初めて東京国際フォーラムのコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
東京駅前の丸の内から有楽町にまたがる一大ランドマーク施設。
大小8つのホールがあり、「ラ・フォル・ジュルネ」等の音楽祭も開催されています。
東京国際フォーラムは、1997(平成9)年、現在は西新宿に移転した旧東京都庁の本庁舎のあった、丸の内から有楽町にかけての敷地に建てられたコンベンション施設です。建築にあたっては、日本初の国際建築家連合(UIA)の公認国際コンペで選ばれた、アメリカの建築家ラファエル・ヴィニオリ氏により設計されました。
建物群は大きな船形のデザインが特徴のガラス棟をはじめ、大小8つのホールや30を超える会議室や美術館、レストラン・ショップ等で構成され、コンサートやミュージカル、展示会など幅広い用途に利用されています。
会場の目印となるガラス棟。地上7階建てで、最上階にはラウンジがあり、会議室としても利用できます。
ガラス棟の天井は、建築好きのモーニング娘。メンバー・櫻井梨央さんのお気に入りです。
毎年ゴールデンウィークに開催される音楽祭である「ラ・フォル・ジュルネ東京」の会場として有名なほか、先に開催された「2020東京オリンピック・パラリンピック」では、重量挙げの会場としても使用されました。
その機能的な施設配置や、パブリックスペースの多様性が評価され、1998(平成10)年に第39回建築業協会賞(BCS賞)を受賞するなど、建築関係の賞を受賞しているほか、ミシュランガイドにおいて建物全体で2つ星、ガラス棟は3つ星に指定されるなど、世界的に有名な観光スポットにもなっています。
東京駅から有楽町にかけての界隈は、これまでも大小さまざまなホールをこのブログで紹介してきましたが、いよいよその「真打ち」の登場です。
東京国際フォーラムまでのアクセス
まずは全国から東京駅へ
ライブ遠征の拠点はやはり東京駅。会場まで徒歩で十分歩ける距離にあるほか、1駅隣りの有楽町駅まで行けば、改札の目の前に会場があり、大変便利な場所です。
ここでは有楽町駅まで電車で向かうルート、東京駅から地上と地下で会場まで徒歩で向かうルートの3種類で紹介します。
有楽町駅から
まずは一番簡単なJR有楽町駅からのルートです。JR有楽町駅は東京駅の1駅隣りで、山手線で向かいます。「東京(都区内)」までの切符を持っている人は、有楽町駅まで無料で利用できるので、迷わずこのルートで行きましょう。
東京駅に着きました。
後ろの車両(1号車寄り)付近で下車すると、ホームから会場が見えます。
ホームを下りて、改札口に向かいます。
JRのりかえ改札を通過します。東京駅までの切符の人は交通系ICカードを準備しましょう。
5番線の品川・渋谷方面の山手線に乗ります。6番線の京浜東北線も通りますが、快速は有楽町を通過するので注意が必要です。
1駅で有楽町駅に到着。「国際フォーラム口・京橋口」に向かいましょう。
改札を出て左のトンネルのような出口を抜けるとそこには・・・。
右側に国際フォーラムの入口があります。お疲れ様でした。
東京駅 京葉線地下通路から
次に東京駅からの徒歩ルートについて紹介します。まずは、JR在来線構内から京葉線に向かう地下通路を通るルートです。雨に濡れずに進めるので、天気が悪い日におすすめです。
いわゆる「夢の国」に行ったことがある方ならよくご存知かと思いますが、京葉線は他の線のホームからだいぶ離れたところにあるため、乗り換え時にかなりの徒歩移動が必要です。今回は、それがそのまま会場への徒歩ルートになる感じです。
新幹線の乗り換え口からスタート(写真は南乗り換え口です)。
京葉線の案内に従い進みます。
しばらく行くと、地下に下りる階段・エスカレーターがあります。
下りたところから、京葉線移動時の名物・動く歩道が始まります。
海浜地域を進むからか、「ベイロード」という名前が付いています。
やがて歩道が終わり、さらに地下に進む階段・エスカレーターがあります。
夢の国に行く際はここから京葉線ホームに下りますが、今回は直進します。
東京駅の最果て、京葉地下丸の内口に到着しました。
改札を出ると、すでに会場の地下エントランスの前に来ています。
エスカレーター・階段を上がり、閉館した相田みつを美術館の前を通過します。
入場ゲートにホールごとの案内が書かれているので、目当ての会場に進みましょう。
今回はホールAで説明します。右に曲がり、その奥にある通路を左に移動します。
ホールAでに向かうエスカレーターがあります。
その先に進んだところが入口です。
