初めて「盛岡市民文化ホール(マリオス)」のコンサートに訪れる人を対象に、会場までの行き方や施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
盛岡駅前の元国鉄工場跡地に建つ市民ホール。
周辺には地元の文化人である石川啄木と宮沢賢治ゆかりの名所がたくさんあります。
盛岡市民文化ホールは、1985(昭和60)年に廃止された国鉄盛岡工場の跡地に建設され、1997(平成9)年に開業した複合インテリジェントビル「マリオス」の市民ホール部分を構成する文化施設で、盛岡市文化振興事業団が運営管理を行っています。
もう一方の高層ビル部分を構成する盛岡地域交流センターには、地上20階、地下2階のビル内に様々な企業の事業所が各階のテナントを構成するほか、4階にはかつてこの場所にあった旧国鉄盛岡工場の外壁を復元したアトリウムがあります。
また、最上階の20階は、盛岡市内を一望できる無料の展望室になっており、ワークスペースや展示場としての貸し出しも行っています。
20階 マリオス展望室
出典:マリオス公式サイトより
盛岡市民文化ホールまでのアクセス
拠点となるのは盛岡駅といわて花巻空港
出典:盛岡観光情報公式サイトより
会場の最寄り駅はJR・東北新幹線の盛岡駅。また、空路では各地の空港からいわて花巻空港に向かうことで、空港バスで盛岡駅前にアクセスすることができます。
また、盛岡駅からも西口から徒歩約3分の、非常に便利な場所にあります。
盛岡は「みちのく・岩手」ということで、遠いイメージがあるかもしれませんが、新幹線と飛行機のルートが確保されているので、個人的に東北では仙台の次にライブ遠征をしやすい都市だと思います。
盛岡駅までの鉄道ルート
東北新幹線で盛岡駅に向かう場合の所要時間は、最短で次のとおり。
はやぶさ利用 | はやて利用 | やまびこ利用 | こまち利用 | |
東京から | 約2時間10分 | 約2時間30分 | 約3時間5分 | ー |
仙台から | 約40分 | 約45分 | 約1時間5分 | ー |
秋田から | ー | ー | ー | 約1時間30分 |
新青森から | 約50分 | 約1時間 | ー | ー |
新函館北斗から | 約1時間50分 | 約2時間5分 | ー | ー |
新幹線で盛岡駅に着いてからの、会場までの徒歩ルートを紹介します。
東北新幹線・盛岡駅に到着しました。
ホームを下りて、改札階に向かいましょう。
改札口は北口と南口がありますが、会場に近い北口改札から出場しましょう。
北改札口を通過します。
出たところから、少し斜めに通路が続いているのでそのまま進みます。
やがて駅ビルのフェザンの入口前の通路が西口と東口に通じているので、左の西口方面に移動します。
左側は東西自由通路になっており、そのまま直進します。
自由通路は地元の踊りが由来の「さんさこみち」という愛称が付けられています。
自由通路はJR在来線の上を進む形になります。
通路を出て右にバスターミナルを見ながら進めば、会場前に到着です。
いわて花巻空港までの航空ルート
いわて花巻空港は2024(令和6)年10月現在、札幌(新千歳)、名古屋(小牧)、大阪(伊丹)、神戸、福岡の5つの空港から、国内定期便が運航されています。
今回私は、地元名古屋の県営名古屋(小牧)空港からFDA(フジドリームエアラインズ)を利用して、いわて花巻空港経由で向かったので、こちらのルートで紹介します。
県営名古屋空港のチェックインカウンターです。定期便はFDA(とコードシェアのJAL)のみの空港なので、非常にスムーズに乗降が可能です。
ボーディングブリッジがなく、専用通路から制限区域内を通り直に飛行機に搭乗するのも魅力の1つです。いわて花巻空港までの往路の所要時間は約1時間10分です。
盛岡駅前まで空港バスを利用
いわて花巻空港に到着しました。盛岡駅前までの空港バスは、到着便の時間に合わせて発車時刻を設定してくれているので、スムーズに乗り継ぎが可能です。
到着ロビーの正面にバスの案内所があります。ここで乗車券も買えます。
盛岡駅前までの乗車券は、片道1,500円です。バス車内でICカードによる精算も可能です。
