旧秋田藩の城跡の公園に隣接する秋田の新たな芸術文化拠点。
秋田駅から徒歩圏内で、飛行機・新幹線ともにアクセスしやすい会場です。

初めてあきた芸術劇場・ミルハスのコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
あきた芸術劇場・ミルハスは、2022(令和4)年6月、新たな秋田の文化芸術の創造拠点として、旧秋田県民会館の跡地に開館しました。
「ミルハス」の愛称は、フランス語で「千」を意味するmille(ミル)と、隣接する千秋(せんしゅう)公園の蓮(ハス)を組み合わせたもので、公募により選ばれました。

千秋公園ポケットパークに咲いていた蓮の花です。

訪れたときは、ちょうど蓮まつりの開催中でした。
「千」には、千秋公園の命名の由来にもなっている「長久」の意があり、公園内の池で千古(大昔の意)の蓮である「大賀ハス」の保存に取り組まれていることも重ね合わせ、県の中核文化施設として、より永く、より多くの人々に愛され利用されることをイメージしたものとのことです。
あきた芸術劇場までのアクセス
出典:秋田県公式観光サイト 「アキタファン」より
会場の最寄り駅はJR・秋田新幹線の秋田駅。また、空路では、各地から秋田空港に向かい、空港リムジンバスで秋田駅前にアクセスすることができます。
秋田駅から会場までは、西口から徒歩約10分の道のりです。
関西・名古屋・北海道からは飛行機で秋田空港へ

まずは、秋田空港までの飛行機ルートの紹介です。関西や名古屋、北海道方面からは、それぞれ伊丹空港や中部国際空港(セントレア)、札幌(新千歳空港・丘珠空港)から直行便が出ているので、飛行機で向かうのが一般的です。
出発空港 | 国内線運航会社(2025年8月現在) |
東京(羽田空港) | JAL・ANA |
札幌(新千歳空港) | ANA |
札幌(丘珠空港) | JAL |
大阪(伊丹空港) | JAL・ANA |
名古屋(中部国際空港) | ANA・ORC |
また、福岡方面からは、いったん羽田空港まで移動した後、羽田空港からの秋田便を利用するのが最も早くなります。
秋田空港に着いたら、空港リムジンバスを利用し、秋田駅に向かいましょう。

中部国際空港(セントレア)からのANA便を利用しました。

秋田空港に到着。到着ロビーからバスのりばに向かいます。

リムジンバスの券売機です。秋田駅までは片道950円です。交通系ICカードも利用可能です。

バスのりばは出てすぐ目の前にあります。

リムジンバスの車内です。秋田駅西口までの乗車時間は約40分です。

秋田駅西口のバスロータリーの1番線が、空港リムジンバスの乗降場です。
秋田駅までの鉄道ルート

続いて秋田駅までの鉄道ルートについて紹介します。関東・東北方面から秋田駅に向かう場合の所要時間は、最短で次のとおりです。
こまち等利用 | 特急いなほ利用 | 特急つがる利用 | 高速バス利用 | |
東京から | 約3時間40分 | ー | ー | 約9時間 |
仙台から | 約2時間30分 | ー | ー | 約3時間30分 |
盛岡から | 約1時間30分 | ー | ー | 約1時間15分 |
新潟から | ー | 約3時間40分 | ー | ー |
青森から | ー | ー | 約2時間35分 | 約1時間15分 |
新函館北斗から | 約4時間30分 | ー | ー | ー |
秋田新幹線「こまち」号の運行区間は「盛岡ー秋田」間で、岩手県の盛岡駅からの利用でも約1時間30分ほどかかります。盛岡駅まで東北新幹線を利用したり、新幹線を使わず在来線特急(「つがる」号・「いなほ」号)することになるので、飛行機の利用に比べ結構時間がかかります。表のように、場所によっては高速バスを利用する方が早く、安く到着できる場合があります。


JR秋田駅からの徒歩ルート

新幹線・飛行機で秋田駅に到着した後の、会場までの徒歩ルートの紹介です。基本的に西口から出て、メインストリートである広小路を進めば着きますが、一本道ではないので、道中の目印を紹介しながら説明します。会場までの所要時間は徒歩約10分です。