東京駅の新幹線乗り換え口から約5分で、会場のホールAの1階ロビーに到着しました。お疲れ様でした。
東京駅 丸の内口から
最後に東京駅丸の内南口からの地上ルートも紹介しておきます。東海道・山陽新幹線が到着するのは八重洲口側になるので、在来線コンコースを反対側に横断する必要があります。
天気の良い日は東京駅舎をはじめ、丸の内のビル街を眺めながら歩くのもいいと思います。
在来線コンコースを進み、丸の内南口方面に向かいます。
最も丸の内口寄りの中央線(1・2番線)の横にある通路を進むと、改札に着きます。
改札を出たら、ドーム屋根の天井も忘れずに鑑賞しておきましょう。
改札を出て左奥にある「東京国際フォーラム方面」の案内に従い、外に出ます。
駅舎と「KITTE丸の内」の間にある歩道を進みます。
左は「はとバス」の乗降場です。線路に沿って、カーブしながら移動します。
途中、「コットンクラブ」の入口を見ながら歩いていきます。
そのまま進んだ先の「東京国際フォーラム東」交差点の奥に、会場があります。お疲れ様でした。
東京国際フォーラムはこんな所
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
会場内には冒頭でお伝えしたとおり、大小計8つのホールが設置されています。
ホール名 | 形式 | 座席数または床面積 |
ホール A | 劇場形式 | 座席数:5,012席(二層式) |
ホール B7 | 平土間形式 | 床面積:1,400㎡ |
ホール B5 | 平土間形式 | 床面積:600㎡ |
ホール C | 劇場形式 | 座席数:1,502席(三層式) |
ホール D7 | 平土間形式 | 床面積:340㎡ |
ホール D5 | 平土間形式 | 床面積:285㎡ |
ホール D1 | 平土間形式 | 床面積:137㎡ |
ホール E | 吹抜け空間 | 床面積:5,000㎡ |
今回は、コンサートやミュージカル等で使用される劇場形式で設計された「ホールA」と「ホールC」をメインに紹介します。
ホールA
ホールAは、世界でも有数の規模となる屋内コンサートホールで、総客席数は実に5,012席。1階席と2階席だけの二層式構造で、約5,000席をまかないます。
機能面でも8か国語同時通訳システムやAVネットワーク、音響設備、舞台機構などが完備されています。
1階席
1階席の総客席数は3,025席で、1列から48列まであります。全体で3つのエリアに分かれており、途中、21列と22列の間と38列と39列の間に通路が設けられています。
オーケストラピットを設置する時は、前列の1列から4列が撤去され、総客席数は2,926席になります。
また、車椅子スペースに対応するため、21列の左右両端(1~6番、62~67番)の座席は常設されていません。
40列以降になると、2階席の屋根の下になるので、少し圧迫感を感じるようになります。
座席の傾斜は全体に緩やかなのですが、それでも後列は高さが出てくるので、見晴らしはそれなりにいい方だと思います。
2階席
2階席の総客席数は1,987席で、1列から26列まであります。全体で5つのエリアに分かれており、それぞれ、7列と8列、12列と13列、17列と18列、22列と23列の間に通路が設けられています。
2階席だけで普通の会場の大ホール並みのキャパを誇っており、圧巻のボリュームです。座席の傾斜は1階席よりも強めに設定されており、どの席からも上から俯瞰でステージを見下ろす感じになります。
ホール A 座席表
1階席
2階席
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
座席
ホールAの座席は、淡いグレーの座面・背もたれと、黒とグレーのツートンカラーの丸みがかったひじ掛けの組合わせです。
座面のクッションは厚めで、背もたれは背中を包み込むような形状をしており、適度な硬さで体に密着するような座り心地でした。
また、ひじ掛けの間に、コンベンション等で使用する折り畳み式のテーブルが備え付けられています。
エントランス・ホワイエ
ホールAのエントランスは主に3カ所。上の写真は皇居や丸の内仲通り側からの地上1階のエントランスです。残りは地上広場側からと、東京駅からの地下コンコースからです。
こちらは地上広場側のエントランスです。
1階ロビーの左右にクロークがあります。
荷物等を預けたら、階段またはエスカレーターで2階に上がりましょう。
2階ロビーの左右両側にはカフェコーナーがあります。
客席はまだ先の階です。1階席が建物4階から5階、2階席が6階から7階になります。
