
初めて「福岡市民ホール」のコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や、施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
2025年に長年親しまれてきた福岡市民会館に代わり、隣接する公園内に誕生したホール。
約2,000席の大ホールと約800席の中ホールの組合せで、ホールコンに最適のキャパが確保されています。
旧館から少し南に移動したので、天神駅からのアクセスが近くなりました。
福岡市民ホールは、2025(令和7)年3月、それまで約60年にわたり市民の文化芸術活動に寄与してきた福岡市民会館に代わり、県立美術館をはさんだ反対側の須崎(すさき)公園内にオープンした新しいホールです。

新ホールは「福岡市拠点文化施設整備及び須崎公園再整備事業」の第1期工事として実施され完成しました。今後の第2期工事では、旧福岡市民会館を取り壊し、跡地を「新・須崎公園」として整備していく計画で、2027(令和9)年3月から供用開始となる予定です。

「福岡市民ホール」という名称は、「60年に渡って多くの市民に親しまれてきた市民会館の伝統を継承し、舞台設備やホール機能が進化した、新たな施設をシンプルに表現」したものであるという記載のとおり、分かりやすい名称にすることで、旧市民会館の後継施設としての位置づけをはっきりさせたものになっています。
耐震基準の見直しや経年劣化に伴い、昨今は各地で中小の音楽ホールの閉館、リニューアルが相次いでいますが、この福岡における市民ホールの事例は、「休館期間を設けず隣接する土地に同規模のものを多機能化して設置」するという、リニューアルの1つの理想的な形ではないかと思います。
福岡市民ホールへのアクセス
福岡空港から博多駅・天神駅まで

飛行機や新幹線で福岡空港または博多駅まで来たという前提で、主要駅である博多駅・天神駅までのルートを紹介します。

空港の到着ロビーから、地下2階にある地下鉄の駅まで移動します。

下りてすぐの所に改札があります。

地下鉄の福岡空港駅から博多駅までは2駅で所要時間は約5分、天神駅までは5駅で所要時間は約11分で到着します。運賃は両駅ともに片道260円です。

地下鉄福岡空港駅ホームに着きました。

始発駅なので早く出る電車に乗ればOKです。

2駅目、約5分で博多駅に到着です。

そのまま乗車すれば、空港駅から約11分で5駅目の天神駅に到着します。
博多駅・天神駅から会場まで
出典:福岡市民ホール公式サイトより
福岡市民ホールの最寄り駅は地下鉄空港線・西鉄天神大牟田線の天神駅または地下鉄七隈線の天神南駅。それぞれの駅からは15分前後歩く必要があり、それなりに距離がありますが、旧市民会館の場所から駅に近い少し南の公園側に移動したことにより、所要時間は2~3分短くなりました。
出典:福岡市民ホール公式サイトより
会場近くまで交通手段で向かうには、バスが便利です。最寄りのバス停は「福岡市民ホール」または「福岡市民ホール北口」です。
博多・天神地区からは一般路線バスのほか、「BRT(Fukuoka BRT)」という黄色の連節バスが運行しており、会場前の「福岡市民ホール」バス停に停まります。
出典:西鉄グループ公式サイトより
博多・天神周辺でホテルを予約される人も多いでしょう。まずは博多駅・天神駅からのバスルートを紹介します。
なお、上記BRTについては専用の記事もアップしていますので、そちらも参考にしていただければと思います。

博多駅前からのバスルート

新幹線で博多駅まで来た人は、博多駅前からバスを利用するのがおすすめです。
博多駅前から会場前までは、「博多駅前A」のりばから先ほど紹介したBRTの連節バスに乗車するか、「博多駅前シティ銀行前F」のりばから46番系統の路線バスに乗車します(所要時間:約25分)。

