初めてふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂)のコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
内装に趣向を凝らし、パイプオルガンも完備された、「古関裕而のまち・福島」を代表する市の音楽堂。
福島駅からは、バスの移動が基本になります。
ふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂)は、1984(昭和59)年に開館した、信夫山(しのぶやま)の麓の福島市入江町にある音楽堂です。
会場の敷地はかつて、戦前の教員を養成する施設であった「福島青年師範学校」がありました。戦後に現在の福島大学の学芸学部の一部として包括され、その後も1980(昭和55)年ごろまでは、学生寮などで使用されていました。
音楽堂として開館後は、公益財団法人の福島市振興公社の運営のもと、近くの春日町にある福島県文化センター(とうほう・みんなの文化センター)とともに、県を代表するコンサートホールとして、福島市の音楽活動の拠点となってきました。
2019(令和元)年からは、福島市に本社を置く福島信用金庫が施設命名権(ネーミングライツ)を取得し、「ふくしん夢の音楽堂」という愛称で親しまれています。
ふくしん夢の音楽堂までのアクセス
ライブ遠征の拠点となるのは、JR・東北新幹線の福島駅。
福島市街は北の信夫山(しのぶやま)、南東の阿武隈川(あぶくまがわ)に挟まれた地域にあり、会場はその北東に位置しています。
福島駅から会場までは3キロ近く離れているので、駅からはバスの利用が一般的です。
関西や名古屋方面からは、東海道・山陽新幹線で終点の東京駅まで行った後、東北新幹線に乗り換えます。北陸新幹線利用の場合は、大宮駅で同じく東北新幹線に乗り換えます。
東京駅から福島駅まで
・片道約1時間30分~1時間55分(やまびこ号)
・9,110円(乗車券4,840円 特別料金4,270円)
※大宮駅から利用の場合
・片道約1時間10分~1時間30分(やまびこ号)
・8,570円(乗車券4,510円 特別料金4,060円)
福島県には福島空港がありますが、県中南部(郡山市の南)にあるので福島市までのアクセスに時間がかかることや、直行便が2023年12月現在で、札幌(新千歳)が1日1往復、大阪(伊丹)が1日3往復しかなく、この会場に関しては、あまり利用するメリットが少ないのが難点です。
その他、各地から福島方面への高速バスを利用する方法もありますが、今回のアクセスの紹介は、JR・東北新幹線で福島駅に着いてからバス停までのルートと、福島駅からバス・徒歩で会場に向かうルートで説明します。
東北新幹線で福島駅まで
福島駅へ向かう東北新幹線(やまびこ号)の車内です。郡山で前泊していたので、自由席で次の福島駅に向かいました。
福島駅に到着しました。
ホームを下りて、改札階に向かいます。
下りたところに地元音楽家の古関裕而(こせきゆうじ)氏関連の広告が展示されています。
改札が東西に分かれていますが、在来線と東口に向かう改札口に進みましょう。
コンコースを東口方面に移動します。
突き当たりが道なりに右に進むようになっているので、そのまま下ります。
いったん在来線ホーム(1番線)を通り、東口に進みます。
東口改札から外に出ましょう。
福島駅から会場までのバス&徒歩ルート
続いて福島駅の東口改札を出た後、最寄りの停留場までバスを利用し、そこから徒歩で向かうルートを紹介します。
福島駅東口を出たところです。
案内に従い左側に進み、バス乗り場を目指します。
ここでも古関裕而氏の銅像がお出迎えしてくれます。
会場と古関裕而記念館は同じ場所にあり、最寄りのバス停は「日赤前(にっせきまえ)」です。
東口のバスターミナルです。2・3番乗り場から出るバスに乗ります。この日は福島競馬の開催日だったので、同じ方面の競馬場に向かう利用客で賑わっていました。
ちなみに競馬開催日は、最寄りの「日赤前」の1つ手前の「競馬場前」までの直行バスも運行しているので、そちらを利用しても構いません。
今回は2番乗り場から発車するバスに乗車しました。
福島駅東口から日赤前までは約10~15分で、運賃は片道280円です。
最寄りの「日赤前」バス停に到着です。幹線道路の国道4号線沿いにあります。
地元のスーパー「ヨークベニマル」の駐車場前に停まるので、来た道を戻って最初の交差点に進みます。
交差点の横断歩道を渡り、右に移動しましょう。
ガソリンスタンドの横を通過します。案内看板も出ています。
次の交差点まで来たら、渡った先を左に曲がります。
右側に建物が見えてきます。
歩道から誘導路を入ると、会場の音楽堂に到着です。お疲れさまでした。