2階席前方フロア(建物6階)にもカフェコーナーがあります。
値段はコーヒーやソフトドリンクが500円、ビールなどのアルコールが800円前後です。
1階席の人は階を下りて、2階ロビーのカフェコーナーを使うことが多いと思います。
ホールC
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
ホールCは、総客席数1,502席の、1階席から3階席までの三層構造のホールで、Cブロックの建物の1階から6階までを使用しています。
ホールAに比べてコンパクトですが、それでも他の中小ホールのメインホールクラスのキャパがあり、コンサート、バレエ、ミュージカルなどを中心に、様々なイベントに利用されます。
1階席
1階17列中央からの眺め
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
1階席は建物4階に位置し、総客席数は739席あります。1列から24列まであり、途中、後方の17列と18列の間に通路が設置されています。オーケストラピット設置時は、前の4列までが撤去され、総客席数は653席になります。また、通路前最後列の17列左端(6番~8番)は、車いす用スペースとして常設されていません。
2階席
2階10列中央付近からの眺め
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
2階席は建物5階に位置し、総客席数は363席あります。1列から17列までありますが、1列から9列まではサイドバルコニー席扱いになっており、センターブロックの最前は10列からになります。
3階席
3階1列中央からの眺め
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
3階席は建物6階に位置し、総客席数は400席あります。1列から10列まであり、2階席のようなサイドバルコニー席はないため、最前は1列(中央ブロックは2列)になります。
エントランス
ホールのあるCブロックは、若干有楽町駅寄りにあります。
東京駅と地下鉄有楽町駅をつなぐ地下1階コンコースからのエントランスのほか、ホールAと同様、1階の地上広場や皇居・丸の内仲通り沿いのエントランスからも出入りが可能です。
ホールC 座席表
1階席
2階席
3階席
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
その他のホール
ホール B7
公式サイトより
ホールB7は柱のない平土間形式の空間で、1,400㎡あります。
「Bブロックの7階」にあるので、「B7」というホール名になっています。
会場を2分割が可能で、その場合は670㎡ずつに分かれる形になります。
会議や展示会、ファッションショーなどに利用されることが多いです。
ホール B5
公式サイトより
ホールB5は「Bブロックの5階」にある、600㎡の平土間形式の空間です。
壁面の柔らかい色調のライトが特色で、会議のほか、各種式典やレセプション利用が多くなっています。
ホール D7
公式サイトより
ホールD7は「Dブロックの7階」にある、340㎡の平土間形式の空間です。
内装の床や壁はダークグレーで統一されたシックな色合いで、立体昇降トラスにより照明やスピーカーを設置することが可能で、映画、演劇、コンサート、展示会、会議等、さまざまな用途に対応します。
ホール D5
公式サイトより
ホールD5は「Dブロックの5階」にある、285㎡の平土間形式の空間です。
御影石と木を基調とした上品な内装で、セミナーや商談会、パーティーなどに利用されます。
ホール D1
公式サイトより
ホールD1は「Dブロックの1階」にある、137㎡の平土間形式の空間です。
1階にあるので、地上広場や地下コンコースと直結しており、アクセスが良い点が特長です。
写真のとおり、100人規模の会議室利用に適しています。
ホール E
ホールEは、ガラス棟とA~Dの各ブロックの間にある地上広場の地下に広がっている、約5,000㎡を擁する地下空間です。
地下2階から地上までの吹き抜けの構造で、天井高は約9mあります。写真のとおり、大規模な見本市やショールームとしての利用のほか、発表会やパーティーなど、多彩な用途に対応しています。
ラ・フォル・ジュルネ 東京
冒頭から紹介しているように、この会場を代表する一大イベントが、毎年ゴールデンウィークに開催されるクラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ東京」です。