秋田駅の改札口からスタートします。

改札を出ると、秋田名物の「竿燈(かんとう)」「なまはげ」「秋田犬」がお出迎えしてくれます。

向かって右側の「西口」方面に移動しましょう。

しばらく駅ビル内を進んでいきます。

途中、エスカレーター等で高さが変わるところがあります。

そのまま東西連絡通路「ぽぽろーど」に入りました。

北側には空港リムジンバスの発着する西口バスロータリーがあります。

通路を抜けると、アーケードのある秋田駅前大屋根通りに出ます。

地上に下りてすぐの場所にあるデパート「秋田西武」の手前を右に曲がります。

店舗の壁に沿って、そのまま北に移動します。

メインストリートの「広小路」に出たら、左に曲がりましょう。

秋田西武に隣接するANAクラウンプラザの前を通過します。

「久保田町」交差点まで来たら、横断歩道を斜め右に渡りましょう。

渡った先は「千秋公園ポケットパーク」という名前が付いており、お堀の上に遊歩道が設置されています。

蓮池になっているお堀を見ながら、遊歩道を先に進んでいきましょう。

やがて会場の建物が右手に姿を現します。

遊歩道は広小路からの「中土橋通り」に合流し、お堀の中の敷地に入ります。

入ってすぐ左手にあるのが会場です。お疲れさまでした。
100円バス「ぐるる」

秋田駅から会場までは十分歩ける距離ですが、秋田市のコミュニティバス「中心市街地循環バス(愛称:ぐるる)」のルートが、「秋田駅西口」と「ミルハス前」を結んでいます。
秋田市の中心市街地の主要スポットを巡回する青い車体とバス停が特徴のバスで、買い物や観光にも便利な存在です。
出典:秋田市ホームページより
9時から17時15分まで、1日に16本(1周:約35分)運行しています。時間が合えば駅から会場まで1乗車100円で利用できます。乗車時間は約6分です。
出典:秋田市ホームページより
駐車場

会場の附属駐車場の収容台数は194台で、営業時間は午前8時から午後11時15分までです。
周辺は駅前のため一方通行の道が多く、駅前から向かう場合、会場と広小路を挟んで、西側の県道233号(羽州街道)または東側の県道28号(大手門通り)から入る形になります。

会場と千秋公園の間にある通路が、駐車場の入口です。

すぐ近くに建っている秋田市文化創造館が目印です。
駐車料金は最初の60分まで200円、以降60分ごとに100円かかります。満車の場合は周辺の駐車場を利用することになります。
あきた芸術劇場はこんな所
約2,000席のキャパを誇る大ホール

大ホールの総客席数は2,007席で、1階席と2階席の二層構造です。
高い音響性能と舞台機能を併せ持つホールとして、クラシック、歌舞伎、オペラ、ミュージカル、ロック、Jポップの公演まで幅広いジャンルに対応可能で、音楽コンクールの会場としても利用されています。

ホールの内壁に使用された秋田杉の木レンガは、表面の凹凸が適度に音を反射させるとともに、外壁を含め樺細工や川連漆器、大館曲げわっぱなどの伝統工芸品が随所にちりばめられており、赤を基調に随所に秋田らしさを感じさせる造りになっています。
1階席

1階席の総客席数は1,380席で、1列から31列まであります。途中、10列と11列及び27列と28列の間に、出入口扉に合わせて通路が設置されています。また、オーケストラピットの設置時に




通路前方の1列から4列まではオーケストラピットとして使用する際に撤去されるため、周辺を含めて移動席となっており、境界となる4列と5列の間に柵が設置されています。


4列まではフラットな構造で、5列は緩やかなスロープ、6列目から段差が付けられ、傾斜が付けられています。


最前列(1列)は中央ブロックのみで、左右のブロックは2列が最前となります。


その他、車いすスペースは、出入口1に近い10列左端に常時2席確保されているほか、追加で10列(6席)・27列(26席)と、2階席の36列(2席)の最大36席分が設置可能です。また、最後列左サイドの後方に、6席分の多目的室が確保されています。

2階席

2階席の総客席数は627席で、1階席からの連番で32列から50列までの19列あります。途中、40列と41列、45列と46列の間に通路が設置されています。


1階席に比べて傾斜は急に設定されており、前の人で視界が遮られるリスクは少ないと思われます。

ステージに正対するスタンド部分の最前列は37列で、32列から36列は左右両サイドのせり出し部分に配置されています。




大ホール 座席表
出典:あきた芸術劇場ミルハス公式サイトより
座席


大ホールの座席は、朱色を基調に四季の風景をイメージした模様が描かれた座面・背もたれに、ダークブラウンのひじ掛け・基礎の組合せです。
新しいホールなので適度なクッション性とゆとりある設計になっており、長時間の鑑賞にも堪えられる座り心地でした。
中ホール