到着ロビーを左に進み、レンタカーの受付窓口の前を通って出口に向かいます。
その先の出口を出たところに、バス乗り場があります。
出てからもう少し左に進みます。
2番乗り場が盛岡駅前行きのバス停です。
ほどなく岩手県交通のバス車両が到着しました。
先着順に乗車します。
観光バス仕様のきれいな車両で、USB式の充電設備も完備されています。
途中、花巻空港駅を経由して向かいます。
花巻空港駅までは約7分です。
空港から約40分で、盛岡駅前に到着です。
盛岡駅東口から会場入口まで
最後に、空港バスで駅東口に着いてから会場までの徒歩ルートも紹介しておきます。
盛岡駅東口に到着しました。
そのまま駅ビルに入り、エスカレーター等で先ほどの東西自由通路階に進みます。
あとは新幹線の盛岡駅からのルートと同じです。
自由通路(さんさこみち)を進み、会場前の広場に出ました。
会場のメイン入口は、そのまま斜め右に進んだ所にあります。
エントランスを入ると、建物の3階部分のロビーに達します。
ホールに向かうには、左手にあるエスカレーターで建物1階に移動します。
エスカレーターで下った所が、建物1階のロビーになります。
大ホールの入口は、1階ロビーから続く階段の先にあります。
小ホールの入口は、ロビー左側の出口付近にあります。
盛岡市民文化ホールはこんな所
三層構造・約1,500席の大ホール
大ホールの総客席数は1,510席で、1階席から3階席までの三層構造です。コンサートを主体に、オペラやバレエ、各種集会など様々な用途に利用される、文字通り多目的ホールです。
1階席
1階席の総客席数は930席で、1列から26列まであります。途中、17列と18列の間に中央通路があり、最後列の後方に親子室が設置されています。
通路前方の1列から4列までの138席は可動席となっており、オーケストラピット使用時には撤去されます。演目により舞台脇に仮設の花道を設置する場合は、1列から4列の左右の端席22席分が撤去されます。座席間の傾斜は、通路前方の場合、オーケストラピットの4列まではフラットで、5列目から段差が付きますが、全体に緩やかになっています。
このほか、18列と19列の中央ブロックの24席も可動席となっており、コンサート時に機器を持ち込み音響席を作る場合に撤去することができます。
2階席
2階席の総客席数は304席です。ブロックごとに左サイドのL席、中央のC席、右サイドのR席に分類され、L席とR席がそれぞれL(R)1列からL(R)14列まで、C席がC1列からC5列まで配置されています。
L席とR席の中間部にある扉付近、せり出しの付け根の部分には、左右各3席ずつ車椅子スペースが設置されています。列としては。L(R)の7列と8列の間になります。
3階席
3階席の総客席数は276席で、1列から7列まであります。2階席のようなサイド席はなく、左右のブロックは1列から4列までで、せり出し部分のないセンター席のみの構成です。
2階席のような車椅子席はありませんが、左右の扉付近には立ち見等の追加席に対応できそうなスペースがあります。
3階席全体の傾斜状況です。他ホールに比べ高層階にしては傾斜は強くありませんが、それでもステージを俯瞰で見る感じの高さになります。
大ホール 座席表
出典:盛岡市民文化ホール公式サイトより
座席
大ホールの座席はピンク色の座面・背もたれと木製のひじ掛け・基礎の組合わせです。背もたれは肩口よりも腰回りの部分が若干幅が広く取られ、真ん中にくぼみの線が3本入ったデザインです。
適度な硬さがあり疲れにくい座り心地で、2階席と3階席は背もたれの基礎部分が伸びたハイバック仕様になっています。
パイプオルガン完備・350席の小ホール
出典:盛岡市民文化ホール公式サイトより
小ホールは、ステージ後方にパイプオルガンを備え、優れた音響により、クラシックコンサートからピアノリサイタル、合唱、声楽などさまざまな音楽利用に対応したホールです。
座席配置はグランドフロアの1階席とバルコニーフロアの2階席の構造で、総客席数は350席あります。
1階席は1列から16列まであり、途中6列と7列の間に通路が設けられています。車いす席は通路後方の最前列(7列)の左右に3席分ずつ配置されています。
