初めて埼玉会館へコンサートに訪れる人を対象に、会場までのアクセスや施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
JR浦和駅から徒歩すぐ、アクセス良好な老舗のコンサートホール。
周辺は県庁もあり、文化・行政の拠点となっています。
埼玉会館は1926(大正15)年、当時の埼玉女子師範学校の敷地内に「御成婚記念埼玉會館」(旧館)として開業した、間もなく築100年を迎える公共集会施設です。
名前のとおり、昭和天皇のご成婚(1923年)を記念して建設が決まったものの、関東大震災により延期となり、新1万円札の肖像にもなっている渋沢栄一氏を中心とした、当時の財界からの寄付をもとに着工にこぎつけたとのことです。
御成婚記念埼玉會館
出典:三井住友トラスト不動産「このまちアーカイブス」(浦和)より
旧館の設計は、大阪の中央公会堂(重要文化財)や歌舞伎座、鳩山一郎邸(現・鳩山会館)などを手がけた岡田信一郎氏です。
その後、老朽化に伴い建替え機運が盛り上がり、1966(昭和41)年に現在の「埼玉会館」(新館)としてリニューアルオープンしました。
新館の設計は、ル・コルビュジエ氏に師事し、このブログでも紹介しましたが、神奈川県立音楽堂や東京文化会館などのモダニズム建築を手掛けた、巨匠・前川國男氏です。
1994(平成6)年度から公益財団法人の埼玉県芸術文化振興財団に運営委託され、大ホールの響きの良さを活かした音楽公演が、自主事業の主流となっています。
このように、「大正」「昭和」「平成」を経て、「令和」の時代もなお、地域文化の中核を担う拠点として歴史を刻んできた会場です。周辺には当時の「師範学校跡」をはじめ、文教地区の歴史を辿る史跡や彫像が散在しており、「文化の小径」としての散策路も形成されています。
埼玉会館までのアクセス
東京駅から浦和駅までは「上野東京ライン」で
埼玉会館の最寄り駅は、JR宇都宮線・高崎線(東北本線)、京浜東北線、湘南新宿ラインの各路線が乗り入れている浦和駅です。
JR東京駅から 約25分・406円(上野東京ライン利用)
JR大宮駅から 約8分・178円(上野東京ライン利用)
JR新宿駅から 約26分・406円(湘南新宿ライン利用)
ここでは新幹線の東京駅を拠点として考え、最寄りの浦和駅までは、JR宇都宮・高崎線の「上野東京ライン」を利用する方法で紹介します。
まずは各地から新幹線で、東京駅まで向かいましょう。
新幹線のホームに着いたら、JR在来線への乗り換え口に移動します。
乗り換え口は北と南にありますが、こちらは南のりかえ口の方です。
在来線の改札を通過し、オレンジの「上野東京ライン」の案内に従い進みます。
上野東京ラインは、7・8番線から発車します。
東京駅から浦和駅は4駅目で、所要時間は約25分です。
7・8番線ホームに移動しました。
この日は7番線に来た電車に乗車しました。
約25分で、無事浦和駅に到着です。
ホームを下りて、改札口に向かいましょう。
中央改札から出て、向かって右側の西口に移動します。
西口方面の案内板を確認。小さく会場名も記載されています。
改札階は半地下のようになっているので、階段またはエスカレーターで上に進みましょう。
ひとまず駅の西口に到着です。お疲れさまでした。
浦和駅から会場までは「さくら草通り」を直進
浦和駅西口から会場までの所要時間は、徒歩約6分です。駅前からのルートもほぼ一本道でわかりやすいので、迷うことは少ないと思います。
会場までのルートとしては上の地図の「さくら草通り」またはその左隣りの県庁通りですが、ここではさくら草通りの方で紹介します。
それでは浦和駅西口から出発です。
浦和といえば浦和レッズ。西口正面には「サッカーの街」のモニュメントが建っています。
まずは西口を右に曲がりましょう。
突き当たりに見える伊勢丹の前を左に移動します。