博多駅の案内図を確認すると、BRTののりばは駅前広場を出て正面に、路線バスののりばは横断歩道を渡った左側にあります。

博多駅の改札を出て、博多口方面に進みましょう。

博多口に出ました。

BRTの場合は、そのまま広場を道路側に進んだ正面にある「博多駅前A」のりばから乗車します。

BRTは黄色の連節バスなので一目でわかります。前後の車両のどちらからでも乗車できます。

福岡市民ホール北口は3つ目のバス停で、北側の那の津通り沿いにあります。

会場は、バス停と道路を挟んだ右奥にあります。

路線バスの場合は、横断歩道を渡った先にある「博多駅西日本シティ銀行前F」のりばから乗車します。

最寄りの「福岡市民ホール」は、名前の通り会場の目の前にに停まります。
天神駅(ソラリアステージ前)からのバスルート

地下鉄天神駅からは、バスでも徒歩でも会場までアクセスできます。バスルートは、西鉄天神駅前にある「天神ソラリアステージ前」から乗車します。
博多駅前同様、BRTを利用し「福岡市民ホール北口」で下車するか、「20番・80番・90番」系統の路線バスを利用して「福岡市民ホール」で下車します(所要時間:約6分)。
天神駅から会場までの徒歩ルート

上の地図の通り、天神駅から会場までは旧館の時より少し駅に近くなったので、天気の悪い日等でなければ、徒歩で向かう方がおすすめです。
ここでは、地下鉄空港線の天神駅から会場までの徒歩ルートについて紹介します。

地下鉄空港線で天神駅に到着しました。

ホームから改札に移動します。

今回は中央改札口から天神地下街に向かう方法で紹介します。

改札付近には会場名と「東1a」出口への案内が掲示されています。

地下街の案内図を確認。「東1a」出口へは天神地下街を北(地図の下)に進みます。

案内に従い、天神地下街を「昭和通り」の方向に移動します。

地下街の突き当たりまで来ると、地上への階段またはエスカレーターがあります。

東1a出口はこちらです。

上がった先は、昭和通りと交差する「天神橋口」交差点を渡ったところに出ます。

ミーナ天神前を通過し、このまま進行方向(北)に進んでいきます。

「天神北」交差点まで来たら、右に曲がりましょう。

横断歩道をわたり、右に移動します。

ここからしばらく道なりです。

「天神5丁目」交差点を直進します。

以前の「須崎公園南」交差点の名称が変更(1つ先に変更)され、「福岡市民ホール前」交差点になりました。

先ほど紹介した「福岡市民ホール」バス停は、横断歩道を渡った先の、会場の目の前にあります。

地下鉄天神駅から約10分で、会場に到着です。お疲れ様でした。右奥には県立美術館と閉館した旧福岡市民会館が見えます。
天神ソラリアステージからの徒歩ルート

地下鉄天神駅前からのルートで紹介しましたが、バス停にもなっている西鉄福岡天神駅前のショッピング施設「ソラリアステージ」前からのルートも、途中まで紹介しておきます。
地下鉄天神駅から会場と逆方向に位置しているので、その分の移動時間がかかるため、会場までの所要時間は約13分です。

駅ビルの3階が高速バスターミナルになっています。高速バスで来た人はここから参考にしてください。

出てすぐの道路が渡辺通り(県道602号)です。このまま北方向に進んでいきましょう。

明治通りと交差する「天神」交差点を通過します。下を地下鉄空港線が走っています。

続いて「天神橋口」交差点を通過します。道路を挟んで右側にあるのが、先ほど紹介したミーナ天神で、以降は同じルートなので省略します。
駐車場

会場の専用駐車場は、敷地内に約80台分確保されています。30分につき200円で、新ホールになり有料となりました。

イベント開催時にはすぐに満車になるので、周辺の県立美術館横にある須崎公園駐車場や、北側の那の津通りを挟んだ向かいにあるボートレース場駐車場を紹介されることも多いようです。
出典:福岡市民ホール公式サイトより
福岡市民ホールはこんな所
三層構造・約2,000席の大ホール

大ホールの総客席数は2,016席で、1階席、2階席、3階席の三層構造です。旧市民会館の大ホールがが1階と2階がシームレスにつながった形状をしていたのに対し、新ホールは馬蹄形の形状で、左右両サイドにバルコニー席を配した構成になっています。