古関裕而メロディーバス
会場までは路線バスのほかに、「古関裕而メロディーバス」という専用バスも運行しています。
コンセプトは「移動音楽館」で、発着時や走行中に「古関メロディー」を楽しめるのが特徴です。内装には県産木材を使用し、温かみのある空間を演出しているとのことです。
駅東口の7番乗り場から発車します。
ダイヤは日中の1時間に1本出ています。
バス停は路線バスの「日赤前」よりも近い「古関裕而記念館前・音楽堂」。文字通り会場の目の前に停まります。
所要時間は路線バスとほぼ同じ約17分で、運賃は同じく片道280円です。
駐車場
会場の駐車場は、会場の敷地内に約70台分、少し南に行った所の第2駐車場に約71台分確保されています。
また、隣接する古関裕而記念館等との共用でアクセスルートで紹介した幹線道路(国道4号線)を曲がって会場へ向かう道の反対側にも約130台分確保されており、料金は30分ごとに100円かかります。
ふくしん夢の音楽堂はこんな所
パイプオルガンと九谷焼の壁が特色の大ホール
大ホールの総客席数は固定席で1,002席と、少し小さめです。
1階席と2階席がありますが、段に分かれていないシームレスなワンフロアの構造で、クラシックホールに一般的なシューボックス(靴箱)型をしています。
正面にはデンマーク製のパイプオルガンが鎮座し、会場全体に響き渡るように設計されています。
残響時間は空席時は3秒、満席時は2.5秒に設定されており、奥行きのある空間でオーケストラやパイプオルガンの音色を堪能することができます。
また、ホールの壁面に石川県の九谷焼の青磁パネルが張り巡らされているほか、床面は桜の木の無垢材を使用するなど、随所にこだわりの感じられる内装になっています。
1階席
1階席は1列から20列までの646席です。9列と10列の間に通路が設置されており、通路は建物1階の出入り口の扉とつながっています。また、障碍者用トイレに近い1列目の左サイドに、車いすスペースが5席分確保されています。
通路前方の席の傾斜は緩やかで、段差は6列目から付けられています。
通路後方の10列からは壁を隔てて傾斜が強めに設定されており、ちょうどいい高さで演奏を楽しむことができます。
2階席
2階席は21列から34列までの356席で、28列と29列の間に通路が設置されています。1階席同様、通路は建物2階からの出入り口の扉とつながっています。
また、28列と29列目の通路に面した両側に、建物3階からの出入り口扉と親子室が設置されています。
大ホール 座席表
出典:福島市音楽堂公式サイトより
座席
大ホールの座席は、座面と背もたれがシルバー、ひじ掛けと基礎がグレーの組み合せです。あまり馴染みのない色調ですが、淡い青磁の壁面とよく調和しています。
座面のクッションは厚めで、座り心地も上々でした。
小ホール
出典:福島市音楽堂公式サイトより
小ホールは最大で200席収容の多目的ホールです。椅子は固定されていないため、レイアウトは自由になっています。
クラシックやロックのコンサートから、演劇、講演、落語まで、ジャンルを問わず利用されています。
エントランス・ホワイエ
建物の玄関を入ったところがエントランス広場になっています。大ホールの入口は左手の1階から、小ホールの入口は中央右奥の階段を上がったところにあります。
エントランス広場。それほど広さはなく、大ホール・小ホールをはじめ、練習室などにもつながっています。
ロビー内にあるホワイトボードに、当日の公演内容が手書きで記載されています。結構なビッグネームの演者と手作り感満載のコントラストが凄いです。
開場時間の少しホールのエントランスが開放されます(ロビー開場)。
大ホールの開場待ちの時間は、1階ホワイエ内の椅子や物販スペースの利用などで過ごします。
ホワイエ奥に、ホール入場時のチケットチェックのスペースが確保されます。
開場後は建物1階~3階の出入り口からホール内に入ります。シームレスなので、ホール内からも階移動が可能です。
周辺施設
古関裕而(こせきゆうじ)記念館
アクセスのところでもたびたび出てきましたが、会場に隣接して「古関裕而記念館」があります。
福島市出身の作曲家・古関裕而(こせきゆうじ)氏がが福島名誉市民1号となったことを記念し、1988(昭和63)年に開館しました。
古関裕而氏について
作曲家の山田耕筰の推挙で楽壇に進出後、戦前・戦中の「露営の歌」「暁に祈る」「若鷲の歌」等の軍歌や、戦後の「長崎の鐘」(藤山一郎)、「とんがり帽子」(ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」主題歌)、「イヨマンテの夜」(伊藤久男)をはじめ、数多くの流行歌、歌謡曲、映画音楽の作曲を手掛けました。