中ホールの総客席数は800席で、1階席と2階席の二層構造です。
演劇やダンスを中心に、幅広い演目に対応できる舞台設備を持つホールです。壁面に組子細工を取り入れた内装は、舞台に集中できるよう全体的に暗めに設定されており、臨場感を重視した造りになっています。
1階席の総客席数は500席で、1列から18列まであります。途中、10列と11列の間に中央通路が設置されており、10列右端に2席分の車いす席が確保されています。

2階席の総客席数は300席で、1階席からの連番で19列から28列までの10列あります。途中、24列と25列の間に中央通路が設置されています。
中ホール 座席表
出典:あきた芸術劇場ミルハス公式サイトより
座席
出典:あきた芸術劇場ミルハス公式サイトより
中ホールの座席は、黒を基調に竿燈まつりの提灯の明かりを思わせる絣(かすり)糸が織り込まれている座面・背もたれに、ダークブラウンのひじ掛け・基礎の組合せです。
小ホールA・B
出典:あきた芸術劇場ミルハス公式サイトより小ホールA 小ホールB
小ホールは「A」と「B」の2つのホールがあります。収容人数は、舞台設備や椅子、テーブルなどの設置状況により変わります。
小ホールAは建物の4階にあります。ステージにコンサート用のグランドピアノが設置されているほか、片側の壁に吸音カーテンを設置していることで、ホールの横向き使用にも対応可能な、主に楽器演奏に適した空間です。
小ホールBは建物の地下1階にあります。適度な摩擦と柔軟性が確保されたリノリウム床や、リハーサル時に演者の動きや姿勢の確認できる大型の鏡が設置されているなど、主にバレエ、ダンスなどに適した構造です。
どちらも観客を入れての発表会やコンサート、シンポジウムの会場として利用できるほか、大・中ホールで行われる公演の練習やリハーサルにも対応しています。
館内施設
シアターカフェ 「C’s(シーズ)」

会場建物の1階にあるシアターカフェ「C’s(シーズ)」です。会場のメインエントランスを入って右側(北側)に進んだ突き当りにあります。生パスタや軽食のほか、スイーツ関係のメニューも豊富に揃っています。

注文はタッチパネルで行います。

アイスカタラーナとコーヒーをセットで頼みました。

入口の横で、パンの店頭販売も行われていました。

パンは秋田県立美術館の向かいにある秋田キャッスルホテルの製造です。
館内施設

会場建物の中央にメインエントランスがあります。中に入ると、正面にエスカレーターが設置されており、2階の大ホール・中ホールのエントランスに向かうことができます。

エスカレータは2本あり、向かって左側が大ホール用です。

左側は一応中ホール用ということになります。

上がった先の左側に大ホールのエントランスがあります。

右側が中ホールのエントランスです。

大・中の両ホールを囲うようにホワイエが広がっています。周辺にベンチやテーブルも設置されています。

小ホール(A・B)へは、1階奥のエレベーターを使うよう誘導されます。
ふ

メインエントランス左側に総合案内があります。地元の樺細工や川連漆器、大館曲げわっぱをあしらった模様が素敵です。

1階右側にはエントランスロビーがあります。全面ガラス張りの開放的な空間で、設置されたピアノ等を使ったミニコンサートなども開かれることがあります。
周辺施設
千秋(せんしゅう)公園

千秋公園は、1602(慶長7)年から1869(明治2)年の版籍奉還まで、12代267年間続いた秋田藩20万石の大名・佐竹氏の居城であった久保田城跡に広がる公園です。



公園の北側にある御隅櫓(おすみやぐら)は、展望スポットとして有名です。

櫓の上からは、秋田市街を一望できます。
久保田城は、初代秋田藩主の佐竹義宣(よしのぶ)公が自然の台地を利用して築城したもので、石垣や天守閣を持たない平山城でした。

公園の中央の本丸跡付近には、最後の藩主である、第12代秋田藩主の佐竹義堯(よしたか)公の銅像があります。

二の丸の売店脇の長坂を上がりきった所には、久保田城本丸の正門であった久保田城表門(一の門)があります。
その後、1896(明治29)年に近代公園として整備され、秋田県出身の漢学者・狩野良知氏により、秋田の「秋」に長久の意の「千」を冠し、千秋公園(当時は「千秋園」)と命名されました。
戦後も長らく佐竹氏の子孫により保有されていましたが、1984(昭和59)年に、秋田市に寄贈されました。
秋田県立美術館