クラシックをはじめとした音楽利用はもちろん、オペラや舞台・演劇等の演目のほか、大規模な集会・セミナー、市民の文化芸術活動などの多様なニーズにも対応できる多機能ホールです。壁には落ち着いた色味の国産の天然の木材を使用しています。
1階席

1階席の総客席数は1,313席で、1列から32列まであります。途中、13列と14列の間に中央通路が設置されているほか、


中央通路前方の1列から5列までは、オーケストラピットとして使用される場合に取り外されます。そのため5列までは傾斜のないフラットな構造で、6・7列を経て、8列から段差が付けられています。


通路後方からは各列段差1段分の傾斜が付けられています。また、25列と26列の間には階段4,5段分の高低差があり、仕切り柵が設置されています。



その他、車いすスペースは、中央通路手前の13列の左右両端に2席ずつと、左・右ブロック最後列の29列後方に4席ずつの計12席分確保されています。


2階席

2階席の総客席数は366席で、1列から17列まであります。そのうち1列から9列まではバルコニー席として左右にせり出しており、正面スタンドは10列から17列までとなります。

正面スタンド席は、各列の段差が2段分となり、1階席より傾斜が付けられています。前の列の人の頭は自分の胸あたりに収まるので、視界が遮られることはほぼありません。


2階バルコニー席

バルコニー席は、1~3列、4列~6列、7列~9列の3ブロックごとに、高低差の付いたボックス仕様になっています。


3階席

3階席の総客席数は315席で、1列から16列まであります。そのうち1列から9列まではバルコニー席として左右にせり出しており、正面スタンドは10列から16列までとなります。


正面スタンド席は、2階席同様、段差が2段分で、1階席より傾斜が付けられています。15列と16列はセンターブロックのみ配置され、その後方に10席収容の多目的室があります。

3階バルコニー席

3階バルコニー席も、2階同様1~3列、4列~6列、7列~9列の3ブロックごとに、高低差の付いたボックス仕様になっています。


大ホール 座席表
出典:福岡市民ホール公式サイトより
座席

大ホールの座席は博多織を採用した赤を基調とした座面・背もたれと茶色のひじ掛け・基礎の組合わせです。クッションの厚みは控えめで、適度な硬さを保つことで疲れにくい座り心地になっています。


座面の布地は4種類あるようで、グラデーションをもたせながら客席後方が明るい色調になるよう配置することで、ホール全体に広がりを持たせているとのことです。
中ホール
出典:福岡市民ホール公式サイトより
中ホールの総客席数は計815席(車いす席6席、多目的室10席を含む)で、1階席と2階席の二層構造です。客席と舞台との距離が近く、音が明確に聞こえる工夫がされており、臨場感あふれるホールになっています。
出典:福岡市民ホール公式サイトより1階席 ステージ側から
1階席の総客席数は624席で、A列からW列までの23列あり、途中L列(12列目)とM列(13列目)の間に中央通路が設置されています。通路前最後列のL列左右両端には、車いす席が各2席確保されています。
また、1階席の後方のフロアに続く形で1階バルコニー席が左右(LB・RB席)に配置されています。LB席・RB席ともに各13席と車いす席が各1席ずつ確保されています。
2階席の総核席数は175席で、ステージ正面に配置された部分がA列からF列までの6列、斜めサイドの部分がA列からC列までの3列と、さらにサイドバルコニー席(LB・RB)が各5席あります。その他、多目的室が10席あります。
全体に客席と舞台との視距離が近く、舞台や演劇向きの臨場感に溢れるホールではないかと思われます。学生や文化団体など、市民の文化芸術活動でも利用しやすいホールです。
中ホール 座席表
出典:福岡市民ホール公式サイトより
小ホール
出典:福岡市民ホール公式サイトより
小ホールは、文化芸術活動の発表や練習、市民の方々が広く参加できる研修やワークショップなどの場として、また、飲食可能なホールであることからレセプション等、様々な用途に対応可能な平土間のホールです。
座席は約150 席が設置可能で、前面の壁など、内装の一部に福岡市内産の木材を使用しています。
館内設備

