初めて神奈川県民ホール(本館)・神奈川芸術劇場(KAAT)のライブ・ミュージカル等に訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方を紹介します。
県民ホールは音響に定評があり、首都圏の定番ライブ会場の1つです。KAATは演劇・ミュージカルを中心とした舞台芸術の発信拠点。
両会場ともに中華街やみなとみらい地区に近く、観光をするにも最適です。
神奈川県民ホールは、1975(昭和50)年1月、横浜港、山下公園に近いエリアに開館した、港町横浜を代表する複合文化施設です。
館内には座席数2,433席収容の大ホールや、ステージにパイプオルガンを配した小ホール、大小5つの展示室を備えたギャラリーが設置されています。その演目は、各種クラシックやポップス系はもちろん、海外オペラの引越し公演や企業・県民の利用まで、幅広いイベントに使用されています。
2013年~14年及び2017年~18年にかけての2回のリニューアル工事を経て、2018年6月から現在の設備で運用されています。
神奈川芸術劇場(KAAT)は、2011(平成23)年1月、「モノをつくる 芸術の創造」「人をつくる 人材の育成」「まちをつくる 賑わいの創出」の「3つのつくる」をテーマとした創造型劇場を掲げ、開館しました。
「KAAT」とは下の写真のとおり、「KANAGAWA ARTS THEATRE」の略です。
最大で約1,200席収容のホールは可変型で、客席床の昇降により様々な舞台演出に対応することができます。その他、大小様々な大きさのスタジオも配備しています。
建物内には劇場のほか、NHK横浜放送会館も併設されています。
敷地の一角には、1883年築で横浜最古の煉瓦造建築である、旧居留地48番館が保存されているほか、建設時の発掘調査で出土した、旧山下遺留地の遺構が展示されています。
2つの会場は、公益財団法人神奈川芸術文化財団が一体的に管理運営を行っています。そのため、神奈川芸術劇場(KAAT)の竣工直前の2010年11月に、従来の県民ホールに「本館」という表記が正式名称に追加されました。
ちなみに神奈川芸術文化財団の芸術総監督は、作曲家でピアニストで、オノ・ヨーコ氏の元夫である一柳 慧(いちやなぎ とし)氏が務めています。私個人としては、大河ドラマの「翔ぶが如く」のテーマ曲を作曲した人というイメージです。
また、神奈川芸術劇場の芸術監督は、劇作家で演出家・俳優の長塚 圭史(ながつか けいし)氏が務めています。
県民ホール・芸術劇場へのアクセス
出典:神奈川県民ホール公式サイトより
横浜市内の会場へライブ遠征に訪れる場合、東海道新幹線の新横浜駅を起点にする人が多いでしょう。
神奈川県民ホール及び芸術劇場の最寄り駅は、みなとみらい線の日本大通り駅、またはJR・地下鉄の関内駅で、それぞれの駅からの所要時間は次のとおりです。
みなとみらい線 日本大通り駅から 徒歩約8分
※終点の元町・中華街駅からも、ほぼ同じ徒歩約8分です
JR・地下鉄線 関内駅から 徒歩約15分
ここでは、「新幹線で新横浜駅まで来た」という前提で、最寄りの日大大通り駅・関内駅までの鉄道ルートと、駅から会場までの徒歩ルートについて紹介します。
ちなみに飛行機で羽田空港まで来た人は、京浜急行の運行する空港バス「山下公園・みなとみらい地区・赤レンガ倉庫」方面に乗車し、「大(おお)さん橋入口」停留所で下車すると、会場まですぐ(徒歩1分)の場所に着きます。
新横浜駅から日本大通り駅までのルート
新幹線の新横浜駅からみなとみらい線の日本大通り駅に向かう方法は主に2つ。
1つはJR線で横浜駅まで向かい、みなとみらい線に乗り換えるルート。もう1つは、JR線で隣りの菊名駅に行き、みなとみらい線直通の東急東横線に乗り換えるルートです。
路線図を見てもらうと分かりますが、新横浜駅から横浜駅は、途中1つ手前の東神奈川駅でJR横浜線が終わり、根岸線に変わります。その関係で、最寄り駅の関内駅に行く際、東神奈川駅止まりの電車の場合は、乗り換えが必要になります。
今回は、新横浜駅の隣りの菊名駅経由の鉄道ルートでご紹介します。
新横浜駅から菊名駅までの鉄道ルート
新幹線の新横浜駅に着きました。これから在来線に乗り換えます。
床面にも案内が表示されています。
右に曲がると、すぐに在来線への乗り換え口があります。