伊勢丹の前の道は、レッズの歴代選手のレリーフが飾られています。
伊勢丹を過ぎ、隣りのCORSO(コルソ)の通路前まで来たら、中に入ります。
コルソ内の「コルソ通り」を反対側に進みます。
外に出た正面に、通りが続いています。
ここから「さくら草通り」に入ります。
さくら草通りは歩行者専用なので、車を気にせず通過できます。
周辺にはおひとりさま向けの飲食スポットもあって重宝します。
途中に1カ所ある横断歩道を渡れば、会場はもうすぐです。
通りの突き当たりに会場の壁が見えてきました。
会場前に着いたら、入口のある左方向に進みましょう。
隣りの県庁通りまで出たら、右に曲がりましょう。
その先をさらに右に曲がった所に、会場のホール入口があります。
羽田空港からは直通のリムジンバスがあります
ここまで東京駅からのルートを紹介しましたが、飛行機で羽田空港まで来た場合は、空港から浦和駅西口まで直通のリムジンバスがあります。
料金は片道2,000円、所要時間は約1時間25分(第1ターミナルまで)です。武蔵浦和駅を経由して、羽田空港の各ターミナルを結んでいます。
埼玉会館はこんな所
大ホール
大ホールの総客席数は1,315席で、1階席と2階席の二層構造になっています。ホール内の壁が木材で覆われた「木のホール」で、豊かな音響効果を活かして、コンサートや演劇・ミュージカル、映画上演、講演会・研修会等、多目的に利用されています。
1階席
1階席の総客席数は1,049席で、1列から31列まであります(1列はセンターブロックのみ、31列は左右両端のブロックのみ配置)。途中、14列と15列の間に中央通路が設けられています。
通路前方の座席は1列から6列まではフラットな構造で、7列目以降に段差が付けられています。1列から5列までの115席は、オーケストラピット設置時には取り外され、総客席数は1,200席となります。
7列目以降の通路前方の傾斜と、通路後方の傾斜は下の画像の通りです。通路を挟んで、15列以降の傾斜が強めになっています。
車いすスペースは、中央ブロックの最後列(30列)に6席分確保されています。ただし、利用がない場合は、下の画像のように補助席が設けられることもあります。
2階席
2階席の総客席数は266席で、1列から8列まであります。バルコニー席はなく、途中、3列と4列の間に中央通路が設けられています。
全体に手すり等はシンプルな作りになっており、最前列でも視界が見づらくなることはありません。
大ホール 座席表
出典:埼玉会館公式サイトより
座席
座席は赤の座面・背もたれに木製の基礎・ひじ掛けの組合せです。クッションは堅めかつ厚めで長時間の鑑賞にも耐え、座り心地は上々でした。
少しわかりにくいかもしれませんが、2階席は若干ハイバック仕様になっています。
小ホール
出典:埼玉会館公式サイトより
小ホールの総客席数は504席で、1列から15列まであります。途中の通路はなく、ステージから扇形に広がっていくような座席配置になっています。
大ホールと同様、コンサートをはじめ、映画上演や講演会・研修会等に利用可能です。
小ホール 座席表
出典:埼玉会館公式サイトより
エントランス・ロビー
正面玄関(1階)を入ると、大ホール・小ホールの中間にあるロビーがあります。向かって右側が大ホールの入口で、手前にコインロッカー(100円リターン式)が設置されています。
また、向かって左側は小ホールの入口で、左奥に自販機コーナーがあります。
その他の館内施設
展示室
建物の地下2階には、第1から第3まで、それそれ天井の高さが異なる3つの展示室があり、美術(絵画、工芸、書道、写真、生け花)や学術関係の展示が行われています。
ホール入口からは階段で2フロア分下りたところにあります。
訪れた日は、書道の展示が飾られていました。
ビストロ やま