建物は地上4階建てになっており、メインゲートは建物東側にあり、1階からスロープや階段を登って2階に移動します。中に入るとエントランスホールが東西に伸びており、反対側の西ゲートに続いています。


各ホールのエントランスは、大ホールがメインゲートを入って右側、中ホールが左側にあります。小ホールは、反対側の西ゲートを入って右にある通路を進んだ先にあります。


コインロッカーと自販機は、西ゲート側の小ホールとお手洗いの間にあるスペース内に設置されています。

コインロッカーは100円返却式です。小型のものと大型のものがあり、どちらも無料で利用できます。

大ホール・中ホール内にも同様のロッカーが配置されています(写真は大ホール内のロッカー)。
Cafe C(カフェ シー)

エントランスホールの中央付近には、カウンターカフェの「Cafe C(カフェ シー)」がオープンしました。


公演等のイベント時だけでなく普段の公園利用時にも利用可能です。コーヒーや各種ラテ、アルコール類などのほか、地元のクラフトビールやおつまみ・スイーツ類、ペットボトルの水などが販売されていますが、食事はホットサンドだけなので、食事をする場合は他の所で確保した方がいいと思います。
出典:福岡市民ホール公式サイトより 建物2階 フロアマップ
周辺施設
福岡県立美術館

旧会館と現会館の間に位置するのが、福岡県立美術館です。旧市民会館の開館に続き、1964(昭和39)年に、美術館と図書館の複合施設である福岡県文化会館として開館しました。
その後、美術館と図書館は分離独立し、美術館は1985(昭和60)年に全面改装を行い、現在の福岡県立美術館として再スタートを切りました。
館内は展覧会を行う空間と美術図書室に分かれており、営業時間は展覧会スペースが10:00~18:00、美術図書室が9:00-12:00、13:00-17:30となっています(月曜休館)。
なお、旧市民会館に続き県立美術館についてもリニューアルが行われる予定で、4年後の2029(令和11)年度に、場所を大濠公園の南側(福岡武道館と日本庭園があるところ)に移転して建設される計画になっています。
県立美術館 喫茶室

県立美術館1階にあるカフェは、そのものずばり「県立美術館 喫茶室」といいます。市民会館や周辺にお店がないので、時間調整に重宝します。

こぢんまりとした店内ですが、この日は奥の方で楽器演奏の公開練習が行われていました。

メニューはコーヒーや紅茶のほか、アップルパイやパンなどがあります。

黒板にもメニューがあります。昼食を食べる際は、各種パンセットを880円で注文できます。

この日はパン2種類とコーヒーをセットでいただきました。
ウェスト 天神北店

福岡を代表する博多うどんのチェーン店「ウエスト」の天神北店です。
日テレの「秘密のケンミンSHOW!」などでも取り上げられ、全国的にも知名度が高くなっています。
ここ天神北店は、天神駅前から会場までの徒歩ルートの途中、天神橋交差点を越えてすぐの場所にあります。

施設概要・地図
所在地
福岡市中央区天神5丁目1−23
アクセス
地下鉄「天神」駅下車 徒歩約15分
JR・地下鉄「博多」駅からバス利用
・「博多駅前A」のりばからBRT乗車
「福岡市民会館」下車徒歩すぐ
・「博多駅前シティ銀行前F」のりばから
46番系統の路線バス乗車
「市民会館南口」下車 徒歩約4分
ホール
大ホール 総客席数:2,016席
・1階席:1,313席+車いす席12席
・2階席:366席
・3階席:315席+多目的室10席
中ホール 総客席数:815席
・1階席:624席+車いす席6席
・2階席:175席+多目的室10席
小ホール 最大収容人数:150席
公式サイト
https://fukuoka-civichall.jp/