在来線に向かうエスカレーターまたは階段を上ります。
横浜線は5・6番線です。
5番線の桜木町・東神奈川行きに乗車しましょう。
横浜駅まで行く場合、東神奈川行きは乗り換えになります。
今回は隣りの菊名駅で降ります。
東急東横線に向かいます。
案内に従い、階段またはエスカレーターを下ります。
下りた先が出口と東急東横線の改札になります。
東急東横線 菊名駅中央改札に到着しました。
菊名駅から日本大通り駅までの鉄道ルート
出典:みなとみらい線公式サイトより
東急東横線とみなとみらい線の相互直通運転は、東横線の列車種別により、停車駅が変わります。
最寄りの日本大通り駅は各駅停車と通勤特急・急行の停車駅です。特急に乗車した場合は、1つ先の終点「元町・中華街」駅まで乗車して、会場に向かうようにしましょう。
後で紹介しますが、元町・中華街駅から会場まで歩いても、所要時間はほぼ変わりません。
横浜方面の終点が、みなとみらい線の「元町・中華街」行きになっています。
3・4番線に向かいます。
先発の特急に乗車する場合は、終点の元町・中華街駅で下車します。
途中、東横線終点・みなとみらい線始点の横浜駅を通過します。
日本大通り駅に到着。ハマスタも近いのでベイスターズの広告が目立ちます。
下をみなとみらい線が走る「本町通り」沿いに出口があります(写真は1番出口)。
日本大通り駅から会場までの徒歩ルート
さあ、ここからが徒歩ルートの紹介です。改札を出て南(地図右方向)にまっすぐ向かいます。「県民ホール入口」交差点まできたら、芸術劇場は目の前、県民ホールは交差点を左に曲がったところにあります。
改札を出る所からスタートします。
右に曲がり、3番の「情報文化センター」出口方面に進みます。
途中、バーガーカフェ「サンテオレ」の前を通過します。
その隣りのファミリーマートの奥を左に曲がると、3番出口です。
エスカレーターを上がります。
途中、地下1階のテナントのところで方向転換します。
そのまま地上へ向かうエスカレーターを上がります。
地上出口(3番)に到着しました。
前を走る本町通りを右に曲がります。
しばらくそのまま進みます。
1つ目の大きな交差点「大さん橋入口」前を通過します。
そのまま道なりに進みます。
「県民ホール入口」交差点に到着しました。左奥が神奈川芸術劇場です。県民ホールへは左に曲がります。
ハイアットリージェンシーと芸術劇場の間の道を進みます。
ワークピア横浜という名前のビルを過ぎると会場はすぐそこです。
ようやく県民ホールの建物が見えました。奥は山下公園です。
駅改札から約8分、県民ホールに到着です。お疲れ様でした。
元町・中華街駅から会場までの徒歩ルート
先ほど説明したように、東横線の菊名駅(横浜駅)からみなとみらい線直通の特急に乗車した場合は、終点の元町・中華街駅からも、ほぼ同じ時間で会場まで行けます。
終点の元町・中華街駅です。
エスカレーターを上がったところにある改札です。
1番出口の「中華街・山下公園」方面に進みます。
やや長い地下通路を突き当りまで歩いて行きます。
1番出口を上がったところです。向かいに中華街の「朝暘門」が見えます。
そのまま本町通りを日本大通り方向に進みます。
やがて「山下町」交差点に差し掛かります。そのまま右に曲がり山下公園方向に進めば、会場に到着します。
そのまま直進すれば、神奈川芸術劇場前に着きます。次の「県民ホール入口」交差点まで行けば、右に曲がって本館前に着きます。
新横浜駅から関内駅までのルート
関内駅までの鉄道ルート
続いて、新横浜駅からみなとみらい線(東横線)に乗り換えずに、そのままJR線で関内駅まで来た場合の徒歩ルートについて紹介します。
先ほど菊名駅までのルートで紹介したJR横浜線・根岸線で、東神奈川駅経由で関内駅まで向かいます。
また、新横浜駅からは同じく関内駅まで地下鉄(ブルーライン)も出ているので、簡単に紹介しておきます。
地下鉄を使う場合は、新幹線下車後、在来線乗り換え口ではなく出口に向かいます。
出口(西口)の改札です。
案内に従い、コンコース端の階段またはエスカレーターを下ります。
「地下鉄・横浜アリーナ」方面という表示もあるとおり、横浜アリーナへのルートもこの方向です。
下りた先がすぐ地下鉄新横浜駅です。
1番線の「横浜・湘南台」方面の電車に乗車します。