高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」や、1964年の東京オリンピックの入場行進曲「オリンピック・マーチ」、阪神タイガースの「六甲おろし」や読売ジャイアンツの「闘魂込めて」などの球団歌、さらには早稲田大学の「紺碧の空」まで、「和製スーザ」の異名を持つ古関氏の楽曲は応援歌、行進曲の分野でも、枚挙にいとまがありません。
2020年度前期放送のNHK「朝の連続テレビ小説」は、古関氏とその妻の古関金子をモデルにした「エール」(窪田正孝・二階堂ふみ主演)が放送されました。
館内には古関裕而が残した楽曲にまつわる資料が満載で、映像やスライドとともに名曲の音源を楽しむことができるほか、通り沿いのガラスに面したサロンでコンサートが開催されることもあります。
入口には朝の連続テレビ小説「エール」のポスターも展示されています。
入場料は大人1枚300円とリーズナブル。公演前の時間調整に最適です。
福島競馬場
会場に近い国道4号線沿いには、JRA(日本中央競馬会)の「福島競馬場」があります。GⅠレースの開催はありませんが、「福島記念(GⅢ)」や「七夕賞(GⅢ)」などの重賞レースが開催されます。
会場最寄りのバス停「日赤前」の1つ手前のバス停が「競馬場前」で、競馬場で楽しんだ後でも、会場まで徒歩10分程度で到着できます。
競馬場入口(北口)は、バス停から道路を渡ったすぐ奥にあります。
北口からは、ゴール地点やターフビジョンも目の前にあります。
スタンド内のフードコートも豊富で、こちらで食事を摂ることも可能です。
公演前の午前中に一勝負しました。3着までに入れば当たっていましたが、残念ながら4着でした。
信夫山
福島市街の北部、会場の北側には、「信夫山(しのぶやま)」がそびえています。標高275mの福島市のシンボル的な小高い山で、福島市街を一望できるほか、春には大勢の花見客で賑わう観光名所です。
熊野、羽黒、羽山の三つの山で構成され、それぞれに神社(湯殿神社・羽黒神社・月山神社)が祀られている、山岳信仰のスポットとしても有名です。
周辺は公園(信夫山公園)として整備されており、気軽に登山やハイキングできるほか、展望台や遊具も設置されており、市民憩いの場として親しまれています。
カフェ・グルメスポット
その他、会場や福島駅周辺で食事やカフェを楽しめる場所をピックアップしましたので、参考にしてください。
マクドナルド 4号線福島入江町店
最寄りのバス停「日赤前」(福島駅東口行き)の目の前に、「マクドナルド 4号線福島入江町店」があります。
会場からすぐのところにあり、「ドライブスルー」や「マックカフェ」も提供している郊外型の大型店舗です。
昼間の店内はたくさんの人で賑わっていました。
窓際のカウンター席にはコンセントも設置されており、スマホの充電等に利用できます。
みどり豆
会場と道を挟んだ向かいにある老舗の喫茶店「みどり豆」です。
ランチで利用しようとして満席で入れなかったのですが、オムライスやパフェが有名なお店で、2階から信夫山がきれいに見渡せるそうです。
らーめん HOME
「みどり豆」にほぼ隣接して、らーめん「HOME」があります。
こちらも混んでいて入れなかったのですが、地鶏スープと全粒粉の麺が基本のお店で、あっさり上品な味を楽しめるお店とのことです。
肉の上杉 福島競馬場店
こちらは福島競馬場のスタンド1階「ファーストフードプラザ」にあるお店「肉の上杉 福島競馬場店」です。
山形県の米沢に拠点を構える㈱エヌティエスという会社がテナント展開している系列店とのことで、米沢牛の弁当をはじめ、メンチカツやコロッケを扱っていました。
ファストフードプラザには、この店を含む8店舗が軒を連ねています。
米沢牛コロッケ&メンチカツ。ビールとセットで買うと1,000円くらいになり、競馬場グルメとしていい感じです。
立ちそば処 鷹(たか)
新幹線の福島駅下車後、2階コンコースに降りた駅ナカ(新幹線改札内)にある「立ちそば処 鷹(たか)」です。
朝に着いたので結構寒かったのですが、ワンコインで手軽に利用でき、暖まることができました。
施設概要・地図
所在地
福島県福島市入江町1-1
アクセス
JR・東北新幹線「福島」駅 下車
・東口バスターミナル 2・3番のりばより
福島交通バス「日赤前」下車 徒歩数分
・同バスターミナル 7番のりばより
古関裕而メロディーバス
「古関裕而記念館前・音楽堂」下車
徒歩すぐ
ホール
大ホール 総客席数:1,002席
(1階:646席、2階:356席)
※車いすスペース:5席(1階)
小ホール 総客席数:200席
公式サイト
http://www.f-shinkoukousha.or.jp/ongakudou/