アルカイックホール」、中ホールを「アルカイックホール・オクト」という名称が使用されています。
また、ホール棟の隣りには、かつて住友生命が所有していた地上100mのホテル棟が建っており、現在は近鉄グループの「都ホテル尼崎」が営業しています。
伝統芸能とお笑いのまち 尼崎
近松門左衛門
会場のある尼崎にゆかりのある人物として、江戸時代に歌舞伎や人形浄瑠璃の劇作家として名を馳せた近松門左衛門がいます。
近松は、大阪の船問屋・尼崎屋吉右衛門宅に出入りしながら旅人や行商人との情報交換を通じて作品作りに活かしていましたが、その際に尼崎市の久々知(塚口駅周辺)にある広済寺の住職・日昌上人とも親交を深めていました。
その日昌上人の実家が尼崎屋吉右衛門宅と言われており、広済寺内に仕事部屋を構えるなど尼崎で晩年をすごした後、寺内の墓に眠っています。
会場を運営する(公財)尼崎市文化振興財団では、講演会や人形劇、朗読会など、近松にちなんだイベントや催しが定期的に開催されています。
桂米朝
また、戦後の上方落語の重鎮で、人間国宝でもあった桂米朝が、息子(双子の次男三男)の誕生後から自身が亡くなるまでの終の棲家として居を構えた場所も、ここ尼崎(武庫之荘地区)です。
氏は満州の大連生まれで、私の故郷でもある兵庫県姫路市出身(後に名誉市民となり、市内の名古山霊園に墓所があります)でもあります。
尼崎に移り住んでからは、桂枝雀、桂ざこばなどどともに、一門の内弟子修行を行ったり、会場や尼崎城近くの施設(琴秋園)で落語勉強会を開いたりするなど、地区の発展や景観維持などにも貢献してきました。
あましんアルカイックホールまでのアクセス
阪神尼崎駅までの鉄道ルート
出典:あましんアルカイックホール公式サイトより
会場の最寄駅は阪神尼崎駅。大阪梅田で阪神線に乗り換える必要がありますが、阪神梅田駅から最短でわずか7分という、アクセスのいい会場です。兵庫県とは言っても、ほぼ大阪市内という感じの立地です。
ライブ遠征の拠点となるのは、新幹線の新大阪駅または近鉄線の大阪難波駅になるでしょうか。
ここでは、「新幹線で新大阪駅まで来た」という前提で、新大阪駅から最寄りの阪神尼崎駅までの鉄道ルートと、阪神尼崎駅から会場までの徒歩ルートを紹介します。
新大阪駅から阪神梅田駅まで
新大阪駅に着きました。まずはここから阪神線に乗り換えるため、JR在来線の大阪駅まで移動します。
ホームに下車後、在来線への乗り換え改札に向かいます。
まずは改札階に移動し、乗り換え改札を通ります。
在来線は「7・8番線」のホームに進みましょう。
大阪駅までは、すべての電車が停車するので、先に出発する便に乗ればOKです。
大阪駅に着きました。ひとまず中央出口から出ることにします。
ホームを降りて、中央改札に向かいましょう。
ここからは阪神線の大阪梅田駅を目指すので、案内に従い「右」に進みます。
そのまま階段またはエスカレーター経由でサウスゲートビルディングに入ります。
サウスゲートビル内を直進すると、大阪梅田駅はもうすぐです。
大阪梅田駅(百貨店口)改札に着きました。
阪神梅田駅から尼崎駅まで
大阪梅田駅は始発駅で、尼崎駅方面はすべての電車が停まります。普通電車で8駅目、急行で2駅目、特急で1駅目に停車し、所要時間は最短で約7分です。
尼崎駅までの運賃は片道250円です。
何に乗車しても着きますが、普通より後から出る急行の方が早く到着します。
急行「西宮」行きに乗車しました。
阪神電車も色々な車両がありますが、今回はクロスシートでした。
急行の所要時間は約9分で、尼崎駅に到着しました。
阪神尼崎駅からの徒歩ルート
出典:あましんアルカイックホール公式サイトより
尼崎駅に着いたら、ひとまず駅の北側にある「中央公園」の方に出ましょう。改札口は北口と西口がありますが、公園に近いのは西口になります。
中央公園からは会場近くまで立体遊歩道が通っており、途中は車や信号を気にせず進むことができます。