関内駅は新横浜駅から8駅目で、所要時間は約17分、運賃は片道280円(ICカード利用は272円)です。
時間はJRを利用するのとほぼ同じですが、運賃は約60円高くなります。新幹線利用の場合、乗車券が「横浜市内」であれば関内駅までの交通費はかからないので、ややJRを使う方が有利と言えます。
会場までの徒歩ルート
関内駅から会場までは、まずは南(地図の上側)へ進んで横浜スタジアムの前まで行き、そこからみなと大通りを東(地図の左側)に進みながら、本町通りに到達するのがわかりやすいと思います。
北口から出た場合は、右に曲がって南口方面に向かいます。
正面のショッピングモール「セルテ」の前の道を南に進みましょう。
道なりに進むと、やがて南口の前に出ます。
南口からは、横浜スタジアム方面の案内に従い、右に進みましょう。
南口前の道を進みます。
横浜スタジアム前まで来たら、前の道を左に曲がります。
みなと大通りを東に進んでいます。
途中、「ハマスタ入口」交差点に差し掛かりますが、そのまま直進します。
常盤町通りとの交差点です。前にファミマがあります。
続いて入船通りとの交差点です。
カフェ・ベローチェとコーヒーの「大学院」前を通過します。
ようやく奥の方に海が見えてきました。
「県庁前」交差点に到着しました。前に見える茶色の建物が神奈川県庁です。ここからは渡った先を右に曲がり、本町通りを南に進んでいきます。
交差点を渡った先にある、加賀町警察署 本町交番です。
その先に日本大通り駅1番出口があります。
その隣りは県庁入口です。
次の交差点が「港郵便局前」交差点です。渡った先に郵便局があります。
その次が「大さん橋」交差点です。
その次の「山下町消防出張所前」交差点です。会場まであと一息です。
ハイアットリージェンシー前に着きました。前に市バスの「芸術劇場・NHK前」停留所があります。前の道を渡った先が芸術劇場、左に曲がると県民ホールです。
関内駅からは徒歩約15分、お疲れさまでした。
神奈川県民ホールはこんな所
総客席数2,400席超の大ホール
大ホールの総客席数は2,433席(1階席1,509席、2階席304席、3階席620席)。その他に車いす席が1階席中央通路左右に6席(補助席10)あります。
1階席の最後列は32列で、5列目と6列目、20列目と21列目にそれぞれ通路が設けられています。
1階席左右の一番端のブロックは、ステージに正対せず、2階席・3階席のサイドスタンドと同じく斜めを向いて配置されています。
2階席は左右のせり出したサイドスタンド部分が中心で、1列から12列まで。センターブロックは8列から12列の2列~4列分で、全体でも300席程度しかありません。
1階席後列より高さもあり、全体に見やすい席が多いです。
3階席は1列から14列まであり、2階席と異なりセンターブロックの客席が多く、4列から14列までの11列あります。上の写真のとおり、サイドスタンドとセンターブロックでは微妙に高さが違います。
また、センターブロックは11列あるため、前後の客席の段差が他の階に比べ大きくなっています。前の人の頭が気にならず、ステージを俯瞰で見下ろす感じとなります。
大ホール座席表
出典:神奈川県民ホール公式サイトより
座席
大ホールの座席は座面・背もたれともに布地系の赤基調。結構年数が経過していることもあり変色が目立ちますが、席間隔がある程度取られていることもあり、概ね座り心地は快適でした。
パイプオルガンを備えた400席超の小ホール
出典:神奈川県民ホール公式サイトより
小ホールの総客席数は433席。そのうち12席は可動席で、車椅子席6席分に転用可能です。
パイプオルガンを備えた館内は残響は約1.4秒(満席時)に設定されており、客席の規模的にも室内楽や音楽発表会に適した大きさです。
下の座席表のとおり、最後列は最も長いセンターブロックで17列。座席配置は左右対称ではなく、ステージから見て右側(下手)の方が若干客席が多くなっています。
小ホール座席表
出典:神奈川県民ホール公式サイトより
神奈川芸術劇場(KAAT)はこんな所
3層のバルコニーを配した可変構造のホール
芸術劇場(KAAT)のホールの収容人数は最大約1,200席(固定席は1,187席に立見席等が加わります)。客席は3階まであり、階ごとの両サイドにバルコニー席が設置されています。