期間中は会場内の全館を使用してフルオーケストラからアンサンブル、ソロまで様々な公演が行われます。1公演1時間程度で、入場料は1,500円からと、興味を持った公演をリーズナブルに楽しむことができます。
演奏家や指揮者の顔ぶれもビッグネームやマエストロ、新進気鋭の将来を嘱望される若手が集合しており、レベルの高い演奏を楽しむことができます。
開催時は毎年テーマを決めて、それに沿った公演ラインナップが組まれます。
有料コンサートだけでなく、トークライブ、プレイベントなど、無料で楽しめる催しも盛りだくさんです。
ラ・フォル・ジュルネは元々、1995(平成7)年、フランス西部の港町ナントで誕生したクラシック音楽祭で、「一流の演奏を気軽に楽しむ」コンセプトのもと、クラシック初体験者や子供たちにも楽しめるイベントとして始まりました。
人気は国外へも拡がり、2000(平成12)年からのポルトガルのリスボンを皮切りに、日本では2005(平成17)年から東京国際フォーラムで開催されるなど、世界各地で大成功を収めています。
コロナ禍の日本では一時期開催を見合わせていましたが、2023(令和5)年から復活し、今年(2024年)も無事開催が予定されています。
館内施設
【閉館】相田みつを美術館
会場内にあった「相田みつを美術館」は、国際フォーラム開業の前年の1996(平成8)年に東京・銀座に開館し、2003(平成15)年から会場内のテナントとして営業を続けてきましたが、残念ながら2024(令和6)年1月28日をもって閉館しました。
故・相田みつを氏(1924~1991)は栃木県足利市の出身で、曹洞宗の開祖・正法眼蔵の影響を受けた書家・詩人で、独自の書体で表現した「にんげんだもの」などの作品がファンに親しまれています。
閉館後しばらくは事務所内で他会場での作品展示や通信販売等の業務が継続して行われていましたが、2024(令和6)年3月16日に事務所を江戸川区の西葛西に移転し、国際フォーラム内での営業活動を終了しました。
カフェ・グルメ
出典:東京国際フォーラム公式サイトより
最後にカフェ・グルメスポットの紹介です。
会場内には地下1階と1階に10以上のお店がありますが、今回はその中からホールAやホールCのコンサートに訪れた際に便利なお店を、ピックアップして紹介しておきます。
そばとカフェ ツタンカーメン
ホールAの皇居・丸の内仲通り沿いの1階エントランスの左側にあるのが「ツタンカーメン」です。
名前のとおり、和食のそばを中東や北アフリカ風味のカフェスタイルで楽しめるお店で、スイーツとのセットや自家焙煎コーヒーの提供も行っています。
シズラー
ホールAの地下通路からの入口に近いところにあるのが、サラダバー&グリルレストランの「Sizzler(シズラー)」です。
東京を中心に10店舗展開しており、東京国際フォーラム店では、限定のパーティープランの提供も行っています。
ベトナム料理 サイゴン
地下コンコース内に2024(令和6)年3月、地元有楽町で60年営業しているベトナム料理「サイゴン」の支店がオープンしました。
ランチタイムには、定番のフォーや生春巻きなどを扱ったセットや、ベトナムコーヒーなども比較的リーズナブルな価格で楽しめます。
ピッツァ&パスタ パパミラノ
サイゴンと出入り口を挟んで隣りにあるのが、イタリア料理の店「Papa Milano(パパミラノ)」です。
ランチは平日限定ですが、ドリンク付きで1,500円程度でいただけます。その他はアラカルトやコース料理を、仲間やカップルで楽しむことが多いと思います。
プロント
地下コンコースの有楽町駅寄りの突き当り、ホールCのエントランス付近にあるのが、おなじみ「プロント」です。
昼は「プロント」としてコーヒーやパン、パスタ・ドリンクのセットを提供、夜は「キッサカバ」として生ビールやハイボール等のアルコール類やおつまみメニューを楽しめるので、時間帯に応じ様々な場面に対応できます。
施設概要・地図
所在地
東京都千代田区丸の内3丁目5−1
アクセス
JR・東京メトロ・都営地下鉄
有楽町駅下車徒歩約1分
JR東京駅から徒歩約5分
(京葉線東京駅とB1F地下コンコースで連絡)
ホール
ホールA 総客席数:5,012席
・1階席:3,025席(オーケストラピット使用時 2,926席)
・2階席:1,987席
ホールC 総客席数:1,502席
・1階席:739席(オーケストラピット使用時 653席)
・2階席:363席
・3階席:400席
公式サイト
https://www.t-i-forum.co.jp/