尼崎駅西口に着きました。
西口へは中央改札を右に出て移動しましょう。
北方面に出れば、中央公園は目の前です。
出たところの右側には、エスカレーターとその先に続く遊歩道が見えます。
エスカレーターを上って、立体遊歩道に進みましょう。
遊歩道の幅は広く、広場のようになっています。
そのまま道なりにカーブしながら、北方向に進んでいきます。
ほどなく右側に続く通路があるので、道なりに移動します。
遊歩道の下を流れる庄下川(しょうげがわ)を渡っていきます。
途中、右側に「アマゴッタ」という商業ビルがあります。
しばらく行くと、左側(北)に向かう通路があるので、そのまま進みます。
北を向いた先に、会場名の書かれた白い建物が見えます。
遊歩道の端に着きました。ここからいったん地上におります。
エレベーターまたは階段で下に降りていきます。
降りたところに小さく案内があるので、それに従い右に移動します。
すぐ隣りに、会場に向かう入場口があります。お疲れ様でした。
あましんアルカイックホールはこんな所
アルカイックホール
会場のメインとなるアルカイックホール(大ホール)の総客席数は1,820席。
オーケストラによるコンサートはもちろん、オペラ、バレエ、舞踊など、さまざまなイベントに対応できる本格的な多目的ホールです。
1階席
1階席の総客席数は1,352席で、1列から27列まであります。途中、16列と17列の間に中央通路が設置されています。
また、先頭の1列から4列での118席は、オーケストラピット設置時に取り外されます。
3列〜4列付近。オーケストラピット設置時は、間のラインの箇所に壁が取り付けられます。
2列目からステージを見たときの眺め。
座席間は、6列目付近までは概ねフラットな構造で、緩やかなスロープ程度の傾斜になっています。7列目以降から段差が設けられ、傾斜が少し付けられています。
中央通路後方からは、段差が前方の2倍になり、その分傾斜が強めになっています。
最後列(27列)の中央部分は車いすスペースになってます。
2階席
2階席の総客席数は468席で、1列から10列まであります。途中、5列と6列の間に中央通路があります。座席の傾斜は1階席よりも急で、前の人の頭で視界が気になることはないでしょう。
1列と2列は左右両サイドのブロックのみで、センター部分は3列からになります。
奥が左サイドブロックで1列から、手前がセンターブロックで3列からになります。
センターの3列目。手すりとの距離があり、足元はゆったりしています。
アルカイックホール 座席表
出典:あましんアルカイックホール公式サイトより
座席
アルカイックホールの座席は、真紅の座面・祖も誰と黒色の肘掛けの組み合わせです。座面のクッションは厚みがあり、背もたれは腰の部分と背中の部分で区切られています。
エントランス・ホワイエ
正面玄関を入ると、優雅で大きなデザインの照明が設置されたホワイエがあります。大きな柱や壁面の模様も重厚感があります。
ホワイエ内には他にも彫像やステンドグラスも飾られており、いかにも昭和の公共建築といった風情があります。
エントランスは庄下川に近い緑地帯の横にあります。
エントランス横にはカウンターが設置されており、駐車場の割引等の手続きができます。
1階ホワイエの脇には、休憩用のソファと自販機が設置されています。
反対奥のスペースはカフェバーでしたが、現在は使用されておらず、自販機が設置されていました。
こちらは2階ホワイエです。階段の幅の分だけ、1階より狭くなっています。
コインロッカーは1階に小型のもの(有料)が設置されています。
ホワイエ内は他にも、休憩スペースやソファがあちこち設置されており、開演時間までのんびり過ごすことができます。
シートの座面や背もたれは、ホール内と同じく真紅で統一されています。
アルカイックホール・オクト
出典:あましんアルカイックホール公式サイトより