2階席はステージに正対するセンターブロックが2列34席、左右のバルコニー席が各1列15席ずつ計30席あります。
出典:盛岡市民文化ホール公式サイトより
小ホール 座席表
出典:盛岡市民文化ホール公式サイトより
館内施設
大ホールのエントランスを入ったところにあるホワイエは、建物の2階になります。ホワイエの奥は1階席後方に通じており、建物1階のホワイエは、トイレと1階席前方に通じています。
2階席は建物3階に位置しており、1階席ほどのスペースはありませんが、後方にロビーがあります。3階席は入口扉が設置されているのみで、外側にスペースはありません。
クロークは、建物2階のホワイエの右奥にあります。また、左奥はカフェラウンジになっていますが、最近は営業していないようで、代わりに自販機が1台設置されています。
周辺施設
盛岡市内は北上川と中津川が流れており、観光エリアとしては「北上川・盛岡駅周辺」と「中津川・岩手公園(盛岡城址)周辺」の大きく2つに分かれています。
ライブ遠征のついでに行う観光という点から、今回の会場は「北上川・盛岡駅周辺」の観光名所を紹介することにします。
もう1つの「中津川・岩手公園(盛岡城址)周辺」の観光は、当該地区にあるトーサイクラシックホール岩手(岩手県民会館)を訪れた際に改めて紹介したいと思います。
盛岡駅ビル「フェザン」
まずは盛岡駅の駅ビルのショッピング施設「フェザン」です。フェザンのスペルは「FES”AN」で、Sに点々が付いてフェザンと読ませるのが特徴的です。
運営は東日本旅客鉄道の子会社である盛岡ターミナルビル㈱で、東北新幹線開業の前年にあたる1981(昭和56)年にオープンしました。同時開業したの盛岡ターミナルホテル(現・ホテルメトロポリタン盛岡)とともに駅周辺の発展を見届けながら、2017(平成29)年のリニューアル完了により現在の姿になりました。
店内はリニューアルの過程で駅地下のショッピングモールを吸収合併して発展してきたこともあり、ファッション・雑貨だけでなく、飲食店街やお土産店など、「デパ地下」グルメ的なお店も充実しています。
店内は駅ビルの本館(ホテルメトロポリタン盛岡・フェザンテラス含む)と、盛岡駅の1階と地下にあるおでんせ館・めんこい横丁のフロアに分かれており、駅周辺の地上地下全体に広がっている印象です。
やぶ屋 フェザン店
本館の地下1階の飲食店街にある「やぶ屋」は、宮沢賢治ゆかりのわんこそばの店です。地元の名物であるわんこそばは、体験しようとするとそれなりに時間とお金がかかるのですが、このフェザン店には限定で「10杯お試しわんこそば」のメニューがあり、手軽に楽しめるのが特徴です。
おでんせ館
盛岡駅の1階と地下1階に広がるおでんせ館には、約40のショップが並び、地元の銘菓や地酒、工芸品などのお土産を購入できるスポットになっています。
1階には飲食店街には盛岡冷麺の老舗「大同苑」の支店もあります。
定番メニューの盛岡冷麺(¥1,089)。お好みで辛味噌とお酢を足していただきます。
いーはとーぶアベニュー材木町
駅から徒歩数分の場所にある材木町通りは、約400年の歴史の持つ商店街で、「いーはとーぶアベニュー」という名前が付けられています。
北上川にかかる旭橋から夕顔瀬橋(ゆうがおせばし)にかけての450mほどの通りで、4月から11月の毎週土曜日の夕方には「よ市」が開かれています。
「イーハトーブ」とは宮沢賢治による造語で、賢治の心象世界にある理想郷を指す言葉とのことです、メインストリートの材木町通りの愛称になっています。
通り沿いには、宮沢賢治の世界をモチーフにした「石座」「星座」「音座」「絹座」「花座」「詩座」の6つのモニュメントや、代表作「雨ニモマケズ」の石碑などが配置されており、散策しながら楽しむことができます。
光原社
材木町通りの一角にある光原社は、普段使いのできる器やグラス、漆器や和紙の文箱など、全国から集められた民芸品を扱うお店で、かつて宮沢賢治の童話集「注文の多い料理店」を出版した会社でもあります。
店舗の中庭には「光原社 可否館(こーひーかん)」というカフェがあります。白壁とレンガの外観、店内にはステンドグラスもあり、雰囲気のある空間で1杯ずつ丁寧に淹れたコーヒーを楽しむことができます。