小ホール側の建物1階には、2017(平成29)年にオープンしたフレンチレストラン「ビストロ やま」が営業しています。
地産地消の手作り食材の提供をコンセプトに、1階店舗でのランチ・ディナーのほか、2階の宴会場でのパーティー開催、ラウンジ・5階会議室におけるケータリングサービス、ウェディングやコーヒー・ケーキの提供など、用途に合わせ会場内の様々なシーンでサービスを展開しています。
周辺施設
会場周辺の飲食・グルメスポット
アジアンレストラン「HALKA」浦和県庁前店
会場前の県庁通りを埼玉県庁側に下って行った先の坂下通りとの交差点(ロッテリアの向かい)にあるのが、アジアンレストラン「HALKA(ハルカ)」浦和県庁前店です。
アジア料理といってもインドカレーの店で、1,000円前後からのランチメニューが豊富に揃っています。メニューのテイクアウトも可能です。
うなぎ料理「中村家」&中華そば「甲州屋」
会場と県庁通りを挟んだ向かいには、うなぎ料理店「中村家」と中華そば「甲州屋」が並んで建っています。
中村家は紀州備長炭で焼き上げ、さっぱりとした甘辛いタレをかけた国産うなぎが魅力で、コース料理や丼、テイクアウト等も行っています。土用丑の日に近かったので、店は行列ができており、うなぎのタレのいい匂いが周囲に充満していました。
一方の甲州屋は、ラーメン出汁に日本三大鶏である鳥取の大山鶏を使用した塩ラーメンが有名な浦和の街中華の店。カウンター席中心で、こちらもすぐに席が一杯になります。
その他
インドカレーの「ハルカ」の道を挟んだ向かいにあるそば屋さん「みどり亭」です。埼玉県庁に近く、職員御用達のお店っぽい感じですね。
先ほど紹介した「中村家」「甲州屋」の道路を挟んだところにあるのが「いこい食堂」。昔ながらの定食屋で、セットで650円のものがあるなど、安さが魅力。
埼玉県庁
会場のそばを走る県庁通りの突き当りにあるのが、文字通り「埼玉県庁」です。
県庁のある本庁舎(第一庁舎)を中心に、第二庁舎(埼玉県警本部)、第三庁舎、議会議事堂(埼玉県議会)、職員会館、衛生会館、別館、危機管理防災センターなどで構成されています。
埼玉県には他にも大宮や川口などの主要都市がありますが、もともとは1869(明治2)年に浦和県が置かれ、当地に浦和県庁舎が建てられたのが始まりです。その後周辺地域との合併を経て、埼玉県が誕生しました。
現在の庁舎は1955(昭和30)年の竣工で、これまで耐震補強の修繕工事等を重ねつつも、2030年代に使用年数を超える見込みであることから、建て替えに関する議論も進められています。
伊勢丹浦和店&CORSO(コルソ)
浦和駅西口駅前には、駅ビルのアトレのほかに、「伊勢丹 浦和店」と「コミュニティプラザ・CORSO(コルソ)」の2つのショッピング施設が隣接して建っています。
百貨店やショッピングモールなので、ここで飲食を済ませることもできます。
当日は会場に向かう前に、2つの店舗の1階連絡通路の近く(伊勢丹側)にある「CLAVIS CAFE(クラヴィスカフェ)」で、少し休憩を取りました。
キーコーヒー系列のお店です。
アイスコーヒーだけ頼みました。
ちなみに反対側の東口駅前には、パルコ浦和店と、その中に地域コミュニティセンターの「コムナーレ」が入っています。
施設概要・地図
所在地
埼玉県さいたま市浦和区高砂3丁目1-4
アクセス
JR「浦和」駅(西口)下車 徒歩約6分
・JR上野駅から約20分・東京駅から約25分
(上野東京ライン利用)
・JR大宮駅から約8分
・JR新宿駅から約26分(湘南新宿ライン利用)
ホール
大ホール 総客席数:1,315席
(1階:1,049席、2階:266席)
・車いすスペース6席(1階30列中央)
・オーケストラピット設置時は1,200席
小ホール 総客席数:504席
公式サイト
http://www.saf.or.jp/saitama/