アルカイックホール・オクト(中ホール)は、大ホールとは別棟にあり、その名の通り八角形の建物内にあります。
総客席数は基本パターンの場合650席で、可動席を追加した場合、総客席数は804席まで拡張が可能です。
ホール内は八角形の形状をそのまま活かしており、上3辺にあたるエリアをステージとして、残りの5辺に囲まれたエリアを客席として使用しています。
そのうえで客席を碁盤の目のように細分化し、縦をBからFまでの5つ、横を1から7までの7ブロックに分けて配席されており、CブロックとDブロックの間に中央通路があります。
出典:あましんアルカイックホール公式サイトより
写真や公式サイトの画像をご覧いただくとわかりますが、全体的にフラットな作りで、座席間の傾斜は緩めに設定されています。
アルカイックホール・オクト 座席表
出典:あましんアルカイックホール公式サイトより
アルカイックホール・ミニ
出典:あましんアルカイックホール公式サイトより
アルカイックホール・ミニ(小ホール)は、文化棟の2階にあり、その名の通り八角形の建物内にあります。
別名を「玉翔の間」といい、コンサートや講演会で使用する場合は移動席で250席、パーティー会場等で円形のテーブル付きで使用する場合は、最大120名で利用が可能です。
場所は文化棟の2階にあり、大ホールに向かう手前で右に曲がったところに、入口に向かう階段があります。
上がった先に、「玉翔の間」と書かれたエントランスがあります。
同じフロアには美術ホールのギャラリー・アルカイックもあります。
「カフェ・ブラヴォー」というレストランも営業していましたが、残念ながら2023(令和5)3月で閉店しました。
周辺施設
都ホテル尼崎
冒頭に紹介したホール棟、文化棟に隣接して建っているのが、都ホテル尼崎です。
地上100m、22階、地下1階のフルサービスホテルで、館内には6つのレストランやバーが併設されているほか、フィットネスや美容室等もあります。
ライブ遠征を考える場合、前泊や後泊でこのホテルを利用すると、昼公演と夜公演の間に荷物を預けて休憩したり、チェックアウト後に荷物を預かってもらえたりするので、大変便利です。
ホテルの勝手口は、アルカイックホール・オクトのホール棟と連結しているので、スムーズに行き来できるメリットがあります。
客室
今回私も、往復の新幹線とセットになった旅行プランで宿泊しました。
シングルルームは19㎡の広さがあり、ミニテーブルもあってゆったり過ごせます。
ベッドはセミダブル(シングルB)で男性でも広々使えます。
枕元はおそらく後付けと思われますが、コンセントも2つ付いていました。
バスルームはオーソドックスなユニットバスで、アメニティも一通り揃っています。
ミニバーと冷蔵庫。電子ケトルとお茶、ペットの水が1本付いてきます。
1階ラウンジ
ホテル1階にあるロビーラウンジ「ザ・ラウンジ&ケーキショップ」です。コーヒー1杯で時間調整をしたり、サンドイッチなどのランチプレートやスイーツセットなどのブランチメニューを楽しむことができます。
ホテルのフロントとロビーに面したところにあります。
ランチは少々値は張りますが、ミニサンドとドリンクのセットは1,280円でいただけます。コーヒーはお替り可能です。
レストラン アゼリア
1階にはこのほか、「レストラン アゼリア」もあります。ブッフェスタイルで料理を提供しており、ライブ遠征ではあまり利用する機会は少ないかもしれませんが、朝食付きの宿泊プランを」利用した場合は、ここが朝食会場になります。
アマゴッタ
尼崎駅から会場に向かう立体遊歩道の途中にあるのが、ライフステージモール「アマゴッタ」です。
観光客向けというよりも地元の生活密着型のショッピングモールという感じですが、コンビニやカフェ・グルメ施設も入っており、ライブ遠征民にも使い勝手が良い存在です。
テナント内のカフェとグルメのお店を、1つずつ紹介します。
Holly’s Cafe
