初めてフェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)へコンサートに訪れる人を対象に、会場までのアクセスや施設の概要、現地での楽しみ方について紹介します。
戦国時代の自治都市「堺」にできた、大阪南部最大の本格的ホール。近くに古墳やゆかりの人物の名所もあり、観光も楽しめます。
フェニーチェ堺は、それまで地域のホールとして親しまれてきた堺市民会館が2014(平成26)年3月に閉館したことを受け、その跡地に2019(令和元)年10月にオープンした南大阪最大のホールです。
ホールの愛称である「フェニーチェ」は、過去に何度も戦火にさらされながら、その都度蘇ってきた堺の街を、「不死鳥(フェニックス)」を表すイタリア語で表現したものです。
私にとって「堺」と言えば、大河ドラマ「黄金の日日」の舞台となった、海外交易が盛んな自治都市という印象です。オープニング冒頭でイエズス会の宣教師ガスパル・ヴィレラの書簡「この町は(イタリアの)ヴェネチアの如く執政官により治められる」の一節が出てくるので、「フェニーチェ」の表現は個人的にしっくりきます。
ちなみに母方の実家が堺(浅香山)にあった関係で、私自身が堺の病院で生まれたという縁もあり、個人的に思い入れの強い街でもあります。
フェニーチェ堺までのアクセス
拠点となるのは「なんば」駅
ライブ遠征を考える場合、拠点となるのは「なんば」駅です。
新幹線で来た場合は、地下鉄御堂筋線に乗車し「なんば」駅まで、飛行機で伊丹空港や関西国際空港から向かう場合は、リムジンバスで「なんば」バス停まで、名古屋から近鉄特急で来た場合は終点の「大阪難波」駅まで、それぞれのルートで向かいます。
ここでは、新幹線で新大阪駅に降り立ったところから会場までのルートを紹介します。
会場の最寄り駅は、南海高野(こうや)線の堺東(さかいひがし)駅です。
新大阪駅から御堂筋線なんば駅までのルート
新幹線で新大阪駅に到着しました。まずは地下鉄御堂筋線に乗り換えましょう。
新幹線の中央改札から御堂筋線に向かいましょう。
改札を出てからは、床のラインに沿って進めばわかりやすいです。
コンコースから駅弁屋さんの横の階段またはエスカレーターを下ります。
下りたところの斜め左前にある通路に進みます。
おみやげ街道とJTBの間を通ります。
抜けた先が御堂筋線新大阪駅の中改札の前になります。
御堂筋線で新大阪駅から南海線なんば駅までのルート
御堂筋線の新大阪駅に着いたら、7駅先のなんば駅を目指します。上の写真のとおり、なんば駅までの所要時間は約17分(片道280円)です。
「天王寺」行きまたは「なかもず」行きに乗車します。
なんば駅に着きました。
南海線は御堂筋線の南側にあるので、南南(みなみみなみ)改札から出ます。
「南海電車」の表示に従い移動します。
やがて南海線の構内に入ります。
地下から地上に向かう階段やエスカレーターを上がります。
地上に出たら視界が開けて、北口改札に向かう階段やエスカレーターが現れます。
上がった先の、南海なんば駅の3階北改札口に到着しました。
南海なんば駅から堺東駅までのルート
南海線に乗って、会場最寄り駅の堺東駅に向かいます。南海なんば駅から堺東駅までの所要時間は、急行で約11分(片道260円)です。
改札を入ったところにある案内板を確認しておきましょう。堺東駅は「高野(こうや)線」の駅で、ほとんどの種別の電車が停車します。
高野線の出発ホームは1~4番線です。
この日は3番線から発車する急行「橋本」行きに乗車しました。
南海線の車両です。
南海線の車内です。
高野線の路線図です。急行の場合、途中の停車駅は2駅(新今宮、天下茶屋)で、3駅目が堺東駅となります。
堺東駅に到着しました。
案内に従い、西出口に向かいます。
堺東駅西改札口に到着しました。ひとまずお疲れさまでした。