客席の床が昇降することで、ミュージカルやバレエなどの演目に合わせ、オーケストラピットや座席側に舞台を拡張することが可能な構造になっています。
隣りに県民ホールがあるので、「ライブ・コンサートは県民ホール」「演劇・ミュージカル・ダンスは芸術劇場」という大まかな棲み分けができている感じです。
基本勾配の場合、1階席の最後列は25列まであります。8列と9列の間に通路が設けられているほか、19列と20列の間に仕切りが設けられ、段差が付けられています。
2階席・3階席のスタンドは1階席20列の上方から始まる感じで、2階が5列、3階が6列まであります。どちらも1階席より前後の傾斜がやや急になっています。
芸術劇場ホール 座席表
出典:神奈川芸術劇場公式サイトより
館内施設
エントランス入ってすぐの右手にクロークがあります(この日は休業)。
ホワイエにカフェバーもありますが、こちらも営業していませんでした。
アトリウム~エントランス
芸術劇場のホールは建物の5階から10階部分に入っています。正面玄関を入ると、1階ロビー(アトリウム)の左奥に、上の階へ上がる階段とエスカレーターがあります。
階段を上がった2階のすぐ左側にはチケットかながわのオフィスがあり、当日券や前売り券を購入できます。
アトリウム内は劇場入口の5階まで約30mの吹き抜けになっており、開放的です。
開場時間までは3階のエスカレーター前までしか行けなくなっており、開場時刻を過ぎると、その先に続くエスカレーターが開放され、5階のエントランスに行けるようになります。
カフェバー「VENT VELA(ベント ベーラ)」
建物1階のハイアットリージェンシー側に面したところにある洋食ダイニングの店です。
貸切り使用の時間やランチ、ディナーで使うのが一般的のようで、ドリンクのみで時間をつぶすというよりは、しっかり食事やアフタヌーンティーを楽しむ人向けのようです。
会場付近で気軽に過ごせるカフェとしては、県民ホール向かいの産業貿易センタービルの1階にあるドトールあたりになるかと思います。
周辺施設
チケットかながわ
チケットかながわは、会場の運営元である公益財団法人神奈川芸術文化財団が監理している「神奈川県民ホール」「神奈川芸術劇場」「神奈川県立井音楽堂」で開催される公演のチケットを購入できるプレイガイドです。
会員・非会員を問わず専用サイトでWEB申し込みが可能なほか、今回の県民ホールや芸術劇場内にあるチケットオフィスの窓口でも購入できるので便利です。
ちなみに県民ホール、芸術劇場ともに、チケットオフィスは建物の2階にあります。
横浜中華街
言わずと知れた横浜観光のメインスポットの1つ。会場からも徒歩数分の位置にあるので、昼食や午後のひと時を過ごすのにぴったりです。
みなとみらい線の元町・中華街駅からの徒歩ルートを参考に、地下通路を出たところの向かいにある東門(朝暘門)から入りましょう。入ってすぐの大通り沿いに、ブタまんの店やタピオカティーの専門店などがあります。
山下公園
県民ホール横の海側一帯に広がる山下公園は、1930年開園の横浜で最も有名な公園です。
もともとは関東大震災の復興事業で生まれた臨海公園とのことで、公演の合間に港の景観を楽しみながら、のんびり過ごすのに最適な場所です。
横浜スタジアム
「ハマスタ」こと横浜DENAベイスターズの本拠地。JR関内駅南口から近い横浜公園内にあり、1978年の開業です。
まだ実現できていませんが、県民ホールでコンサートを楽しんだ後、ハマスタでナイターを楽しむというのも是非やってみたいですね。
施設概要・地図
所在地
神奈川県民ホール(本館)
神奈川県横浜市中区山下町3-1
神奈川芸術劇場(KAAT)
神奈川県横浜市中区山下町281
アクセス
みなとみらい線「日大大通り」駅
下車徒歩8分
JR根岸線・横浜市営地下鉄「関内」駅
下車徒歩15分
ホール
県民ホール
大ホール 総収容人数:2,493席
(1階1,509、2階304、3階620、立見50)
小ホール 総収容人数:433席
(固定席410、可動席23)
芸術劇場
総収容人数:最大約1,200席(基準勾配)
(本席:1階778、2階189、3階220)
公式サイト
県民ホール
https://www.kanagawa-kenminhall.com/
芸術劇場
https://www.kaat.jp/