立体遊歩沿いの3階の一番駅に近い場所にあるのが「Holly’s Cafe(ホリーズカフェ)」です。
関西圏を拠点にチェーン展開するセルフサービス方式のカフェで、ダッチコーヒー(水出しコーヒー)が売りの比較的リーズナブルな価格で楽しめるのが魅力です。
会場併設のカフェが閉店してしまったので、会場から最も近いカフェの1つとして利用価値の高いお店です。
看板のダッチコーヒーのほか、ケーキやソフトクリーム、パフェ等のメニューが充実しています。
店内は外の光を取り入れた明るい雰囲気で、思ったより広々としています。
ホテルは朝食なしの宿泊プランだったので、ここで朝食をとりました。
モーニングセット。半切トースト2枚とゆで卵のオーソドックスな組合せです。
油そば きりん寺
1階にある油そばの店「きりん寺」です。開店は11時30分で、早めに昼食をとろうと、開店直後に入店しました。
1階に降りて床下川沿いの場所に入口があります。
メニューは油そばのみ。トッピングの種類により値段が変わるだけです。
店内はカウンター席が7,8席とテーブル席が2つと、こぢんまりしています。
今回は半熟玉子油ぞばを注文。ごはん付きのセットもありました。
阪神電車尼崎車庫赤レンガ倉庫
尼崎駅前には、1905(明治38)年に運行を開始した阪神電車の発電所として建設された、尼崎車庫赤レンガ倉庫があります。
現存しているのは当時の建物の西側に位置していた施設で、2012(平成23)年に「第8回まちかどチャーミング賞(まちなみ建造物部門)」を受賞しています。
赤レンガ倉庫の奥には阪神電車の尼崎車庫(東部列車所)があります。
尼崎駅に到着する直前に車庫の全景が見えますが、なかなか壮観です。
尼崎城址公園
尼崎車庫の向かいにある道を越えたすぐ近くにあるのが、尼崎城址公園です。公園内にはメインのお城のほか、芝生広場やお子様用の複合型遊具が設置されています。
尼崎城
元の尼崎城は、大坂夏の陣後の1617(元和3)年に、譜代大名の戸田氏鉄(とだうじかね)によって築城され、3重の堀と4層の天守を持つ広大な城が江戸時代を通じそびえていましたが、明治維新後の1873(明治6)年に廃城が決まり、処分されました。
地元の家電量販店「ミドリ電化」の創業者である安保詮(あぼあきら)氏から、創業の地である尼崎市にお城を再建し、市に寄付する意向があり、2019(平成31)年、尼崎城址公園内に鉄筋コンクリート造の高さ約24mの四重天守が建築されました。
新天守内では様々なコーナーが設けられており、親子で楽しみながら歴史を学べる施設として親しまれています。
天守閣の最上階の内部です。
天守閣から尼崎駅方面を見たところです。赤レンガ倉庫も見えます。
なりきり体験ゾーンでは、城主やお姫様、忍者のコスプレ体験ができます。
様々なサイズの衣装が揃っています(私はさすがにやりませんでした…)。
VRで再現された尼崎城下町を大画面で楽しめるコーナーもあります。
期間限定の企画展示。私が訪れた時は、日本の名城の模型が展示されていました。
櫻井神社
尼崎城のすぐ隣りに、最後の尼崎藩主である櫻井忠興(さくらいただおき)公を祀った「櫻井神社」があります。
御祭神は初代から末代の忠興公までの16代の藩主で、尼崎城築城当時の礎石や幕末の本丸御殿の煉瓦などが残っています。
境内には学問の神として本居宣長が師と仰いだ江戸時代中期の僧侶・契沖(けいちゅう)を祀った契沖神社もあります。
施設概要・地図
所在地
兵庫県尼崎市昭和通2丁目7-16
アクセス
阪神電鉄「尼崎」駅 下車
立体遊歩道で徒歩約5分
ホール
アルカイックホール
・総客席数 1,820席
(1F : 1,352席 / 2F : 468席)
アルカイックホール・オクト
・総客席数:804席(可動堰最大)
(基本パターン:650席)
アルカイックホール・ミニ
・総客席数:250席(移動堰最大)
(テーブル利用の場合:円形120名)
公式サイト
https://www.archaic.or.jp/