南海線堺東駅からの徒歩ルート
出典:フェニーチェ堺公式サイトより
ラストは堺東駅から会場までの徒歩ルートです。上の図のうち、道のわかりやすい「バリアフリールート」で紹介します。
もう1つの近道ルートを含め、今から紹介するバリアフリールートは、上の動画のように、公式サイトで道順が掲載されているので、ぜひ参考にしてください。
西改札をこのまま下に降りてもいいですが、左側に続くデッキを利用した方が分かりやすいです。
サンマルクカフェの左側の通路を進み、駅ビルの外側に出ます。
屋根付きのペデストリアンデッキに出ました。道なりに進みます。
下はバスターミナルやタクシー乗り場が広がっています。
デッキを伝って、写真の左奥の方に移動していきます。
突き当りのビルを右に曲がり、ヤマザキデイリーストアの前を進みます。
やがてデッキの終端から下に降りる階段があります。
階段を降りて地上に向かいましょう。
下りたところは堺市役所前広場(Minaさかい)が広がっています。
広場の前を直進していきます。
しばらく道なりに進みます。
やがて会場までの案内看板と、奥に阪神高速の高架が見えてきます。
歩道橋の手前まで来たら、案内に従い左に曲がります。
曲がり角には会場のインフォメーションも設置されています。
郵便局の前の道を進んでいきます。
ここからは会場の幟も設置され、いよいよ近づいてきたことを実感します。
横断歩道を渡ります。
渡った先に高級食パンの店があります。
シティホール堺の前を通過すれば、会場は目の前です。
会場の裏手に到着しました。ここから左に進んで、正面玄関に回ります。
建物沿いに進んでいきます。
建物の先が見えたら、右に曲がります。
堺東駅から徒歩約8分で、会場正面玄関に到着です。お疲れさまでした。
【おまけ】阪堺線「宿院」電停からの徒歩ルート
出典:阪堺電軌鉄道㈱公式サイトより
これはおまけの案内ですが、大阪にも路面電車があります。大阪と堺を結ぶ「阪堺電車(はんかいでんしゃ)」で、会場最寄りの電停は「宿院(しゅくいん)」停留場です。
JR新今宮駅や天王寺駅から乗り換えて向かうことができますが、宿院停留場までの所要時間は片道40分ほどかかるうえ、下車後の会場までも徒歩で約11分と、かなり時間がかかることをご承知おきください。
今回私は、公演終了後の帰りに利用することにしました。
建物を出て右に曲がると、大きな通り「フェニックス通り」に出ます。
パチンコ屋の前を通過します。
しばらく行くと阪神高速と並行して歩道橋が設置されています。
そのまま歩道橋を渡っていきます。
土居川公園を臨みながら階段を下ります。
このまま道なりに進みます。
大寺南門山之口前(おおてらみなみもんやまのぐちまえ)バス停を通過します。
堺山之口商店街の前を通ります。
渡った先に「和食さと」のある交差点の真ん中にあるのが「宿院」停留場です。
こちらは天王寺・恵美須町方面のホームになります。浜寺駅前方面は交差点の反対側にあります。
天王寺駅前までは20駅以上あります。
運賃は均一で片道230円です。
約40分後に天王寺駅前に到着しました。
駅からいったん歩道橋に上がって、JR・地下鉄方面に移動します。
この日は御堂筋線に乗り換え、新大阪駅に向かいました。
フェニーチェ堺はこんな所
大阪南部最大、ちょうど2,000席の大ホール
大ホールの総客席数はちょうど2,000席。1階席から4階席まであり、それぞれ1階1,076席(+車椅子12席)、2階340席、3階296席、4階276席となっています。
1階席の最後列は29列で、中央通路は14列と15列の間にあります。
ちなみにこの日(2022年12月3日)はオペラ「セビリアの理髪師」を観劇したのですが、1階席前方の6列までの182席が、オーケストラピットとして使用されていました。使用時は7列目を取り外し、8列目が最前となります。