また、通りを挟んだ向かいには、別館「モーリオ」があります。地元の手工芸品やクッキーやパンなどの食品なども豊富に扱っており、お土産にも最適です。ちなみに「モーリオ」は、宮沢賢治の造語で盛岡を意味する「モリーオ」からきているそうです。
御菓子司 山善
まだまだあります。材木町通りを入ってすぐの所には、御菓子司「山善」があります。
今回のライブ遠征のお土産に、この店で売っている銘菓の詰め合わせ「賢治のトランク」を買いました。
宮沢賢治の童話や石川啄木をイメージした名前のお菓子の詰め合わせです。
おしゃれな入れ物で手ごろな中身で価格もリーズナブル(¥1,100)。いい買い物でした。
ベッカライベルク
最後に、通りの一番奥の夕顔瀬橋に近い所にあるパン屋さんの「ベッカライベルク」を紹介しておきます。
残念ながらこの日はお休みでしたが、ドイツパンやベーグルを中心に豊富なラインナップで提供してくれる人気店です。
啄木新婚の家
宮沢賢治と並ぶ地元ゆかりの人物が、石川啄木です。盛岡駅東口から北上川にかかる旭橋を渡り10分ほど歩いた所にあるのが、「啄木新婚の家」です。
啄木が妻・節子と新婚生活を始めた家で、氏の作品である随筆「我が四畳半」に書かれている家の様子を、実際に確認することができます。
入る際に係員に挨拶をして、ノートにどこから来たかを記入すれば、無料で家の内部や展示を見ることができます。
福田パン 本店
盛岡のソウルフードである「コッペパン」の有名店「福田パン」の本店は、駅東口から旭橋を渡り、県道293号線をさらに15分ほど歩いた所にあります。初代の社長は宮沢賢治の教え子とのことで、店舗の外観もどこか学校のような佇まいになっています。
創業時から変わらぬコッペパンに様々なトッピングを組み合わせることで、40種類以上のバリエーション豊かなメニューを提供しています。
店内にはパンと一緒にドリンクも購入できるようになっています。
この日はアンバターとエッグハムカツのパンを、小岩井牛乳とともに購入しました。
朝7時の開店時から行列ができており、なくなり次第終了します。トッピング付きのパンは朝一で2つも食べれば、お昼が必要なくなるほどボリューム満点です♪
駅西口カフェ・グルメスポット
居酒屋「じょ居」・カプチーノ「詩季」
駅東口から県道2号(盛岡停車場線)の通り沿いに、居酒屋の「じょ居」とカフェの「詩季」という2つの店が隣り合って建っています。今回立ち寄った「詩季」の方をご紹介します。
「カプチーノの店」と謳っているとおり、エスプレッソ主体のアレンジコーヒーの品ぞろえが豊富です。
モーニングセットやランチセットなど、食事場所としても重宝します。
手作りグラタンやケーキセットもあります。
この日はカプチーノ(¥650)とビスコッティ(1個¥60)を注文しました。
ももどり駅前食堂
県道2号を進み、北上川にかかる開運橋の手前にある「ももどり駅前食堂」は、地元の旬の食材や名物のももどりを使った料理が人気のお店です(入ろうと思ったのですが、人気店のため満員でした)。
もつ焼き ホームラン
県道2号をさらに進み、開運橋を渡ってすぐの通り沿いにある「もつ焼き ホームラン」も地元の人気店です。今回はここを初日の晩酌場所にしました。
カウンターとテーブル席の店内は、世代を問わず地元の人々で賑わっていました。
もつ焼きの串を中心に、リーズナブルな品揃えです。
ビールとおつまみを軽くいただきました(写真はもつ煮込み)。店名にふさわしいボールの取り皿も特徴です。
写真の映りが悪くてすみませんが、盛り合わせ(5本:500円)が絶品でした(特にレバー)。
施設概要・地図
所在地
岩手県盛岡市盛岡駅西通2丁目9−1
アクセス
東北新幹線「盛岡」駅下車
徒歩約3分
いわて花巻空港から空港バス
約40分(盛岡駅東口着)
ホール
大ホール:総客席数1,510席
(1階:930、2階:304、3階:276)
※オーケストラピット:138席
※車椅子席:6席
小ホール:総客席数350席
(1階:286、2階:64)
※車椅子席:6席
公式サイト
https://www.mfca.jp/shiminbunka/