秋田県立美術館は、会場とお濠、広小路をはさんだ向かいにあり、2012(平成24)年に開館した文化施設で、公益財団法人 平野政吉美術財団が運営管理を行っています。
館内には、県出身の世界的な画家・藤田嗣治氏の代表作品である幅20m超の「秋田の行事」をはじめとする財団の所蔵作品が展示されています。
出典:(公社)平野政吉美術財団公式サイトより 藤田嗣治 作「秋田の行事」
建物は安藤忠雄建築研究所の設計、清水建設㈱の施工で、支柱のない螺旋階段、水庭越しの千秋公園の美しい風景を楽しめるラウンジ空間、大きな三角形の吹き抜けが特徴のエントランスホールなどが見所です。
建夫野の外にある広小路に面した「にぎわい広場」では、中心市街地にある千秋公園を臨むロケーションを活かし、様々なイベントが開催されています。
ババヘラアイス

暑い季節になると、秋田の夏の風物詩である「ババヘラアイス」の露店販売がそこかしこで見られます。
秋田弁でおばさんの意味の「ババ」が「ヘラ」を使ってコーンに盛り付けることが、名前の由来となっています。

今回は時間の都合で食べられませんでしたが、前に仙台で食べた時のものをアップしておきます(コーンではなくカップなのはご容赦)。

会場周辺では、アクセスルートで出てきた中土橋通りに出店していました。パラソルが目印です。
秋田市立赤れんが郷土館

会場から旭川を超えて西に15分ほど歩いたところにある「秋田市立赤れんが郷土館」は、旧・秋田銀行本店として1912(明治45)年に完成した赤れんが館(重要文化財)をメインに、隣接する新館や、少し離れた分館の秋田市民俗芸能伝承館(通称「ねぶり流し館」)からなる市立の郷土史料館・美術館です。
赤れんが館はかつての銀行時代の面影をよく遺しており、旧書庫では銀線細工など、秋田市の伝統工芸品が常設展示されています。


旧会議室には重要無形文化財保持者(人間国宝)の鍛金家、関谷四郎(せきや しろう)氏の記念室があり、自宅のアトリエが再現され、作品などが展示、紹介されています。

赤れんが館の隣にある新館では、秋田出身の版画家、勝平得之(かつひら とくし)氏の記念館があり、郷土の自然や風俗をテーマにした作品が、氏の生涯や業績とともに展示されています。
八代目 佐藤養助 秋田店

アクセスルートで出てきた駅前の秋田西武の地下1階にあるのが、日本三大うどんの1つである「稲庭うどん」の名店「八代目 佐藤養助 秋田店」です。
本場の秋田県湯沢市稲庭にある佐藤養助総本店の直営店で、醬油と胡麻味噌の2種類のつゆで味わう手延べ製法の「二味(ふたあじ)せいろ」が人気メニューです。

昼時は常に行列の絶えない人気店ですが、店内は席数も多く、回転は速かったです。

人気の二味せいろ(¥1,000)にかやくご飯を付けていただきました。しっかりとした麺のコシを堪能できます。
Cafe Epice

旭川沿いの繁華街「川反(かわばた)通り」にある「Cafe Epice(エピス)」は、元工場をリノベーションした、雰囲気のあるおしゃれなカフェです。
旭川に面したビルの窓には蔦が絡まり、隙間から川辺の景色を垣間見ることができます。

メニューはコーヒー・紅茶のほか、ケーキやトースト等のスイーツ・軽食も豊富に取り揃えています。

この日はロイヤルミルクティーとスコーンをいただきました。
https://www.instagram.com/epice5115
Cafe 赤居文庫

アクセスルートで紹介した「久保田町」交差点を南に4分ほど歩いたところにあるのが、「Cafe 赤居文庫」です。
店名に「本と珈琲とインクの匂い」というサブタイトルが付けられている通り、テーマに基づいた本が置かれているブックカフェのような佇まいの、地元の人気店です。

店内は本棚とアンティークな時計がそこかしこに設置されています。

テーブル脇や卓上に、テーマにちなんだ本が集められており、自由に閲覧できます。

メニューは具材について、絵本のようにイラスト付きで解説されています。

マウンテンチョコバナナケーキ(1日5食限定)とコーヒーを注文しました。
https://green-coffee-farm.com/akaibunko
カフェの向かいには、市民の台所で地元の食材を取り扱う「秋田市民市場」があります。

https://www.akitashiminichiba.com
施設概要・地図
所在地
秋田県秋田市千秋明徳町2−52
アクセス
JR・秋田新幹線「秋田」駅下車
徒歩約10分
ホール
大ホール 総客席数:2,007席
(1階:1380席、2階:627席)
※車いす常時2席(最大36席設置可)
多目的室6席
中ホール 総客席数:800席
(1階:500席、2階:300席)
※車いす常時2席(最大13席設置可)
多目的室4席
小ホールA
建物4階、ホール型
小ホールB
建物地下1階、舞台型
公式サイト
https://akiat.jp/