このため、8列目まではフラットな造りになり、9列目以降に段差が付くことになります。
車椅子席は1階にあり、それぞれ14列目のサイドブロック両端と、最後列サイドブロックの中央寄りに3席ずつあります。
2階席から4階席のセンターブロックは、それぞれ2階席が5列、3階席・4階席が4列分確保されています。
2階席から4階席には、サイドにバルコニー席が設置されています。各階のスタンド部分から3,4席ずつせり出していき、先端部分は1席ずつステージに正対して設置されています。
大ホール 座席表
出典:フェニーチェ堺公式サイトより
座席
舞台・演劇向けの小ホール
出典:フェニーチェ堺公式サイトより
小ホールの総客席数は312席。1階席は284席(+車椅子席4席)と、2階席は左右に設置されたバルコニー席のみの24席です。
大ホールに比べてコンパクトですが、音響の良さは変わらず、セミナーや講演等はもちろん、発表会や舞台・演劇にぴったりのホールです。
エントランス・ホワイエ等
出典:フェニーチェ堺公式サイトより
正面玄関を入ったところは、大ホールのロビーになっています。小ホールへは、館内のエントランスを経由して向かいます。
大ホールの入口は、右奥にあります。
小ホールへは、左に進みます。
建物の2階から4階(1階席後方~3階席フロア)は吹き抜けになっています。
2階ホワイエの左側にはカフェコーナー「創作工房 プランタン」があり、公演前や幕間に軽食を摂ることができます。
テアトロ ポンテベッキオ
建物玄関の向かいに建っているのが、併設されているピッツェリア・トラットリアの「テアトロ ポンテベッキオ」です。
イタリア料理のトップシェフである山根大助氏が代表を務める「ポンテベッキオ」が、運営パートナーとして大阪市以外に初めて出店しました。
薪窯で焼く本格的なナポリピッツァをはじめ、本家の炭火焼きロースターも備えた本格的な肉料理や魚料理も提供しています。
周辺施設
さかい利晶の杜(りしょうのもり)
アクセスルートで紹介した阪堺線の「宿院」停留場の交差点を挟んで向かい側にあるのが「さかい利晶の杜」です。
「利晶」とは、堺ゆかりの人物である茶人・千利休(せんのりきゅう)と歌人・与謝野晶子(よさのあきこ)を指します。二人をテーマに、堺の歴史と文化を発信する観光施設として、2015(平成27)年3月にオープンしました。
宿院停留場周辺には、この施設のほかにも与謝野晶子の生家跡・歌碑や千利休屋敷跡などもあり、周辺一帯が観光スポットになっています。
仁徳天皇陵(百舌鳥古墳群)
学校の教科書で古墳時代に出てくる前方後円墳の代名詞が、「仁徳天皇陵」(大仙古墳・大仙陵古墳)です。
エジプトのクフ王のピラミッドや、中国の秦の始皇帝陵と並ぶ「世界3大墳墓」の一つと言われている観光スポットは、会場最寄りの堺東駅から1駅隣りの「三国ヶ丘」駅の近くにあります。
周辺一帯は「百舌鳥古墳群(もずこふんぐん)」と呼ばれるほど、仁徳天皇陵のほかにも色々な古墳が散在しています。
もっとも、古墳は近くで見ると、小高い山の周辺をお堀のような池が囲んでいるようにしか見えません。
全景を楽しむには上空から見るしかありませんが、堺市役所の展望ロビー(地上80m)や、天王寺のあべのハルカス展望台(地上300m)からは、一応小さくですが、横からの全景を見ることができます(あべのハルカスが堺にあればよかったんですが)。
施設概要・地図
所在地
堺市堺区翁橋町2-1-1
アクセス
南海高野線「堺東」駅下車 徒歩約8分
阪堺線「宿院」電停下車 徒歩約11分
南海本線「堺」駅から南海バス(約12分)
「一条通」バス停下車 徒歩すぐ
ホール
大ホール:総客席数:2000席(車いす席12席含む)
(1階1076、2階340、3階296、4階276)
小ホール:総客席数:312席(車いす席4席含む)
公式サイト
https://www.fenice-sacay.jp/